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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

複製

平成24(ワ)15034 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年11月30日 東京地方裁判所

 プログラムの著作物について、本件プログラムに基づいて生成された画像は、プログラムの著作物の複製ではないと判断しました。
   被告は,同一事案について既に判決が確定しているから,一事不再理の原則からみても本件訴えは却下されるべきであると主張する。しかし,別件訴訟は,原告が,被告に対し,主位的には,ウェブサイト制作作業等の請負代金等296万円及び遅延損害金の支払を,予備的には,被告が原告作成のウェブサイト等に不正にアクセスしたことによってウェブサイト制作費,コンサルティング料金等相当額である286万円を不当に利得したとして同額及び法定利息金の支払を求めたものである(甲3の1・2。なお,原告は,別件訴訟控訴審において,主位的請求及び予\備的請求とも100万円及びこれに対する附帯請求の限度に請求を減縮した。)。これに対し,本件訴訟は,原告が,被告に対し,本件プログラムの著作権(複製権)侵害(予備的に一般不法行為)に基づき,損害賠償金合計1120万円の一部請求として280万円の支払を求める事案である。別件訴訟と本件訴訟とは当事者を同一にし,事実関係に重なるところがあるとはいえ,訴訟物も争点も異なるものであるから,本件訴えが一事不再理の原則により不適法であるとはいえない。
2 別件乙3の印刷による複製権侵害による不法行為について
(1) 原告は,別件乙3の印刷物は,原告が著作権を有するプログラムの著作物である本件プログラムを紙に印刷して複製したものであり,複製権侵害であると主張するので,この点について検討する。
(2) 原告は,本件プログラムは原告が創作した「プログラムの著作物」(法10条1項9号)であると主張する。プログラムは,「電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表\現したもの」(法2条1項10号の2)であり,所定のプログラム言語,規約及び解法(法10条3項)に制約されつつ,コンピュータに対する指令をどのように表現するか,その指令の表\現をどのように組み合わせ,どのような表現順序とするかなどについて,法により保護されるべき作成者の個性(創作性)が表\れることになる。したがって,プログラムに著作物性(法2条1項1号)があるというためには,指令の表現自体,その指令の表\現の組合せ,その表現順序からなるプログラムの全体に選択の幅があり,かつ,それがありふれた表\現ではなく,プログラム制作者の個性,すなわち,表現上の創作性が表\れていることを要する(知財高裁平成21年(ネ)第10024号平成24年1月25日判決・裁判所ウェブサイト)。原告は,本件プログラムのソースコード(甲6の1。A4用紙7枚(1枚当たり36行。全部で232行)のもの。)を提出するものの,本件プログラムのうちどの部分が既存のソ\ースコードを利用したもので,どの部分が原告の制作したものか,原告制作部分につき他に選択可能な表\現が存在したか等は明らかでなく,原告制作部分が,選択の幅がある中から原告が選択したものであり,かつ,それがありふれた表現ではなく,原告の個性,すなわち表\現上の創作性が発揮されているものといえるかも明らかでない。・・・
 原告は,被告がブラウザを用いて本件プログラムにアクセスし,その情報を被告のパソコンのモニタに表\示させ,表示された情報のスクリーンショットを撮り,当該スクリーンショットの画像ファイルを紙である別件乙3(甲1の1,乙2)に印刷したことが,プログラムの著作物である本件プログラムの複製に当たると主張する。法にいう「複製」とは,印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再製することをいうが(法2条1項15号),著作物を有形的に再製したというためには,既存の著作物の創作性のある部分が再製物に再現されていることが必要である。これを本件についてみると,紙である別件乙3(甲1の1,乙2)に記載されているのは画像であって,その画像からは本件プログラムの創作性のある部分(指令の表\現自体,その指令の表現の組合せ,その表\現順序からなる部分)を読み取ることはできず,本件プログラムの創作性のある部分が画像に再現されているということはできないから,別件乙3の印刷が本件プログラムの複製に当たるということはできない。

