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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

著作物

◆H14.12.19 東京地裁 平成14(ワ)2978 著作権 民事訴訟事件

  建築設計図面の著作物性が争われた事例です。
  裁判所は、「原告設計図書は,・・・設計者の意図したとおりに施工できるように建物の具体的な構造を通常の製図法によって表\現したものであって,建築に関する基本的な知識を有する施工担当者であればだれでも理解できる共通のルールに従って表現されているのが通常であり,その表\現方法そのものに独創性を見いだす余地はない。・・・このような個人住宅は,敷地の面積・形状や,道路・近隣建物等との位置関係,建ぺい率,容積率,高さ,日影等に関する法令上の各種の制約が存在するほか,間取りについても家族構成等に基づく施主の要望を採り入れる必要があることから,建物面積や建物構\造等,間取り,各部屋の寸法等について,設計者による独自の工夫の入る余地はほとんどない。・・・原告は,原告設計図書における工夫として,?@ 1尺(303?o)の標準寸法を利用しなかったこと,?A 駐車場を建物の斜め方向に設けたこと,?B 小屋裏を居間・食堂と一体的に計画したこと,?C バルコニーをロフト部分に設けたことを挙げて,これらの具体的な工夫については創作性が認められる旨主張する。しかし,・・・?@は建物の設計において他に例がないわけではなく,独創性のある表現方法とまではいえないし,?A?B?Cについても,建物の間取りや構造上独創性のあるものとまではいえない。」と判断しました。

 

◆H14.12.19 東京地裁 平成14(ワ)2978 著作権 民事訴訟事件

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◆H14.11.14 東京高裁 平成12(ネ)5964等 著作権 民事訴訟事件

  著作物の創作性が争われました。
 「著作権法は,発見や仮説そのものを保護し,これらを発見者や仮説の提唱者に独占させようとするものではない。控訴人ら主張のように,素材の取捨選択等の内容の重視を押し進めて,それが独創的であるとの一事をもって,表現に創作性がある,としたり,あるいは内容が同一であることから,表\現にも同一性がある,としたりすると,その背後にある発見(発見された事実)や仮説の他者による表明が,事実上極めて困難となり,結局,発見や仮説そのものを保護し,発見者や提唱者によるその独占を認めることにならざるを得ない。このような結果は,著作権法の立場と両立し得ないことが明らかであり,このような結果をもたらす控訴人らの解釈を採用することはできない。」

 

◆H14.11.14 東京高裁 平成12(ネ)5964等 著作権 民事訴訟事件

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◆H14.11.15 東京地裁 平成14(ワ)4677 著作権 民事訴訟事件

  この事件もQシートというテストにもいる質問用紙の著作物が争われました。編集著作物として争わなかったのはなぜでしょうか?
裁判所は「1つ1つの質問文は,いずれも前述のとおり短文である上,一般的かつ日常的でありふれた表現が用いられており,特徴的な言い回しがあるとも認められない。・・・原告が工夫したとする点は,質問ではなく肯定文又は否定文にしたことや性格の傾向ではなく経験を尋ねる内容にしたことや具体的な場面をイメージしやすい言葉を選択したこと等であって,一般的かつ日常的でありふれた表\現の域を出るものではない。・・・著作権法は表現を保護するものであって,思想やアイディアを保護するものではないから,いずれの質問文の表\現にも創作性が認められない以上,著作物性は認められない。・・・個々の質問文に著作物性が認められない以上,これらの独立した質問文を80問集めたものであるQシートの質問文全体についても,それが編集著作物として著作物性を認められるかどうかという点を別にすると,著作物性は認められない」と述べました。  

 

◆H14.11.15 東京地裁 平成14(ワ)4677 著作権 民事訴訟事件

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