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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

誤認・混同

平成27(行ケ)10074  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成27年10月29日  知的財産高等裁判所

 商標「養命青汁」が,「養命酒」と出所混同生ずるか(4条1項15号)が争われました。知財高裁は、混同するとした審決を維持しました。
 引用商標の外観は,前記第2,1のとおり,「養命酒」を漢字で横書きにしたやや デザイン化された毛筆体から成るものであるが,一語一語は同じ大きさの同一書体 である。この構成中の「酒」は,普通名称としての酒(薬用のものを含む。)を示す\nものとして認識され,この「酒」部分の自他商品の出所識別力は乏しく,出所識別 標識として支配的な印象を与えるものではない。一方,引用商標中の「養命」の部 分は,その漢字の意義から,「命を養う」との意味合いを生じさせるものであり,「養 命酒」が薬用酒の中でも極めて著名なブランドとして通用していたことに照らすと, 引用商標中の「養命」部分は,商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印 象を与えるものと認められる。そうすると,引用商標が,「養命酒」として著名であ って,「養命」として著名性を獲得しているものでないとしても,引用商標が一連一 体の「養命酒」(ヨウメイシュ)としてのみ観念されるとはいえず,「養命」部分を 基幹部分として認識するものと認められる。したがって,「ヨウメイシュ」のほかに 「ヨウメイ」との称呼も生じる。 他方,本件商標について見ると,本件商標は,漢字横書きの標準文字から成るも のである。「青汁」との語は,「緑色の生野菜をしぼった汁」(広辞苑第6版,株式会 社岩波新書)を意味する普通名称として親しまれたものであり,本件商標中の「青 汁」の部分は,指定商品である,野菜又は野菜及び茶を主原料とする液状の加工食 品,調理用野菜ジュース,飲料用野菜ジュースにおいて使用される際には,単に, 指定商品そのものを示す普通名称であると捉えられ,第5類の野菜を主原料とする 粉状,ゼリー状等の加工食品,サプリメントや,第29類の「乳製品,冷凍野菜…」 や,第32類の「ビール,清涼飲料,果実飲料…」等に用いられた場合には,品質 (原材料)を示すものと捉えられるのであるから,単なる普通名称,あるいは,商 品の品質,性状を示すにすぎないものであって,自他商品の出所識別力は乏しく, 出所識別標識として支配的な印象を与えるものではない。また,簡易迅速性を重ん ずる商品取引の実際においては,その商品に付された商標の一部分だけによって簡 略に呼称,観念することがあるから,本件商標においても,「養命」部分を呼称,観 念することもあり得るものである。 そうすると,本件商標は,「養命」の文字と商品の普通名称の文字によって構成さ\nれるものとして把握され,このような商標に接する取引者,需要者は,本件商標の 全体をもって取引に資するほか,前半の「養命」の文字部分に着目することが少な くない。したがって,「ヨウメイアオジル」のほか,「ヨウメイ」との称呼も生じる。 そうすると,本件商標と引用商標とは,その基幹部分である「養命」において, 外観上実質的に同一であり,称呼「ヨウメイ」においても同一の商標であるといえ る。そして,「養命」の観念においては,「養生」や「健康」を連想させる「命を養 う」との観念が生ずるほか,後記のとおり,被告商品と関連性のある指定商品に用 いられた場合には,極めて著名な薬用酒である「養命酒」と同一又は緊密な関係に ある営業主の業務に係る商品との観念も生ずるものと解される。 以上によれば,引用商標と本件商標は,冒頭の2文字を上記のとおり基幹部分と いえる「養命」が占める点で共通し,この冒頭の「養命」部分は,引用商標では3 文字の漢字のうち2文字,本件商標では4文字の漢字のうち,半分の2文字を占め る点で,看者に強い印象を与え,外観において近似した印象を与える。称呼につい ては,「ヨウメイ」部分の称呼が共通しているが,末尾に付された語は「シュ」と「ア オジル」と差異があるものであり,全体の称呼として,必ずしも類似するとはいえ ない。しかし,引用商標は「命を養う酒」,本件商標は「命を養う青汁」という観念 が生じ,両商標とも「命を養う」飲料のイメージで共通し,上記のとおり,極めて 著名な引用商標の基幹部分を含んでいることから,本件商標について,「養命酒」と 同一又は緊密な関係にある事業主の製造販売に係る青汁,又は,緑の野菜を原料と した飲料といった観念が生じ,観念においても近似するといえる。 したがって,引用商標と本件商標は,ある程度類似しているといえる。
(2) 本件商標の指定商品等には,野菜又は野菜及び茶を主原料とする液状の加 工食品,飲料用野菜ジュース,ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース などの飲料となるものが含まれる一方,被告商品は,薬草等を原料とする薬用酒で あり,健康志向の飲料という点において共通しており,また,本件商標の指定商品 のうちには青汁を原料とする加工品が含まれ,健康維持に関心のある者を需要者層 とするものであって,これらの商品は,薬局や,薬品を中心に雑貨などを取り扱う ドラッグストアにおいて取り扱われる商品であるから,取引者層を共通にするもの であって,本件商標の指定商品と被告商品とは密接な関係を有するといえる。 そして,これらの商品の購入者が,特別な専門的知識経験を有しない一般消費者 であることからすると,当該商品を購入するに際して払われる注意力は,さほど高 いものではない。 以上のとおり,本件商標は,引用商標の基幹部分である「養命」をその構成の一部\nに含むものであり,当該部分の自他商品識別機能が高いと認められる一方,「養命」\n部分の末尾に普通名称が付加されたにすぎないことに照らすと,前記のとおり,原 告が取引者及び需用者を被告商品と共通する本件商標を指定商品に使用した場合, これに接した取引者,需要者は,極めて高い著名性を有する「養命酒」の表示を連\n想し,「青汁」という飲料,原料に用いられる「養命青汁」が,著名な養命酒に配合 された生薬と同一の成分が含有されているなどの養命酒の姉妹商品として,被告の 出所に係るものと誤認するか,あるいは,当該商品が被告との間にいわゆる親子会 社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグル\nープに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信され,商品の出所に つき誤認を生じさせるものと認められる。