◆判決本文

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平成24(ネ)10027 著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年08月08日 知的財産高等裁判所

 グリー vs DeNAの釣りゲームについて、知財高裁は、釣りゲームの画面は、表現といえるまで具体化されていないとして、著作権侵害ではないと判断しました。
 原告作品と被告作品とは,いずれも携帯電話機向けに配信されるソーシャルネットワークシステムの釣りゲームであり,両作品の魚の引き寄せ画面は,水面より上の様子が画面から捨象され,水中のみが真横から水平方向に描かれている点,水中の画像には,画面のほぼ中央に,中心からほぼ等間隔である三重の同心円と,黒色の魚影及び釣り糸が描かれ,水中の画像の背景は,水の色を含め全体的に青色で,下方に岩陰が描かれている点,釣り針にかかった魚影は,水中全体を動き回るが,背景の画像は静止している点において,共通する。イ しかしながら,そもそも,釣りゲームにおいて,まず,水中のみを描くことや,水中の画像に魚影,釣り糸及び岩陰を描くこと,水中の画像の配色が全体的に青色であることは,前記(2)ウのとおり,他の釣りゲームにも存在するものである上,実際の水中の影像と比較しても,ありふれた表現といわざるを得ない。次に,水中を真横から水平方向に描き,魚影が動き回る際にも背景の画像は静止していることは,原告作品の特徴の1つでもあるが,このような手法で水中の様子を描くこと自体は,アイデアというべきものである。また,三重の同心円を採用することは,従前の釣りゲームにはみられなかったものであるが,弓道,射撃及びダーツ等における同心円を釣りゲームに応用したものというべきものであって,釣りゲームに同心円を採用すること自体は,アイデアの範疇に属するものである。そして,同心円の態様は,いずれも画面のほぼ中央に描かれ,中心からほぼ等間隔の三重の同心円であるという点においては,共通するものの,両者の画面における水中の影像が占める部分が,原告作品では全体の約5分の3にすぎない横長の長方形で,そのために同心円が上下両端にややはみ出して接しており,大きさ等も変化がないのに対し,被告作品においては,水中の影像が画面全体のほぼ全部を占める略正方形で,大きさが変化する同心円が最大になった場合であっても両端に接することはなく,魚影が動き回っている間の同心円の大きさ,配色及び中央の円の部分の画像が変化するといった具体的表\現において,相違する。しかも,原告作品における同心円の配色が,最も外側のドーナツ形状部分及び中心の円の部分には,水中を表現する青色よりも薄い色を用い,上記ドーナツ形状部分と中心の円部分の間の部分には,背景の水中画面がそのまま表\示されているために,同心円が強調されているものではないのに対し,被告作品においては,放射状に仕切られた11個のパネルの,中心の円を除いた部分に,緑色と紫色が配色され,同心円の存在が強調されている点,同心円のパネルの配色部分の数及び場所も,魚の引き寄せ画面ごとに異なり,同一画面内でも変化する点,また,同心円の中心の円の部分は,コインが回転するような動きをし,緑色無地,銀色の背景に金色の釣り針,鮮やかな緑の背景に黄色の星マーク,金色の背景に銀色の銛,黒色の背景に赤字の×印の5種類に変化する点等において,相違する。そのため,原告作品及び被告作品ともに,「三重の同心円」が表示されるといっても,具体的表\現が異なることから,これに接する者の印象は必ずしも同一のものとはいえない。さらに,黒色の魚影と釣り糸を表現している点についても,釣り上げに成功するまでの魚の姿を魚影で描き,釣り糸も描いているゲームは,前記(2)ウのとおり,従前から存在していたものであり,ありふれた表現というべきである。しかも,その具体的表\現も,原告作品の魚影は魚を側面からみたものであるのに対し,被告作品の魚影は前面からみたものである点等において,異なる。
ウ 以上のとおり,抽象的にいえば,原告作品の魚の引き寄せ画面と被告作品の魚の引き寄せ画面とは,水面より上の様子が画面から捨象され,水中のみが真横から水平方向に描かれている点,水中の画像には,画面のほぼ中央に,中心からほぼ等間隔である三重の同心円と,黒色の魚影及び釣り糸が描かれ,水中の画像の背景は,水の色を含め全体的に青色で,下方に岩陰が描かれている点,釣り針にかかった魚影は,水中全体を動き回るが,背景の画像は静止している点において共通するとはいうものの,上記共通する部分は,表現それ自体ではない部分又は表\現上の創作性がない部分にすぎず,また,その具体的表現においても異なるものである。そして,原告作品の魚の引き寄せ画面と被告作品の魚の引き寄せ画面の全体について,同心円が表\示された以降の画面をみても,被告作品においては,まず,水中が描かれる部分が,画面下の細い部分を除くほぼ全体を占める略正方形であって,横長の長方形である原告作品の水中が描かれた部分とは輪郭が異なり,そのため,同心円が占める大きさや位置関係が異なる。また,被告作品においては,同心円が両端に接することはない上,魚影が動き回っている間の同心円の大きさ,パネルの配色及び中心の円の部分の図柄が変化するため,同心円が画面の上下端に接して大きさ等が変わることもない原告作品のものとは異なる。さらに,被告作品において,引き寄せメーターの位置及び態様,魚影の描き方及び魚影と同心円との前後関係や,中央の円の部分に魚影がある際に決定キーを押すと,円の中心部分の表示に応じてアニメーションが表\示され,その後の表示も異なってくるなどの点において,原告作品と相違するものである。その他,後記エ(カ)のとおり,同心円と魚影の位置関係に応じて決定キーを押した際の具体的表現においても相違する。なお,被告作品においては,同心円が表\示される前に,水中の画面を魚影が移動する場面が存在する。以上のような原告作品の魚の引き寄せ画面との共通部分と相違部分の内容や創作性の有無又は程度に鑑みると,被告作品の魚の引き寄せ画面に接する者が,その全体から受ける印象を異にし,原告作品の表現上の本質的な特徴を直接感得できるということはできない。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成23(ワ)13060

