2014.10. 9
プログラムの著作物について、本件テンプレートはデータベースの著作物とは認められないと判断されました。
証拠(甲1,2,6,7,9)及び弁論の全趣旨を総合すると,本件テンプレートは,販売,購買,在庫,会計及び現金出納の5つの主要プロセスについて,サブプロセスを含めると82の標準的な業務フローが登録されており,各プロセスには関連する勘定科目が定義され,364個の標準的,典型的なリスクがアサーションの定義とともに登録されていて,被告製品を購入したユーザーがこれをサンプルテンプレートとして利用することで必要な情報をデータベースに随時登録し,プロセス記述書,RCM等として引き出すことにより,内部統制に関する情報を容易に利用することが可能となるものであると認められる。しかしながら,本件テンプレートの実体や存在形式は判然としないし,具体的にどのような情報がいかなる体系で構\成されているのかについては,本件全証拠によってもその詳細が判然としないから,仮に本件テンプレートがデータベースに該当するものであるとしても,その情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するものであるとは認め難い。\nしたがって,本件テンプレートがデータベースの著作物であると認めることはできないから,これを前提とした原告の請求は理由がない。
◆判決本文
指令の表現の組合せ,表\現順序等について,具体的にどのような表現上の創作性を有しているのか、を主張立証しなかったため、プログラムの著作物について、法上の著作物ではないと判断されました。原告は代理人無しの本人訴訟です。
著作権法上保護される「著作物」というためには,思想又は感情を創作的に表現したものであることを要する(著作権法2条1項1号)ところ,プログラムは,「電子計算機を機能\させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したもの」(同項10号の2)であり,所定のプログラム言語,規約及び解法(同法10条3項)に制約を受けながら,コンピュータに対する指令をどのように表\現するか,その指令の表現をどのように組み合わせ,どのような表\現順序とするかなどについて,保護されるべき作成者の個性(創作性)が表れることになる。以上によれば,プログラムに創作性があるというためには,指令の表\現自体,その指令の表現の組合せ,その表\現順序からなるプログラムの全体に選択の幅があり,かつ,それがありふれた表現ではなく,プログラム作成者の個性,すなわち,表\現上の創作性が表れていることを要するものと解される。(2) 原告は,原告各プログラムについて,BSS−PACKシステムを構成する各部分の働きをコントロールしてシステム全体を稼動させる特別なプログラムであって,定型性のない原告の創作プログラムであり,極めて画期的なものであると主張するが,原告の主張からは,指令の表\現自体,指令の表現の組合せ,表\現順序等について,具体的にどのような表現上の創作性が表\れているのかが明らかではないし,本件全証拠によっても,原告各プログラムに表現上の創作性があると認めることはできない。(3) したがって,原告各プログラムが「著作物」に当たるということはできない。
◆判決本文