◆判決本文

◆関連案件です。平成27(行ケ)10073

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 >> 商4条1項各号
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平成27(ネ)10037  商標権侵害行為差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成27年11月5日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 商標「湯〜トピアかんなみ」は、「ラドン健康パレス」+「湯〜とぴあ」とは非類似と判断されました。1審では類似するとの判断でした。
 もっとも,原告商標は,その外観上,上段の「ラドン健康パレス」の部分と 下段の「湯〜とぴあ」の部分とから成る結合商標と認められるところ,その文字の色 及び大きさの違い,その配置態様によって,一見して明瞭に区分して認識されるもの であるから,これらの二つの部分は,分離して観察することが取引上不自然と思われ るほど不可分に結合しているものということはできない。
・・・・
以上の認定事実によれば,「ゆうとぴあ」(「ユートピア」)と称呼される語は,「湯」の漢字を含む場合であると,「湯」の漢字を含まない場合であると,いずれの場合で あっても,入浴施設の提供という役務においては,全国的に広く使用されているとい うことができる。 したがって,原告商標のうち,下段の「湯〜とぴあ」の部分は,入浴施設の提供と いう指定役務との関係では,自他役務の識別力が弱いというべきであるから,取引者 又は需要者をして役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるということ はできず,この「湯〜とぴあ」の部分だけを抽出して,被告標章と比較して類否を判 断することは相当ではない。
(ウ) また,上段の「ラドン健康パレス」の部分は,前記アのとおり,「ラドン」, 「健康」及び「パレス」といういずれも一般的な単語を繋げたものであり,温泉施設 の名称の中で用いられた場合には,それらの単語が持つ個々の意味合いを併せた「ラ ドンを用いた健康によい温泉施設」という程度の一般名称的な意味を示すにすぎず, 入浴施設の提供という指定役務との関係では,自他役務の識別力が弱いというべきで ある。
(エ) そうすると,原告商標の上段部分の「ラドン健康パレス」及び下段部分の「湯 〜とぴあ」の各部分は,指定役務との関係では,いずれも出所識別力が弱いものであ って,両者が結合することによってはじめて,「ラドンを用いた健康によい温泉施設 であって,理想的で快適な入浴施設」であることが明確になるものであるから,原告 商標における「ラドン健康パレス」と「湯〜とぴあ」は不可分一体として理解される べきものである。したがって,原告商標については,上段部分の「ラドン健康パレス」 と下段部分の「湯〜とぴあ」の部分を分離観察せずに,全体として一体的に観察して, 被告標章との類否を判断するのが相当である。

