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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

プログラムの著作物

令和6(ワ)70189  損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟 令和6年12月23日  東京地方裁判所

VBAで記載されたプログラムについて、著作物性なしと判断されました。

(1) 著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであるから、思想、感\n情若しくはアイデア、事実若しくは事件など表現それ自体でないもの又は表\ 現上の創作性がないものは、著作物に該当せず、著作権法上保護されるもの とはいえない。
これを本件についてみると、原告は、本件プログラムのソースコードのう\nち、1)製品名のドロップダウンリストを表示する機能\に関する部分(以下「1) 部分」という。)、2)顧客の名前を検索、確定する機能に関する部分(以下\n「2)部分」という。)、以上の2点を赤色でマーキングし、当該2点を創作 的表現部分として主張するものと解されるところ、原告は、裁判所からの繰\nり返しの釈明にかかわらず(第1回口頭弁論調書参照)、これらが創作的表\n現に該当する理由を具体的に主張するものではない。
この点を措き、原告の主張について精査しても、1)部分については、原告 の主張は、ActiveXコントロールのコンボボックスを使用し、フォン トやフォントサイズをカスタマイズ可能にするという、単なるアイデアをい\nうものにすぎない。念のため、1)部分の内容についてみても、証拠(甲14、 15)及び弁論の全趣旨によれば、エクセルにおいて標準仕様として用意さ れているActiveXコントロール及びActiveXコントロールのコ ンボボックスを用いて項目をドロップダウンリストとして選択可能とさせる\nものであって、これらを使用してフォント名及びフォントサイズをカスタマ イズする手法自体は、極めてありふれたものにすぎない。更に念のため、こ れらの機能に対応するソ\ースコードについてみても、使用されている指令及 びその組合せにおいて、原告の個性が表れているものといえないことは明ら\nかである。
また、2)部分についても、原告の主張は、ユーザフォーム画面のコンボボ ックスで、カタカナ行のドロップダウンリストから目的のカタカナ行をマウ スで選択して、表示されたリストボックスから目的の名前と電話番号をマウ\nスでクリックすることで顧客の名前を選択可能にするという、単なるアイデ\nアをいうものにすぎない。念のため、2)部分の内容についてみても、証拠(甲 14、16)及び弁論の全趣旨によれば、エクセルにおいて標準仕様として 用意されているユーザフォームのコンボボックスとリストボックスを用いる ものであり、コンボボックスとリストボックスを用いてマウスで値を選択さ せ、リストボックスの項目が選択されたときに実行されるChangeイベ ントを用いることにより、マウスで選択された値を取得することを可能とす\nるものであって、これらの手法自体は、いずれも極めてありふれたものにす ぎない。更に念のため、これらの機能に対応するソ\ースコードについてみて も、使用されている指令及びその組合せにおいて、原告の個性が表れている\nものといえないことは明らかである。 これらの事情の下においては、原告の主張は、アイデアをいうものに帰し、 本件プログラムに表現上の創作性を認めることはできない。\nしたがって、原告の主張は、いずれも採用することができない。

◆判決本文

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