プログラムの著作物について、複製、公衆送信されたとして損害賠償が認められました。損害額の認定について、本件プログラムは単独では販売されておらず、コニュニティの入会費用として約25万円がプログラムの価値で、被告は、約25万*7名分が損害と主張しました。東京地裁(46部)はそのうちの1人については、コミュニティへの入会の機会を失ったと認定して、約25万円の損害額が認定されました。
(1) 前記1(1)のとおり,原告は,本件ソフトの配布を原告コミュニティへの入\n会の特典とし,原告コミュニティに入会した者から入会費用を受け取ること
によって,本件ソフトを独占的に利用することができる地位による利益を享\n受していた。ここで,被告が本件各行為により本件ソフトを配布した本件各\n参加者は,いずれも原告コミュニティの紹介,勧誘を受けたが入会しなかっ
たこと(前記1(2))を踏まえると,被告の本件各行為がなかったならば本件
各参加者全員が入会費用を支払って原告コミュニティに入会したことを認め
ることはできない。もっとも,本件各参加者のうちAは,原告コミュニティ
に参加した被告と情報交換をして,被告から本件ソフトの交付を受け,また,\n本件ソフトの配布のために必要な処理等を率先して行うなどしていて,本件\nソフトの価値に強く着目していた者であり,被告の行為がなければ,本件ソ\
フトを入手するために本件ソフトが入会特典である原告コミュニティに参加\nしたと認めることが相当である。そうすると,被告の本件各行為により,原
告は少なくとも本件ソフトが入会特典である原告コミュニティに参加した者\nを1名失ったと認められる。
そして,本件ソフトが入会特典であり本件ソ\フトの再許諾料を含むといえ
る原告コミュニティの入会費用は24万9900円であり,また,本件契約
において,原告がBANANAに対して支払う1回の利用許諾代金が同額で
あり,再利用許諾の代金を含む原告コミュニティの参加費用はその利用許諾
代金を下回らない範囲で設定するとされていたこと(前記第2の1(2)イ)等
に照らすと,原告は,少なくとも同額の損害を被ったものと認められる。
また,原告は,BANANAに対して本件各参加者7人分の利用許諾代金
174万9300円を支払う義務を負っているなどとも主張する。しかし,
被告の本件各行為によって原告に上記の支払義務が発生したことを認めるに
は足りず,原告が被告の本件各行為により同額の損害を被ったとは認められ
ない。
◆判決本文
訴外Bからサーバの運営権を購入した会社に対して、カメラマンが写真の著作物の著作権侵害を理由に114万円の損害賠償を求めました。裁判所は、過失は認めたものの、ライセンス料の算定基準に根拠がないとして、14万円の損害賠償を認めました。
証拠(乙2)及び弁論の全趣旨によれば,本件サイトには本件各写真を含
め多数の写真が掲載されており,これらの写真は,「写真の著作物」(著作権
法10条1項8号)又はそれに該当し得るものであったと認めることができ
る。そして,被告は,本件各写真を含めた写真をインターネット上で公開す
る以上,その著作権又は著作者人格権を侵害していないことについて調査,
確認する義務があったといえる。ところが被告は,本件各写真が著作権,著
作者人格権を侵害していないかについて調査,確認をせずに本件各写真をイ
ンターネット上に公開して公衆送信等しており,被告には,少なくとも過失
があったといえる。
(2) 被告は,本件サイト売買を行ったウェブサイトには,「買い手は基本的に
著作権に触れているかどうか把握することは難しい」,「一般的には損害賠償
請求等は,サイトを売った人と著作権違反の警告を出した人の間で行われる」
との記載があり,サイト売買の通例では買い手である被告には損害賠償の支
払義務がなく,また,被告が本件サイトを購入した平成28年2月1日時点
で,掲載されている画像は3万8000点以上にも及び,これらの著作権の
有無を確認するのは実質的に不可能であり,被告には調査義務はないと主張\nする。
しかし,他人の写真を利用する場合にはその著作権又は著作者人格権を侵
害する可能性があるから,被告は,本件各写真を公衆送信等する以上,前記\nの調査,確認をする義務があったといえる。被告が指摘する記載等がウェブ
サイトにあったことや本件サイトに多数の写真が掲載されていたことなど被
告が指摘する事情によってこのことは左右されず,被告の上記主張は採用す
ることはできない。なお,被告が本件サイト売買を行ったウェブサイトには,
「サイト購入時,著作権には注意すること」,「サイトを購入する時あるいは