◆判決本文

原審はこちらです。

◆平成25(ワ)12646

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平成26(ワ)8869  不正競争行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟 平成27年9月29日  大阪地方裁判所  棄却

 被告表示「モーノマスター」が「モーノポンプ」と混同が生じているかが争われました。裁判所は、「モーノポンプ」については周知であると認めたものの、混同生じていないと判断しました。
 「モーノポンプ」(原告表示3)について検討するに,上記認定の事実によれば,原告は,原告商品について,「ヘイシン」あるいは「ヘイシン」とともに「モーノポンプ」の表\示(原告表示3)を使用するほか,原告の取扱商品が原告表\示3の商品であるとして長期間販売,広告を続けてきたこと,一軸偏心ねじポンプ市場において原告商品が占める割合は90%を占め,他方,原告以外の一軸偏心ねじポンプを製造販売している会社が,「モーノポンプ」を含む商品名を用いず,それ以外の商品名を使用していたことからすれば,一軸偏心ねじポンプの需要者間においては,「モーノポンプ」は代表的な一軸偏心ポンプの商品名として,すなわち,その製造販売者の原告の商品の出所表\示として,周知になっているものと認められる。
・・・・
「モーノポンプ」と被告表示1「モーノマスター」は,その称呼において異なっている。しかし,「モーノポンプ」のうち,ポンプは機械としてのポンプと認識されるから,原告表\示は,「モーノ」に普通名詞であるポンプという語を結合した商標と認識されるし,他方,被告表示1「モーノマスター」についても,「マスター」は,たとえば被告商品にも多くに見られるように(乙1),ある商品名の末尾に付加して,同商品の優秀性を強調するためによく用いられる用語であるから,連続して記載されていたとしても独立した1語とは認識されず,「モーノポンプ」同様に,「モーノ」に上記意味での「マスター」という語を結合した商標であると認識される。\nそして,「モーノ」は,通常の日本人にとっては,普通名詞とは認識されないものといえるから,原告と被告の両表示に共通する「モーノ」部分が,両表\示のいずれにとってもその要部足り得るものとして注目されることになるはずである。
(2) しかし,上記2(2)のとおり,一軸偏心ねじポンプの需要者間では,「モーノ」は,一軸偏心ねじポンプの発明者と結びつき,一軸偏心ねじポンプの発明者自身,あるいは,その発明した一軸偏心ねじポンプの原理を示すものと認識されるものであって,それ自体としては,出所表示機能\を果たす自他識別力を有さないものである。そうすると,上記需要者の認識を前提とする限り,「モーノポンプ」及び「モーノマスター」とも,「モーノ」部分は要部となり得ないということになり,結局,両表示とも一体の語として観念を比較すべきであることになるから,両表\示の観念は異なるものといわなければならない。したがって,原告表示「モーノポンプ」と「モーノマスター」は類似しているものとは認められないというべきである。\n

◆判決本文

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平成25(行ケ)10011  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成27年5月14日  知的財産高等裁判所

