雑誌に掲載された写真の著作権侵害が争われ、約20万円の損害賠償が認められました。
被告は,原告各写真の著作者は各ヘアドレッサーである旨主張する。
なるほど原告各写真においては,独特のヘアスタイル,化粧,衣装等を施して所定のポーズを取っているモデルの写真も含まれている。
しかし,原告各写真については,前記(1)で検討したとおり,被写体の組み合わせや配置,構図やカメラアングル,光線・印影,背景等に創作性があるというべきであり,原告各写真の被写体のうちの,独特のヘアスタイルや化粧等を施されたモデルに関連して,別途何らかの著作物として成立する余地があるものとしても,前記(1)のとおりの原告各写真の内容によれば,原告各写真は,被写体を機械的に撮影し複製したものではなく,カメラマンにより創作されたものというべきである。
そうすると,原告各写真の著作者はカメラマンであって,ヘアドレッサーではないというべきである。したがって,被告の上記主張は採用することができない。
イ 被告は,カメラマンが創作行為を行なっていたとしても,各ヘアドレッサーも同様に創作的表現を行なっているのであり,その場合,原告各写真は,ヘアドレッサーとカメラマンとの共同著作物となる旨主張し,それに沿う証拠として平成27年10月27日付け被告代表\者の陳述書(乙20)を提出する。
平成27年10月27日付け被告代表者の陳述書(乙20)には,「美容業界誌紙は一般美容師が学ぶための作品(髪の形,髪の色,髪の流れ,髪の質感・・・等が相まって新しいスタイルは出来上がります。)を一段レベルの高い美容師に依頼して創作してもらい,それを撮影して誌面に掲載します。この美容師に著作権が有るのは当然であります。場合によっては,カメラマンにも応分の著作権があるかもしれません。しかし,主な著作権は創作した美容師が持っていると言わざるを得ません。もし著作権が美容師側にないとなると,我々の仕事は成り立ちません。」とあるところ,被告は,原告各写真の具体的な創作過程に基づいてヘアドレッサーとカメラマンとの共同制作意思等について主張立証をするわけではないが,原告各写真の創作性は,前記(1)で検討したとおり,被写体の組み合わせや配置,構図やカメラアングル,光線・印影,背景等に創作性があるところ,こうした点について,ヘアドレッサーとカメラマンとの間には原告各写真について共同著作物となるための要件である共同創作の意思が存するものとは認められないというべきである。\n
◆判決本文