売却する時もそうですが,著作権が問題となってトラブルになることがあり
ます。使用されている文章や画像,イラスト,アイディアが他の人のマネを
していることがあります。」などと記載され(乙1),サイト売買の対象とな
るウェブサイトには著作権法上の問題があるものが含まれ得ることが明記さ
れていた。
3 争点(5)(損害額)について
(1) 公衆送信権侵害について
ア 証拠(甲7)によれば,協同組合日本写真家ユニオン作成の使用料規程
である本件規程は,同組合が管理の委託を受けた写真の著作物の利用にか
かわる使用料を定めるものであり,一般利用目的(宣伝広告を目的とせず,
記事と共に,事柄を説明するために写真の著作物を利用する場合)でウェ
ブページの最初のページ以降のページに写真を掲載する使用料は,12か
月以内で2万5000円,1年を超える場合の次年度以降の使用料は1年
当たり1万円とされている。
原告は結婚式における写真撮影を業とするカメラマンであり,本件各写
真は,原告が,依頼を受けて結婚式場において撮影したものであり(前記
前提事実(1)ア,同(2)),カメラマンである原告が業務により作成したもの
といえる。そうすると,原告が本件各写真の著作権の行使につき受けるべ
き金銭の額に相当する額(著作権法114条3項)の算定に当たっては,
本件規程の内容を参酌するのが相当である。そして,本件規程の内容に加
えて,被告が遅くとも平成30年12月5日頃までには本件各写真の原告
の公衆送信権(著作権法23条1項)を侵害したこと,本件各写真は令和
2年2月17日に本件各ページから削除されたことその他の本件各写真の
使用態様等に鑑みれば,原告が本件各写真の公衆送信につき受けるべき金
銭の額(著作権法114条3項)は,本件各写真1枚当たり4万円と認め
るのが相当である。
イ この点について,原告は,1)撮影した写真1枚当たり8万円で売却して
おり(甲6),本件のような長期間の無断使用はその4倍が相当であるこ
と,2)本件規程の商用広告目的の写真の使用料が12か月以内で5万円で
あることを考慮して損害額を算定すべきであるなどと主張する。
しかしながら,「ご請求書」と題する甲6号証には,「広告写真使用料」
として8万円と記載されているが,当該写真がどのような写真か明らかで
はない上に,この1件の利用許諾例の外に原告の写真の使用料を裏付ける
証拠は見当たらないことなどからすれば,本件各写真の使用料が1枚当た
り8万円であると認めることはできず,他に原告の上記1)の主張を認める
に足りる証拠はない。
また,本件規程の「商用広告目的」とは,「写真に写された物品等を宣
伝するために広告として利用する場合」をいうとされている(本件規程の
第3条)ところ,本件各写真は,結婚式に関係する文章が記載されるなど
した本件各ページに掲載されたものであり(前記前提事実 ア,イ),い
ずれも本件各写真に写された物品等を宣伝するために広告として本件各ペ
ージに掲載されたものとはいえず,本件各写真の使用は,上記「商用広告
目的」には当たらず,原告の上記2)の主張も採用することはできない。したがって,原告の上記主張はいずれも採用することはできない。
◆判決本文
動画サイトにてストリーミング配信された動画データについて、再生数カウンタの数はどのような方法で計測したものか不明であることなどから、40万円の損害賠償が認められました。
(1) 証拠(甲2,4,10〜12)によれば,1)本件サイトの「再生数」は
「9896」との表示がされていること,2)本件著作物の収録時間は120
分であるが,甲4の2には,アップロードされた動画の再生時間が21分0
5秒であるかのような記載があり,被告が自認する限度でも,その再生時間
は50分にすぎないこと,3)本件著作物は,原告のグループ会社が運営する
ウェブサイトにおいて有料でインターネット配信されており,これをストリ
ーミングで視聴する際の料金が300円(平成28年6月21日時点)とさ
れていること,4)原告は,第三者に対し,著作物のストリーミング配信を
「売上総額(消費税抜き)」の38%で許諾した例があることの各事実を認
めることができる。
(2) 原告は,被告がアップロードした動画の再生回数が9896回であること
から,これに前記のストリーミング料金である300円の38%を乗じた1
12万8144円が使用料相当損害額であると主張するが,本件サイトに表\n示された「再生数」が,無料会員によるごく短い時間のサンプル動画の視聴