 「DHC ディープクレンジングオイル」は周知であっても「ディープクレンジングオイル」は他社からの販売されていたので、周知性なしとした審決が維持されました。なお、被告は,答弁書その他の準備書面も提出しなかったので、(1)特許庁における手続の経緯等,(2)本件審決の内容の各事実は自白と認められたものの、法的評価は審決のままでした。
 前記(2)のとおり,原告は,平成7年12月に,「DHC ディープクレンジングオイル」という商品名の本件商品を,包装容器の上部に引用商標1を付して販売を開始して以降,通信販売,ホテル等への出荷,全国各地の小売店等で販売を継続し,販売数量については,平成7年12月から平成24年2月までの累計が7935万8050本であったこと,全国紙である日刊新聞への広告の掲載,女性向け雑誌への広告の掲載,原告の販売製品の愛用者向けの月刊会報誌への広告の掲載,新聞への折り込みチラシによる広告や街頭配布のチラシ広告,テレビコマーシャル,電車内の中吊り広告・広告用ステッカー,渋谷駅,名古屋駅及び梅田駅構内の広告等により,大量かつ継続的に本件商品の宣伝広告を行ない,平成11年以降平成21年までの間,継続的に新聞広告に多額の費用をかけ,殊に平成16年以降平成21年までの間のテレビコマーシャルについては,年度によっては数億円単位の広告費用をかけていること,化粧品業界における各化粧品メーカーのディープクレンジングオイルを含むクレンジングの販売について,原告は平成12年以降平成20年に至るまで販売実績及びシェアにおいて第1位であったこと,本件\n 商品は平成15年以降平成20年まで女性向け雑誌の読者が選ぶランキング等において,クレンジング部門で第1位に度々選ばれていることなど,原告による本件商品の販売実績及び宣伝広告実績並びにこれらを通じて得られた知名度によれば,本件商品の商品名を表す引用商標と社会通念上同一と認められる「DEEP CLEANSING OIL」及び「ディープクレンジングオイル」の各商標は,本件商品の販売開始以来,平成13年以降に他の多数の化粧品メーカーが相次いで「ディープクレンジングオイル」を製品名とし,又は製品名に含むクレンジングオイル商品を多数市場に投入するまでは,原告の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた(周知となっていた)といえる余地がある。
しかしながら,前記(3)のとおり,遅くとも平成13年2月頃から平成22年1月5日までの間に,本件商標及び引用商標に係る指定商品である「クレンジングオイル」を取り扱う化粧品業界において,「ディープクレンジングオイル」の語は,少なくとも他の11社の化粧品メーカーから13以上のブランドで,「主に毛穴の汚れを落としたり余分な角質を取り除いたりするクレンジングオイル」の製品名又は製品名に含まれる語として使用され,これら「ディープクレンジングオイル」の商標を使用したクレンジングオイル商品が市場に出回り続けている。しかも,このように「ディープクレンジングオイル」の商標を使用したクレンジングオイル商品が他の化粧品メーカーから販売され,多数,市場に出回ることについて,本件商標登録の出願時(平成21年11月6日)及び査定時(平成22年7月6日)に至るまで,原告から他の化粧品メーカーに対して,自己の権利を侵害するものとしてその使用の中止を求めたり,権利侵害である旨の警告をしたとの主張立証はなく,また,原告自ら商標登録出願をしたこともなかったのである。その結果,前記(2)ウのとおり,化粧品業界における原告を含めた各メーカーのクレンジングの販売実績及びシェアにおいて,平成17年頃までは原告の販売高は9 0億円前後であるものの,化粧品業界におけるシェアとしては20%に届かず,その後,平成18年以降は販売高及びシェアも漸減し,本件商標登録の査定がされた平成22年は,販売高が64億5000万円,化粧品業界におけるシェアも12.8%にすぎない。また,前記(1)のとおり,もともと「DEEP CLEANSING OIL」及び「ディープクレンジングオイル」は,その用語からして,「皮膚の深部又は深いところからきれいにするクレンジングオイル」という程度の意味合いを有する語として,取引者・需要者によって一般に認識され得るものであるから,上記のように多数の化粧品メーカーから「ディープクレンジングオイル」の商標を使用したクレンジングオイル商品が市場に出回ることにより,クレンジングオイルの取引者・需要者において,当該商標が原告の業務に係る商品を表示するものというよりも,「皮膚の深部又は深いところからきれいにするクレンジングオイル」という上記程度の意味合いを有する商品一般を指すものと認識するに至ることも自然なことというべきである。\nこのように,原告が平成7年12月に本件商品の販売を開始して以降,他の多数の化粧品メーカーが相次いで「ディープクレンジングオイル」を製品名とし,又は製品名に含むクレンジングオイル商品を多数市場に投入するまでは,「DEEP CLEANSING OIL」及び「ディープクレンジングオイル」の各商標は,原告の業務に係る商品を表示するものとして周知となっていたといえる余地があるものの,平成13年以降,多数の化粧品メーカーがクレンジングオイル市場に参入し,「ディープクレンジングオイル」を製品名又は製品名に含むクレンジングオイル商品が多数市場に出回り,これに対して原告から化粧品メーカーに対して,差止請求及び権利侵害の警告等をすることなく,また,同商標について商標登録出願をすることもなく推移することによって,本件商標登録の出願時(平成21年11月6日)及び査定時(平成22年7月6日)においては,「ディープクレンジングオイ\nル」及び「DEEP CLEANSING OIL」の各商標は,クレンジングオイルの取引者・需要者の間において,「皮膚の深部又は深いところからきれいにするクレンジングオイル」というクレンジングオイル商品の品質ないし用途を表示するものとして認識され使用されていたものというべく,そうすると,本件商標登録の出願時及び査定時においては,もはや,「ディープクレンジングオイル」又は「DEEP CLEANSING OIL」の商標の使用された商品に接した取引者・需要者にとって,それが原告の業務に係る商品を表示するものとして周知されていたとまでいうことはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。\n

