2006.10. 3
ちょっと前の事件ですが、商標権の分割と補正との関係についての最高裁判決です。分割自体は認めるが親出願に対する補正については、商標法68条の40第1項の規定による補正ではないので補正の効果は遡及しないという判断です。
「商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決(以下「拒絶審決」という。)に対する訴えが裁判所に係属している場合に,商標法10条1項の規定に基づいて新たな商標登録出願がされ,もとの商標登録出願について補正がされたときには,その補正は,商標法68条の40第1項が規定する補正ではないから,同項によってその効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずることはなく,商標法には,そのほかに補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずる旨の規定はない。そして,拒絶審決に対する訴えが裁判所に係属している場合にも,補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずるとすると,商標法68条の40第1項が,事件が審査,登録異議の申立てについての審理,審判又は再審に係属している場合以外には補正を認めず,補正ができる時期を制限している趣旨に反することになる(最高裁昭和56年(行ツ)第99号同59年10月23日第三小法廷判決・民集38巻10号1145頁参照)。 拒絶審決を受けた商標登録出願人は,審決において拒絶理由があるとされた指定商品等以外の指定商品等について,商標法10条1項の規定に基づいて新たな商標登録出願をすれば,その商標登録出願は,もとの商標登録出願の時にしたものとみなされることになり,出願した指定商品等の一部について拒絶理由があるために全体が拒絶されるという不利益を免れることができる。したがって,拒絶審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に,商標法10条1項の規定に基づいて新たな商標登録出願がされ,もとの商標登録出願について願書から指定商品等を削除する補正がされたときに,その補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずることを認めなくとも,商標登録出願人の利益が害されることはなく,商標法10条の規定の趣旨に反することはない。」
原審はこちらです。
平成15(行ケ)83 平成15年10月07日 東京高等裁判所
◆平成16(行ヒ)4 審決取消請求事件 平成17年07月14日 最高裁判所第一小法廷
2006.05. 7
商標法侵害に基づき、いわゆるプロバイダ責任制限法に基づく,発信者情報の開示を求めた事件です。
商標権侵害について、プロバイダ責任制限法に基づく開示が、認められたのは初めてだと思われます。
◆平成17(ワ)24370 損害賠償等 不正競争 民事訴訟 平成18年04月26日 東京地方裁判所