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平成23(ワ)13060 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年07月05日 大阪地方裁判所

 同一性を有する部分が,思想又は感情を創作的に表現したものでないとして、翻案権侵害は無しと判断されました。
 著作物の複製(著作権法21条,2条1項15号)とは,既存の著作物に依拠し,その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製することをいう。ここで,再製とは,既存の著作物と同一性のあるものを作成することをいうと解すべきであるが,同一性の程度については,完全に同一である場合のみではなく,多少の修正増減があっても著作物の同一性を損なうことのない,すなわち実質的に同一である場合も含むと解すべきである。また,著作物の翻案(著作権法27条)とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的な表\現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表\現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。もとより,著作権法は,思想又は感情の創作的な表現を保護するものであって(同法2条1項1号),思想,発想又はアイデア等を直接保護するものではない。そのため,仮に既存の著作物に依拠して創作された著作物であっても,具体的な表\現のレベルでの本質的な特徴の同一性が維持されておらず,具体的な表現から抽出される思想,発想又はアイデアのレベルにおいて既存の著作物と同一又は類似と評価され,あるいは事実又は事件といったレベルにおいて同一又は類似の内容を述べていると評価されるにとどまる場合は,両者は,いずれも表\現それ自体ではない部分において共通性を有するにすぎないから,著作権法上の複製にも翻案にも当たらない。また,具体的な表現に同一又は類似と評価される部分があったとしても,表\現上の創作性がない部分について同一又は類似と評価されるにすぎない場合は,やはり複製にも翻案にも当たらない。イ このように,複製又は翻案に該当するためには,既存の著作物とこれに依拠して創作された著作物との間に,外形的表現としての同一性が認められることが必要で,さらに,同一性を有する部分が,著作権法による保護の対象となる思想又は感情を創作的に表\現したものであることが必要である(著作権法2条1項1号)。そして,「創作的」に表現されたというためには,筆者の何らかの個性が表\現されたものであれば足り,厳密な意味で独創性が発揮されたものであることまでは必要ないが,文章自体がごく短く又は表現上制約があるため他の表\現が想定できない場合や,表現が平凡かつありふれたものである場合には,これを創作的な表\現ということはできない。
 ウ 本件において,原告は,被告による被告著作物部分の記述又は発言は,P3の浮世絵についての独自の研究成果を盗用したものであるとして,複製又は翻案に当たる旨主張する。しかしながら,前述のとおり,原告記述部分と被告著作物部分とを対比して同一又は類似するといえる部分があるとしても,それが思想又は感情の創作的表現の同一性の問題ではなく,表\現から抽出される又は表現が前提とする,思想,発想又はアイデアにおける同一性,あるいは事実又は事件における同一性の問題にすぎないときは,当該被告著作物部分の記述又は発言は,複製又は翻案に該当するとはいえない。また,原告記述部分が何らかの歴史的事実に言及し,これに対する見解を述べるものであったとしても,そのような事実,見解自体について,排他的権利が成立するものではなく,これと同じ事実,見解を表\明することが,著作権法上禁止されるいわれはない。

