2003.11. 9
高級注文住宅が建物の著作物または不競法に規定する商品形態か、また、そのパンフレットは写真の著作物かが争われました。
裁判所は、建物の著作権侵害、不競法による保護は認めませんでした。
「原告建物は、前記認定によれば、通常の一般住宅が備える美的要素を超える美的な創作性を有し、建築芸術といえるような美術性、芸術性を有するとはいえないから、著作権法上の「建築の著作物」に該当するということはできない。」「原告建物と被告建物は、その外観において相違があり、形態が同一ないし実質的に同一であるとはいえないから、被告建物が原告建物を模倣した商品であると認めることはできない」。
なお、パンフレットについては「被告写真は原告写真に依拠して原告写真を複製して作成されたものである」と写真の著作権侵害と判断しました。
◆H15.10.30 大阪地裁 平成14(ワ)1989等 著作権 民事訴訟事件
プログラムを違法複製して授業をしていたコンピュータスクールとその代表取締役が、複製権侵害などを問われました。争点は複製数と損害額です。
前者(複製数)については、「本件プログラムのインストールを直接確認できたコンピュータはもとより、そのインストールの痕跡があるコンピュータについても、本件プログラムの複製の事実を推認させるものということができる」と認定しました。
また、後者については、原告は、”標準小売価格の2倍”を主張しましたが、裁判所は、”不法行為による損害賠償の制度は、直接にそのようなことを目的とするものではない・・・プログラムの違法複製について、原告らの主張(プログラムの正規品購入価格より高額の金銭を支払うべきものとすること)を根拠付けるような実定法上の特別規定があるわけではないし、そのような内容の社会規範が確立していると認めるべき証拠もない。・・・一方、被告らは・・・卸売価格相当額である旨を主張するが、違法行為を行った被告らとの関係で、適法な取引関係を前提とした場合の価格を基準としなければならない根拠を見い出すことはできない。”として、”原告らが受けるべき金銭の額に相当する額(著作権法114条2項)としては、本件プログラムの標準小売価格を基準として算定すべき”としました。
ほぼ同様の判断をおこなったLEC事件です。
◆H13. 5.16 東京地裁 平成12(ワ)7932 著作権 民事訴訟事件
こちらはLEC事件とは違う判断をおこなった事件です。
◆H14.10.31 東京地裁 平成13(ワ)22157 著作権 民事訴訟事件
◆H15.10.23 大阪地裁 平成14(ワ)8848 著作権 民事訴訟事件
野球の打撃理論等に関する文書である原告著作物を被告に送付し,被告はこれを利用してプロ野球の公式戦等において競技を行っているものであるので、これを著作権侵害として損害賠償を請求した事件です。
裁判所は、「仮に,原告の主張するように,原告著作物に記載されている野球の打撃理論等を被告が公式戦等の試合において実践したとしても,当該行為は著作権法にいう著作者の権利を侵害するものではない。けだし,・・・具体的な表現を離れた単なる思想又はアイデア自体は,著作権法上の保護の対象とはされていないからである(最高裁平成11年(受)第922号同13年6月28日第一小法廷判決・民集55巻4号837頁参照)。そして,本件において,原告が著作権侵害として主張する内容は,単に,被告が原告著作物に記載された内容を参考にして競技をしたというにとどまるものであって,原告著作物の具体的な表現を利用したものとはいえない。」と判断しました。
◆H15. 3. 6 東京地裁 平成14(ワ)26691 著作権 民事訴訟事件
2003.02. 7
著作権法では、公衆とは、不特定多数の場合だけでなく、特定人でも多数の場合を含むと規定しています。受講生に対し社交ダンスを教授するに際して著作物を再生する行為が,「公に演奏し」に該当するかが争われました。
裁判所は該当すると判断しました。
「受講生が公衆に該当するか否かは,前記のような観点から合目的的に判断されるべきものであって,音楽著作物の利用主体とその利用行為を受ける者との間に契約ないし特別な関係が存することや,著作物利用の一時点における実際の対象者が少数であることは,必ずしも公衆であることを否定するものではないと解される上,?@上記認定のとおり,入会金さえ支払えば誰でも本件各施設におけるダンス教授所の受講生資格を取得することができ,入会の申込みと同時にレッスンを受けることも可能\であること,?A一度のレッスンにおける受講生数の制約は,ダンス教授そのものに内在する要因によるものではなく,当該施設における受講生の総数,施設の面積・・・・によって左右され,これらの要素いかんによっては,一度に数十名の受講生を対象としてレッスンを行うことも可能\と考えられることなどを考慮すると,受講生である顧客は不特定多数の者であり,同所における音楽著作物の演奏は公衆に対するものと評価できる。」
◆H15. 2. 7 名古屋地裁 平成14(ワ)2148 著作権 民事訴訟事件
中古ゲームソフトについては頒布権が消尽するという判断がなされましたが、中古ビデオについても同様に適用されるが争われました。地裁の判断をそのまま認めました。
◆H14.11.28 東京高裁 平成14(ネ)1351 著作権 民事訴訟事件