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平成25(ワ)12646  商標権侵害行為差止等請求事件  商標権  民事訴訟 平成27年2月20日  東京地方裁判所

 商標「湯〜トピアかんなみ」が「ラドン健康パレス/湯〜とぴあ」の権利を侵害するすると判断されました。いずれもロゴ化された商標で、いずれも特許庁に登録されていました。
 前記(2)及び(3)のとおり,原告商標のうち強く支配的な印象を与える部分である「湯〜とぴあ」と,被告標章のうち強く支配的な印象を与える部分である「湯〜トピア」とを対比すると,原告商標の「湯〜とぴあ」の部分から,「ユートピア」の称呼及び「理想的で快適な入浴施設」という程度の観念が生じ,被告標章の「湯〜トピア」の部分からも,「ユートピア」の称呼及び「理想的で快適な入浴施設」という程度の観念が生じることが認められるから,原告商標と被告標章とは,強く支配的な印象を与える部分において同一の称呼及び観念を有するものということができ,また,外観においても,いずれも「湯〜とぴあ」ないし「湯〜トピア」の文字を含み,平仮名か片仮名かの違いがあるにすぎず,実質的に同じ語をその構成に含んでいるということができる。一方で,原告商標と被告標章とは,その文字の字体が異なるほか,原告商標には,「湯〜とぴあ」の文字のほかに「ラドン健康パレス」との文字があり,また,被告標章には,「湯〜トピア」の文字のほか,「かんなみ」の文字,「IZU KANNAMI」及び「SPA」の欧文字並びに花の図形が含まれているが,前記(2)及び(3)のとおり,それらの構成部分は,原告商標又は被告標章において,「湯〜とぴあ」ないし「湯〜トピア」の部分と比べて目立つ部分であるとはいえず,出所識別標識としての機能\を有しているとは認められないので,それらの相違は類否判断に影響を与えるものではない。 そうすると,原告商標及び被告標章からは同一の称呼及び観念が生じること,その外観上も上記のとおり類似性を有することに加えて,前記(4)のとおり,全国の入浴施設については,同一の経営主体が各地において同様の名称を用いて複数の施設を運営することがあることも考慮すると,原告商標と被告標章との外観上の相違点,原告施設と被告施設の所在地,施設の性格及び利用者の層が異なること,原告施設及び被告施設のほかにも「湯ーとぴあ」又はこれに類する名称を用いた施設が全国に複数存在することなどの事情を斟酌したとしても,原告商標と被告標章が,入浴施設の提供という同一の役務に使用された場合には,その需要者において,その役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当というべきである。
・・・
同一又は類似の商標であっても,原則として,商標法4条1項11号,同法8条1項,2項の先願や同日出願の規定による制限を受けないものであり(上記改正法の改正附則4条2項,3項,5条1項,3項),また,上記3)ないし6)の登録商標は,いずれも「UTOPIA」,「ユートピア」又は「湯とぴあ」の文字を含むが,「湯ートピア」ないし「湯ーとぴあ」の文字を含むものではなく,そして,上記5)ないし7)の登録商標は,いずれも標準文字から成るものであって,各文字の大きさ及び書体は同一であり,その全体が等間隔に1行でまとまりよく表されているものであるから,そのうちの一部の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構\成されているということはできないものである。したがって,これら7件の登録商標があるからといって,それらとの比較から,原告商標のうち「湯〜とぴあ」の部分が出所識別機能を果たしていないということはできない。\n

◆判決本文

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