◆判決本文

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平成22(ワ)34705 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年03月22日 東京地方裁判所

 SLのビデオ撮影について、テレビ放映の目次の許諾はないと判断しました。
 以上のとおりであるから,被告オスカ企画による本件テレビ番組の制作,被告オスカ社による本件テレビ番組の販売及び販売先のテレビ局による本件テレビ番組の放送につき,原告の許諾を得ていたと認めることはできない。また,前記認定のとおり,本件テレビ番組がテレビで放送された当時,本件ビデオ映像は,まだ公表されていなかったものであり,かつ,同番組には,撮影者である原告の氏名は表\示されていなかったことが認められる。したがって,原告は,被告オスカ企画が,原告の意に反して本件ビデオ映像を編集し,本件ビデオ映像の一部を利用して本件テレビ番組を制作したことにより,本件ビデオ映像に係る原告の著作権(複製権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害されたものと認められる。また,原告は,被告オスカ社が,本件テレビ番組がテレビで放送されることを目的として,同番組をテレビ局に販売し,その後同番組がテレビで放送されたことにより,本件ビデオ映像に係る原告の著作権(頒布権及び公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権及び公表\権)を侵害されたものと認められる。

◆判決本文
関連事件はこちらです。

◆平成22年(ネ)第10046号/a>

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平成22(ネ)10024 損害賠償請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年02月14日 知的財産高等裁判所

 JASRAC以外の著作権等管理事業者による、カラオケの著作権使用料請求事件です。委託が終了しているか、損害額について争われました。
 TMA社からの解約(解除)通知が発せられたのが平成18年(2006年)7月20日ころであり,契約終了時とされたのがそれから8か月余を経過した平成19年(2007年)3月31日であるから,係属中の損害賠償請求訴訟を一審原告からTMA社に承継させるための猶予期間としては十\分であると解することができ,一審原告は平成19年3月31日の経過により,TMA・原告契約に基づく本件著作権と一審被告に対する損害賠償債権(請求権)の管理権限を全て失ったと認めるのが相当である。この結論は,その後一審原告が,原権利者の一部の者から確認書B(甲75,甲80の1〜44(欠番部分を除く。))及び確認書D(甲145の1の1ないし甲145の62の1,甲150の1,甲151の1,甲152の1,甲153の1,甲158の1,甲160の1,甲161の1)を取得したことを考慮しても,影響を受けるものではない。一審原告は,平成19年(2007年)3月31日を経過しても上記管理権を失わないと主張するが,これを採用することができない。
・・・以上によれば,本件著作権の管理権限については,本件訴訟の対象たる損害賠償請求権も含め,TMA・原告契約によるものは,一審原告はこれを一切有しないというべきである。
・・・
 以上のとおり,一審原告の本訴請求のうち,直接契約に係る部分については,直接契約の締結が認められた部分につき請求を認容し,TMA社を介した部分については,一審原告が対象楽曲の著作権の管理権限を失ったものと認められるため,この部分に関する請求を棄却することとし,その損害額の算定方法については,JASRAC規程の個別課金方式を採用することとする。そうすると,一審原告の本訴請求のうちその認容金額は原判決より少ないこととなるので,一審原告の控訴(A事件)は全て理由がなく,逆に,一審被告の控訴(B事件)は一部理由があることになる。よって,A事件についての一審原告の控訴を棄却し,B事件について一審被告の控訴に基づき原判決を変更することとして,主文のとおり判決する。