も含まれるのかどうかも含め,どのような方法に基づいて計測されたかは明
らかではない。
また,上記のとおり,本件著作物の収録時間は120分であるのに対し,
被告がアップロードした動画の再生時間は,被告の自認する限りでも50分
であり,その再生時間は本件著作物の収録時間より相当程度短かったものと
認められる。
さらに,原告が使用料率の証拠として提出する契約書等は,平成15年4
月のコンテンツ提供基本契約書に基づき平成21年3月に交わされた覚書で
あり,その契約時期は本件著作物のアップロードより相当程度以前のもので
あり,その数も1例にすぎないので,これを基礎として本件著作物の利用料
率を定めることは相当ではなく,加えて,上記のストリーミング料金が消費
税を含む金額かどうかも明らかではない。
以上によれば,原告が主張する再生回数,ストリーミング料金及び利用料
率を基礎とし,その計算式に基づいて算定された損害が原告に生じたと直ち
に認めることはできないが,他方,上記(1)の認定事実(本件サイトに表示\nされた再生回数,被告がアップロードした動画の再生時間,ストリーミング
料金の額,過去の契約例など)に加え,本件に現れた諸事情を全て総合する
と,その損害額は40万円と認めるのが相当である。
なお,被告は,本件著作物は他サイトからの引用であり,著作権侵害の故
意・過失がなかったようにも主張するが,被告は他人の著作物を自らアップ
ロードしたのであるから,被告に少なくとも過失があると認められることは
明らかである。
◆判決本文
アップし忘れましてました。
発信者情報開示事件です。1審では、リツイートはインラインリンクであるので、著作権侵害、人格権侵害に該当しないと判断され、請求は棄却されました。知財高裁(2部)は、著作者人格権侵害があったとして、一部の発信者情報について開示を認めました。最高裁(第3小)も人格権侵害は認めましたが、著作権侵害は否定しました。
自動公衆送信の主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ,情報
を自動的に送信できる状態を作り出す行為を行う者と解されるところ(最高裁平成
23年1月18日判決・民集65巻1号121頁参照),本件写真のデータは,流
通情報2(2)のデータのみが送信されていることからすると,その自動公衆送信の
主体は,流通情報2(2)の URL の開設者であって,本件リツイート者らではないと
いうべきである。著作権侵害行為の主体が誰であるかは,行為の対象,方法,行為
への関与の内容,程度等の諸般の事情を総合的に考慮して,規範的に解釈すべきで
あり,カラオケ法理と呼ばれるものも,その適用の一場面であると解される(最高
裁平成23年1月20日判決・民集65巻1号399頁参照)が,本件において,
本件リツイート者らを自動公衆送信の主体というべき事情は認め難い。控訴人は,
本件アカウント3〜5の管理者は,そのホーム画面を支配している上,ホーム画面
閲覧の社会的経済的利益を得ていると主張するが,そのような事情は,あくまでも
本件アカウント3〜5のホーム画面に関する事情であって,流通情報2(2)のデー
タのみが送信されている本件写真について,本件リツイート者らを自動公衆送信の
主体と認めることができる事情とはいえない。また,本件リツイート行為によって,
本件写真の画像が,より広い範囲にユーザーのパソコン等の端末に表\示されること
となるが,我が国の著作権法の解釈として,このような受け手の範囲が拡大するこ
とをもって,自動公衆送信の主体は,本件リツイート者らであるということはでき
ない。さらに,本件リツイート行為が上記の自動公衆送信行為自体を容易にしたと
はいい難いから,本件リツイート者らを幇助者と認めることはできず,その他,本
件リツイート者らを幇助者というべき事情は認められない。
(ウ) 控訴人は,自動公衆送信にも放送にも有線放送にも当たらない公衆
送信権侵害も主張するが,前記(ア)のとおり自動公衆送信に当たることからすると,
自動公衆送信以外の公衆送信権侵害が成立するとは認められない。
(3) 複製権侵害(著作権法21条)について
前記(2)イのとおり,著作物である本件写真は,流通情報2(2)のデータのみが送
信されているから,本件リツイート行為により著作物のデータが複製されていると
いうことはできない。したがって,複製権侵害との関係でも,控訴人が主張する「
ブラウザ用レンダリングデータ」あるいは HTML データ等を「侵害情報」と捉える
ことはできず,「ブラウザ用レンダリングデータ」あるいは HTML データ等が「侵
