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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

著作物

◆平成20(ワ)4874  著作権 民事訴訟 平成21年03月30日 東京地方裁判所

 法的書類(催告書)が著作物か、著作者は誰かが争われました。裁判所は、著作者は弁護士であり、また、著作物でないと認定しました。
 「上記の認定事実によれば,本件催告書には,読売新聞西部本社の法務室長の肩書きを付して原告の名前が表示されているものの,その実質的な作成者(本件催告書が著作物と認められる場合は,著作者)は,原告とは認められず,原告代理人(又は同代理人事務所の者)である可能\性が極めて高いものと認められる。・・・以上の諸点を考慮すると,本件催告書は,原告が作成したものではないと認められる。
 「本件催告書の構成は,本件第1文において,本件催告書によって中止を求める対象となる被告の行為を指摘し,本件第2文において,原告の権利内容の主張をし,本件第3文において,本件第1文で指摘した被告の行為は,本件第2文で示した原告の権利を侵害する違法な行為であることを主張し,本件第4文において,被告に対して,本件第1文で指摘した行為の中止を求め,本件第5文において,本件第4文の催告に従わない場合に,原告が法的措置を採ることを示すというものである。被告サイトに掲載されている本件回答書の削除を,本件回答書の公表\権に基づき請求するという内容の催告書を作成する場合,種々の構成が考えられるが,上記の構\成を採ることは自然であり,実際,代理人催告書も,上記と同じ構成を採っており,各種の催告書の文例にも,上記の構\成と同様の構成を採っているものがある(乙1,3)。したがって,本件催告書全体の構\成に,原告の個性が現れているということはできないと解される。」

◆平成20(ワ)4874  著作権 民事訴訟 平成21年03月30日 東京地方裁判所

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◆平成17(ワ)2641 著作権確認等請求事件 著作権民事訴訟 平成21年02月26日 大阪地方裁判所

 争点の1つがプログラムが著作物性を有するかでした。裁判所は本件プログラムは著作物性であると認定しました。

 「プログラムは,「電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表\ 現したもの」であり(著作権法2条1項10号の2),所定のプログラム言語,規約及び解法に制約されつつ,コンピュータに対する指令をどのように表現するか,その指令の表\ 現をどのように組み合わせ,どのような表現順序とするかなどといったところに,法により保護されるべき作成者の個性が表\ れることになる。したがって,プログラムに著作物性があるというには,指令の表現自体,その指令の表\ 現の組合せ,その表現順序からなるプログラムの全体に選択の幅が十\ 分にあり,かつ,それがありふれた表現ではなく,作成者の個性が表\ れていることを要する。
 (3) 本件プログラムの著作物性の有無 

 本件プログラム全体について本件プログラムは,DHL車にTC車が複数両一挙に連結された場合に,何両のTC車が連結されたのかはDHL車に予め示されておらず,かつ各TC車の連結操作番号も決められていない状態から,DHL車の最寄り側から順次整然と連結操作番号が決定される等の特徴(前記(1)エ(キ))を,DHL車とTC車の部分が相まって初めて発揮するものであるから,全体としてひとまとまりの著作物というべきである。前記(1)において認定したとおり,本件プログラムの内容は,DHL車から連結されている複数のTC車に対し,任意の連結操作番号を付与し,常時電気信号を送信し,その受信状態により,連結状況・異常の有無を確認したり,ブレーキの解放・緊締のための信号を送信するもので,作業自体は,複数の種類がある上に,その作業の一つ一つについて相当程度の数の段階・順序を踏むものであり,その方法も,各車両の対向する部分に設置された搬送コイルの電磁信号送受信装置を用いるもので,非接触方式であり,搬送コイルによる非接触方式によるこのような車両の連結・解放・ブレーキ操作の方法・装置は,特許を取得する程度に新規なものであったことから,これに対応するプログラムも,当時およそ世の中に存在しなかった新規な内容のものであるということができる。したがって,本件プログラムは,DHL車の部分及びTC車の部分を併せた全体として新規な表現であり,しかも,その分量(ソ\ースリストでみると,DHL車の部分は1300行以上,TC車の部分は約1000行)も多く,選択配列の幅が十分にある中から選択配列されたものということができるから,その表\ 現には全体として作成者の個性が表れているものと推認することができる。」

◆判決本文

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◆平成19(ワ)18724 損害賠償請求事件 著作権民事訴訟 平成20年12月25日 東京地方裁判所

   静止画の連続するゲームプログラムが映画の著作物に該当するかが争われました。裁判所は、該当しないと判断しました。
 「本件ゲームソフトの影像は,多数の静止画像の組合せによって構\成されており,静止画像の画面ごとに音楽や台詞が加えられ,台詞の終了ごとに所定の位置をクリックすること等をきっかけとして画面が変わること,主人公が登場人物と会話する場面の影像は,画面全体に「総帥室」,「エレツィオーネ厨房」など百貨店内の特定の場所を示す静止画像が表示されるとともに,画面上部中央に「零式真琴」などその登場人物の静止画像が表\示され,画面下部に主人公とその登場人物の会話等が順次表示されることで構\成されていること,プレイヤーが画面に表示された複数のコマンドの一つを選択するに従ってストーリーが展開し,コマンドの選び方によってストーリーが変化することが認められる。他方で,甲3からは,本件ゲームソ\フトの影像中に,動きのある連続影像が存することを認めることはできない。もっとも,甲3には,設定場面が変わる際に主人公等のキャラクターが静止画像で表示されているマップ上を移動する場面があるが,同場面は,本件ゲームソ\フトの影像のものではなく,被告ゲームソフトの影像の一部であると認められる。他に本件ゲームソ\フトの影像中に動きのある連続影像が存することを認めるに足りる証拠はない。・・・本件ゲームソフトの影像は,多数の静止画像の組合せによって表\現されているにとどまり,動きのある連続影像として表現されている部分は認められないから,映画の著作物の要件のうち,「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表\現されていること」の要件を充足しない。したがって,本件ゲームソフトは,映画の著作物に該当するものとは認められない。」

◆平成19(ワ)18724 損害賠償請求事件 著作権民事訴訟 平成20年12月25日 東京地方裁判所

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