◆判決本文

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平成23(ネ)10041等 損害賠償等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年01月31日 知的財産高等裁判所

  元社員が別の会社で作成したプログラムについて複製・翻案権侵害と認定された著作権侵害事件の控訴審です。知財高裁は1審の判断を維持しました。
 上記事実関係によれば,被告プログラムのうち36個のファイルが原告プログラムの35個のファイルとほぼ1対1で対応し,かつ,被告プログラムの上記36個のファイルにおけるソースコードが原告プログラムの35個のファイルにおけるソ\ースコードと,記述内容の大部分において同一又は実質的に同一である。このように,測量業務に必要な機能を抽出・分類し,これをファイル形式に区分して,関連付け,使用する関数を選択し,各ファイルにおいてサブルーチン化する処理機能\を選択し,共通処理のためのソースコードを作成し,また,各ファイルにおいてデータベースに構\造化して格納するデータを選択するなど,原告プログラムのうち作成者の個性が現れている多くの部分において,被告プログラムのソースコードは原告プログラムのソ\ースコードと同一又は実質的に同一であり,被告プログラムは原告プログラムとその表現が同一ないし実質的に同一であるか,又は表\現の本質的な特徴を直接感得できるものといえる。

◆判決本文

◆原審はこちら 平成19(ワ)24698平成23年05月26日東京地裁

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平成23(ネ)10011等 著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年01月31日 知的財産高等裁判所