害情報」であることを前提とする控訴人の複製権侵害に関する主張は,採用するこ
とができない。
(4) 公衆伝達権侵害(著作権法23条2項)について
著作権法23条2項は,「著作者は,公衆送信されるその著作物を受信装置を用
いて公に伝達する権利を専有する。」と規定する。
控訴人は,本件リツイート者らをもって,著作物をクライアントコンピュータに
表示させた主体と評価すべきであるから,本件リツイート者らが受信装置であるク\nライアントコンピュータを用いて公に伝達していると主張する。しかし,著作権法
23条2項は,公衆送信された後に公衆送信された著作物を,受信装置を用いて公
に伝達する権利を規定しているものであり,ここでいう受信装置がクライアントコ
ンピュータであるとすると,その装置を用いて伝達している主体は,そのコンピュ
ータのユーザーであると解され,本件リツイート者らを伝達主体と評価することは
できない。控訴人が主張する事情は,本件写真等の公衆送信に関する事情や本件ア
カウント3〜5のホーム画面に関する事情であって,この判断を左右するものでは
ない。そして,その主体であるクライアントコンピュータのユーザーが公に伝達し
ているというべき事情も認め難いから,公衆伝達権の侵害行為自体が認められない。
このように公衆伝達権の侵害行為自体が認められないから,その幇助が認められる
余地もない。
(5) 著作者人格権侵害について
ア 同一性保持権(著作権法20条1項) 侵害
前記(1)のとおり,本件アカウント3〜5のタイムラインにおいて表示されている\n画像は,流通情報2(2)の画像とは異なるものである。この表示されている画像は,\n表示するに際して,本件リツイート行為の結果として送信された HTML プログラム
や CSS プログラム等により,位置や大きさなどが指定されたために,上記のとおり
画像が異なっているものであり,流通情報2(2)の画像データ自体に改変が加えら
れているものではない。
しかし,表示される画像は,思想又は感情を創作的に表\現したものであって,文
芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものとして,著作権法2条1項1号にいう
著作物ということができるところ,上記のとおり,表示するに際して,HTML プロ
グラムや CSS プログラム等により,位置や大きさなどを指定されたために,本件ア
カウント3〜5のタイムラインにおいて表示されている画像は流通目録3〜5のよ\nうな画像となったものと認められるから,本件リツイート者らによって改変された
もので,同一性保持権が侵害されているということができる。
この点について,被控訴人らは,仮に改変されたとしても,その改変の主体は,
インターネットユーザーであると主張するが,上記のとおり,本件リツイート行為
の結果として送信された HTML プログラムや CSS プログラム等により位置や大きさ
などが指定されたために,改変されたということができるから,改変の主体は本件
リツイート者らであると評価することができるのであって,インターネットユーザ
ーを改変の主体と評価することはできない(著作権法47条の8は,電子計算機に
おける著作物の利用に伴う複製に関する規定であって,同規定によってこの判断が
左右されることはない。)。また,被控訴人らは,本件アカウント3〜5のタイム
ラインにおいて表示されている画像は,流通情報2(1)の画像と同じ画像であるから,
改変を行ったのは,本件アカウント2の保有者であると主張するが,本件アカウン
ト3〜5のタイムラインにおいて表示されている画像は,控訴人の著作物である本\n件写真と比較して改変されたものであって,上記のとおり本件リツイート者らによ
って改変されたと評価することができるから,本件リツイート者らによって同一性
保持権が侵害されたということができる。さらに,被控訴人らは,著作権法20条
2項4号の「やむを得ない」改変に当たると主張するが,本件リツイート行為は,
本件アカウント2において控訴人に無断で本件写真の画像ファイルを含むツイート
が行われたもののリツイート行為であるから,そのような行為に伴う改変が「やむ
を得ない」改変に当たると認めることはできない。
イ 氏名表示権(著作権法19条1項)侵害\n
本件アカウント3〜5のタイムラインにおいて表示されている画像には,控訴人\nの氏名は表示されていない。そして,前記(1)のとおり,表示するに際して HTML プ
ログラムや CSS プログラム等により,位置や大きさなどが指定されたために,本件