 ロクラクIIの差し戻し判決です。知財高裁は具体的事案を検討して侵害と認定しました。部門が4部から3部に変わってます。
 最高裁判所は,「放送番組等の複製物を取得することを可能にするサービスにおいて,サービスを提供する者(サービス提供者)が,その管理,支配下において,テレビアンテナで受信した放送を複製の機能\を有する機器(複製機器)に入力していて,当該複製機器に録画の指示がされると放送番組等の複製が自動的に行われる場合には,その録画の指示を当該サービスの利用者がするものであっても,サービス提供者はその複製の主体であると解するのが相当である。」,「複製の主体の判断に当たっては,複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素を考慮して,誰が当該著作物の複製をしているといえるかを判断するのが相当である」等と判示して,本件サービスにおける親機ロクラクの管理状況等について,更なる審理を尽くさせる必要があるとした。当裁判所は,審理の結果,本件サービスにおける,複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素を考慮すると,被告は,放送番組等の複製物を取得することを可能にする本件サービスにおいて,その支配,管理下において,テレビアンテナで受信した放送を複製の機能\を有する機器に入力していて,当該複製機器に録画の指示がされると放送番組等の複製が自動的に行われる場合におけるサービス提供者に該当し,したがって,被告は,本件放送番組等の複製の主体であると認定,判断すべきであると解した。その理由は,以下のとおりである。
・・・
 上記認定した事実に基づいて判断する。まず,ロクラクIIは,親機ロクラクと子機ロクラクとをインターネットを介して1対1で対応させることにより,親機ロクラクにおいて受信した放送番組等を別の場所に設置した子機ロクラクにおいて視聴することができる機器であり,親機ロクラクは,設置場所においてテレビアンテナを用いて受信した放送番組等をハードディスクに録画し,当該録画に係るデータをインターネットを介して,子機ロクラクに送信するものであって,ロクラクIIは,親子機能を利用するに当たり,放送番組等を複製するものといえる。また,被告は,上記のような仕組みを有するロクラクIIを利用者にレンタルし,月々,賃料(レンタル料)を得ている(なお,被告は,第1審判決前の時点において,一般利用者に対し,親機ロクラクと子機ロクラクの双方を販売していたとは認められないのみならず,同判決後の時点においても,親機ロクラクと子機ロクラクのセット価格が39万8000円と高額に設定されていることからすれば,親機ロクラクと子機ロクラクの双方を購入する利用者は,ほとんどいないものと推認される。)。そして,日本国内において,本件サービスを利用し,居住地等では視聴できない他の放送エリアの放送番組等を受信しようとする需要は多くないものと解されるから,本件サービスは,主に日本国外に居住する利用者が,日本国内の放送番組等を視聴するためのサービスであると解される。さらに,本件サービスは,利用者が,日本国内に親機ロクラクの設置場所(上記のとおり,電源供給環境のほか,テレビアンテナ及び高速インターネットへの接続環境を必要とする。)を確保すること等の煩わしさを解消させる目的で,サービス提供者が,利用者に対し,親機ロクラクの設置場所を提供することを当然の前提としたサービスであると理解できる。そして,被告は,本件モニタ事業当時には,ほとんどの親機ロクラクを被告本社事業所内に設置,保管し,これに電源を供給し,高速インターネット回線に接続するとともに,分配機等を介して,テレビアンテナに接続することにより,日本国外に居住する利用者が,日本国内の放送番組等の複製及び視聴をすることを可能にしていたことが認められる。また,被告は,本件サービスにおいて,当初は,親機ロクラクの設置場所として,被告自らハウジングセンターを設置することを計画していたこと,ところが,被告は,原告NHKらから,本件サービスが著作権侵害等に該当する旨の警告を受けたため,利用者に対し,自ら或いは取扱業者等をして,ハウジング業者等の紹介をし,ロクラクIIのレンタル契約とは別に,利用者とハウジング業者等との間で親機ロクラクの設置場所に係る賃貸借契約を締結させるとの付随的な便宜供与をしたこと,親機ロクラクの設置場所に係る賃料については,被告自ら又は被告と密接な関係を有する日本コンピュータにおいて,クレジットカード決済に係る収納代行サービスの契約当事者になり,本件サービスに係る事業を継続したことが認められる。上記の複製への関与の内容,程度等の諸要素を総合するならば,i)被告は,本件サービスを継続するに当たり,自ら,若しくは取扱業者等又はハウジング業者を補助者とし,又はこれらと共同し,本件サービスに係る親機ロクラクを設置,管理しており,また,ii)被告は,その管理支配下において,テレビアンテナで受信した放送番組等を複製機器である親機ロクラクに入力していて,本件サービスの利用者が,その録画の指示をすると,上記親機ロクラクにおいて,本件放送番組等の複製が自動的に行われる状態を継続的に作出しているということができる。したがって,本件対象サービスの提供者たる被告が,本件放送番組等の複製の主体であると解すべきである。
・・・
 以上のとおり,被告は,本件サービスを継続するに当たり,自ら,若しくは取扱業者等又はハウジング業者を補助者とし,又はこれと共同し,本件サービスに係る親機ロクラクを設置,管理しており,その管理支配下において,テレビアンテナで受信した放送番組等を複製機器である親機ロクラクに入力していて,本件サービスの利用者が,その録画の指示をすると,上記親機ロクラクにおいて,本件放送番組等の複製が自動的に行われる状態を作出しているということができる。したがって,本件対象サービスの提供者たる被告が,本件放送番組等の複製の主体であると解すべきである。

◆判決本文

◆最高裁判決はこちらです。 

1審・仮処分はこちらです
    ◆平成19(ワ)17279号
    ◆平成18(ヨ)22046号

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平成22(受)1884 著作権侵害差止等請求事件 平成24年01月17日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻し 知的財産高等裁判所

原審は、映画の著作物について、著作権存続期間が満了した判断して複製したことについて、高裁は過失無しとして損害賠償請求を棄却しました。これに対して最高裁は、この過失なしとの判断は誤りと判断しました。
 原審は,要旨,次のとおり判断して,上告人の損害賠償請求を棄却した。旧法下の映画については,映画を製作した団体が著作者になり得るのか,どのような要件があれば団体も著作者になり得るのかをめぐって,学説は分かれ,指導的な裁判例もなく,本件各監督が著作者の一人であったといえるか否かも考え方が分かれ得るところである。このような場合に,結果的に著作者の判定を誤り,著作権の存続期間が満了したと誤信したとしても,被上告人に過失があったとして損害賠償責任を問うべきではない。
4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
 旧法下の映画の著作者については,その全体的形成に創作的に寄与した者が誰であるかを基準として判断すべきであるところ(最高裁平成20年(受)第889号同21年10月8日第一小法廷判決・裁判集民事232号25頁),一般に,監督を担当する者は,映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与し得る者であり,本件各監督について,本件各映画の全体的形成に創作的に寄与したことを疑わせる事情はなく,かえって,本件各映画の冒頭部分やポスターにおいて,監督として個別に表示されたり,その氏名を付して監督作品と表\\示されたりしていることからすれば,本件各映画に相当程度創作的に寄与したと認識され得る状況にあったということができる。他方,被上告人が,旧法下の映画の著作権の存続期間に関し,上記の2(7)アないしウの考え方を採ったことに相当な理由があるとは認められないことは次のとおりである。すなわち,独創性を有する旧法下の映画の著作権の存続期間については,旧法3条〜6条,9条の規定が適用される(旧法22条ノ3)ところ,旧法3条は,著作者が自然人であることを前提として,当該著作者の死亡の時点を基準にその著作物の著作権の存続期間を定めるとしているのである。旧法3条が著作者の死亡の時点を基準に著作物の著作権の存続期間を定めることを想定している以上,映画の著作物について,一律に旧法6条が適用されるとして,興行の時点を基準にその著作物の著作権の存続期間が定まるとの解釈を採ることは困難であり,上記のような解釈を示す公的見解,有力な学説,裁判例があったこともうかがわれない。また,団体名義で興行された映画は,自然人が著作者である旨が実名をもって表示されているか否かを問うことなく,全て団体の著作名義をもって公表\\された著作物として,旧法6条が適用されるとする見解についても同様である。最高裁平成19年(受)第1105号同年12月18日第三小法廷判決・民集61巻9号3460頁は,自然人が著作者である旨がその実名をもって表示されたことを前提とするものではなく,上記判断を左右するものではない。そして,旧法下の映画について,職務著作となる場合があり得るとしても,これが,原則として職務著作となることや,映画製作者の名義で興行したものは当然に職務著作となることを定めた規定はなく,その旨を示す公的見解等があったこともうかがわれない。加えて,被上告人は,本件各映画が職務著作であることを基礎付ける具体的事実を主張しておらず,本件各映画が職務著作であると判断する相当な根拠に基づいて本件行為に及んだものでないことが明らかである。そうすると,被上告人は,本件行為の時点において,本件各映画の著作権の存続期間について,少なくとも本件各監督が著作者の一人であるとして旧法3条が適用されることを認識し得たというべきであり,そうであれば,本件各監督の死亡した時期などの必要な調査を行うことによって,本件各映画の著作権が存続していたことも認識し得たというべきである。以上の事情からすれば,被上告人が本件各映画の著作権の存続期間が満了したと誤信していたとしても,本件行為について被上告人に少なくとも過失があったというほかはない。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成21(ネ)10050

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