アカウント3〜5のタイムラインにおいて表示されている画像は流通目録3〜5の\nような画像となり,控訴人の氏名が表示されなくなったものと認められるから,控\n訴人は,本件リツイート者らによって,本件リツイート行為により,著作物の公衆
への提供又は提示に際し,著作者名を表示する権利を侵害されたということができ\nる。
ウ 名誉声望保持権(著作権法113条6項)侵害
本件アカウント3〜5において,サンリオのキャラクターやディズニーのキャラ
クターとともに本件写真が表示されているからといって,そのことから直ちに,「\n無断利用してもかまわない価値の低い著作物」,「安っぽい著作物」であるかのよ
うな誤った印象を与えるということはできず,著作者である控訴人の名誉又は声望
を害する方法で著作物を利用したということはできない。そして,他に,控訴人の
名誉又は声望を害する方法で著作物を利用したものというべき事情は認められない
から,本件リツイート者らは,控訴人の名誉声望保持権(著作権法113条6項
)を侵害したとは認められない。
(6) なお,控訴人は,本件アカウント2,4及び5の各保有者が自然人として
は同一人物であり,又はこれらの者が共同して公衆送信権を侵害した旨主張するが,
そのような事実を認めるに足りる証拠はない。
(7)「侵害情報の流通によって」(プロバイダ責任制限法4条1項1号)及び
「発信者」(同法2条4号)について
前記(5)ア,イのとおり,本件リツイート行為は,控訴人の著作者人格権を侵害す
る行為であるところ,前記(5)ア,イ認定の侵害態様に照らすと,この場合には,本
件写真の画像データのみならず,HTML プログラムや CSS プログラム等のデータを
含めて,プロバイダ責任制限法上の「侵害情報」ということができ,本件リツイー
ト行為は,その侵害情報の流通によって控訴人の権利を侵害したことが明らかであ
る。そして,この場合の「発信者」は,本件リツイート者らであるということがで
きる。
(8) 争点(2)について
本件アカウント2の流通情報2(3)及び(4)については,流通情報3〜5と同様に,
流通情報2(2)の画像が改変され,控訴人の氏名が表示されていないということが\nできるから,著作者人格権の侵害があるということができる。しかし,本件アカウ
ント1の流通情報1(6)及び(7)については,流通情報1(3)の画像と同じものが表示\nされているから,著作者人格権の侵害があると認めることはできない。これらにつ
いて著作権の侵害を認めることができないことは,流通情報3〜5と同様である。
◆判決本文
原審はこちらです。
◆平成28(ネ)10101
原審はこちらです。
◆平成27(ワ)17928
2020.02. 6
漫画を違法アップロードしていた個人に対して、連帯して約1.6億円の損害賠償が認められました。裁判所は「電子書籍の価格構造における出版社の利益率は,配信プラットフォームの違いに応じた代表\的な複数の事例の中で,最も低いもので45%である」と認定しました。編集著作者としての講談社が原告です。一部の被告は欠席裁判でした。
証拠(甲2,13)及び弁論の全趣旨によれば,原告が原告各雑誌を販売してい
ること,その本体価格は別紙著作物目録の「本体価格(円)」欄にそれぞれ記載の
とおりであることが認められる。
また,証拠(甲25の1〜25の4)によれば,平成27年〜平成30年にそれ
ぞれ発行された調査報告書には,電子書籍の価格構造における出版社の利益率は,\n配信プラットフォームの違いに応じた代表的な複数の事例の中で,最も低いもので\n45%であることが認められる。本件各違法アップロード行為の対象となった原告
各雑誌に係る販売利益率がこの割合を下回ることをうかがわせる事情はないから,
これが45%であるものとして算定することには十分な合理性がある。\n
(ウ) 逸失利益額
各雑誌に係るファイルごとのダウンロード数並びに雑誌ごとの本体価格及び販売
利益率を乗じると,1億5032万8192円となる。他方,被告P3は,「販売
することができないとする事情」(著作権法114条1項ただし書)について,何
ら主張立証していない。したがって,本件各違法アップロード行為による原告の逸
失利益額は,同額であると認められる。
イ 弁護士費用相当損害額
原告の逸失利益額(上記ア)その他本件に現れた一切の事情を考慮すると,被告
らの本件各違法アップロード行為と相当因果関係に立つ弁護士費用相当損害額は,
1503万2819円と認めるのが相当である。
◆判決本文