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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

周知表示(不競法)

平成26(ネ)10005  商標権侵害行為差止等請求控訴事件  商標権  民事訴訟 平成26年12月17日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 不競法2条1項1号の不正競争として約3000万円の損害賠償が認められました。原審はなぜか欠席裁判で原告(被控訴人)の主張通り1億円を超える損害が認定されています。判決文もアップされていません。
 前記1(2)において認定したとおり,複数の控訴人の直営店が,東京都内,名古屋市内,石川県金沢市内など主要都市圏に散在しており,さらに,控 訴人の製造,販売に係る商品の取扱店舗が,全国各地に多数存在すること(甲9の1,甲33,乙46から乙49),2)平成22年に作成された控訴人の公式カタログ(乙39)及び平成23年以降に刊行されたファッション雑誌や控訴人の宣伝冊子(乙44から乙49,乙105から乙109)には,控訴人の製造,販売に係る商品が多数紹介されていること,3)控訴人と同様の業務を営む被控訴人会社は,平成24年の秋から平成25年の夏までの約1年間で合計2万着余りの商品を販売していること(甲34)によれば,控訴人は,本件損害賠償請求期間中,少なくとも1万着の商品を販売したものと認められる。 そして,証拠(甲34,乙44,乙45,乙47,乙105)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人の販売する商品の平均単価は,販売点数が比較的多いものと推認できるティーシャツの価格帯に鑑みて,3万円程度と認めるのが相当であり,また,利益率は30パーセント程度であるものと推認できる。 以上によれば,本件損害賠償請求期間中における控訴人の製造,販売に係る商品の売上高は,おおよそ3億円であり(3万円×1万着)であり,その30パーセントである9000万円程度の利益を得たものと推計できる。 (イ) そして,上記利益に対する控訴人標章の寄与度は,控訴人標章が頭蓋骨と骨を組み合わせた特徴ある態様であり,商品購入者の大半を占めるものと考えられるスカルファッションの愛好者に対して,相当の顧客誘引力を有するものと考えられることに鑑み,3割をもって相当と認める。 したがって,不競法5条2項に基づく被控訴人会社の損害額は,前述した9000万円の3割,すなわち,2700万円と認めるのが相当である。 (ウ) そして,本件事案の性質,内容,認容額等に鑑み,300万円をもって弁護士費用及び弁理士費用相当額の損害と認める。

◆判決本文

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平成26(ネ)10024  損害賠償等請求控訴事件  不正競争  民事訴訟 平成26年10月30日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 全国共通お食事券は、原告の商品等表示ではないとした1審判決が維持されました。
 しかし,控訴人も自認するとおり,控訴人商品を指し示す表示として,「全国共通お食事券」という語が単独で使用されたことはなく,同語は,常に「ジェフグルメカード」という語や控訴人商品の券面画像と併記されて使用されてきたものである。また,併記の具体的形態をみても,取引者及び一般消費者が最も直接的に控訴人商品の表\示として目にする控訴人商品の券面(表面)においては,上段の「ジェフグルメカード」の文字の方が「全国共通お食事券」の文字の約1.5倍の大きさの目立つ文字で表\記された上(原判決別紙控訴人商品記載のとおり),中央部の大きい図形標章も「グルメカード」という文字を表したものとなっており,その下部にも「ジェフグルメカード」とさらに記載され(原判決第3の1(1)ア(ア)),控訴人商品の販売に際して顧客に配布される加盟店リストないし加盟店一覧表の表\紙にも,平成24年6月までは同様に「ジェフグルメカード」という表示の方が「全国共通お食事券」よりも約1.5倍の大きさの文字で表\記されており(甲122の1ないし3,甲123の1ないし16),「全国共通お食事券」の語よりも看る者の注意を惹くものとなっている。そして,前記のとおり,「全国共通お食事券」という語は,「全国で共通して取扱店で利用できる食事券」程度の意味と理解されるものであるから,これを看た者をして,そのような控訴人商品の品質を記述的に説明したものと認識させる表示であり,そもそも控訴人商品の発売当初から平成5年頃までは,控訴人商品の商品等表\示の一部としても使用されていなかった語であるのに対し(発売当初は,控訴人商品の券面上の表示は「お食事券」であった。甲125,135),「ジェフグルメカード」という名称は,そのような記述的な表\示ではなく,控訴人商品の発売元(出所)である控訴人会社名を含む,自他識別力を有するものであり,控訴人商品を表示する商標として発売当初から現在まで単体でも使用されているものである(控訴人商品の裏面の注意書きの表\題は,「ジェフグルメカードのご使用について」と記載されており〔甲20〕,控訴人商品の販売の際に用いられる専用封筒及び封印シールにも「ジェフグルメカード」の表示があるのみで,「全国共通お食事券」の語は表\示されていない〔乙13〕。平成12年6月以降頃からの加盟店リストにも「ジェフグルメカード加盟店情報」,「『ジェフグルメカード』のお買い求めはこちらで」などと記載されている〔甲123の4ないし20〕。また,控訴人のウエブサイト上においては,控訴人商品を「ジェフグルメカード」との表記のみで表\示している部分がある〔乙12の1・2〕。さらに,平成10年7月の日本経済新聞社のブランド認知度調査は,「ジェフグルメカード」をブランド名として行われた〔原判決32頁13ないし16行目〕。)。以上の事実からすれば,「全国共通お食事券」と「ジェフグルメカード」が併記されている表示を見た取引者及び需要者としては,「全国共通お食事券」とは,控訴人商品の記述的,説明的な表\示であり,「ジェフグルメカード」の表示の方が控訴人商品の出所を示すものと認識するものと認められる。\n したがって,控訴人の使用によっても,取引者及び需要者が,「全国共通お食事券」という語が単独で控訴人商品についての出所を示す商品等表示であると認識するものとは認められない。
(イ) 控訴人の上記主張1)については,確かに,控訴人加盟店ステッカーにおいては,「全国共通お食事券」の方が大きく,赤字に白抜きの目立つ表示となっており(原判決第3の1(1)ア(イ)),また,控訴人が指摘する控訴人商品の広告(甲18の1・3・6,甲106,110,112,115,116)においては,「全国共通お食事券」の方が大きい字体で表示されている。しかし,控訴人加盟店ステッカーにおいても,「全国共通お食事券」が単体で使用されているものではなく,「ジェフグルメカード」の文字標章及び図形標章がその上下に表\示されているし,上記「全国共通お食事券」の方が大きい表示となっている広告例は数例にとどまる上,「全国共通お食事券」が単体で使用されている例ではないことからすれば,控訴人が主張する事実を考慮しても,上記認定判断が左右されるものとはいえない(なお,控訴人が当審で提出した証拠〔甲115,116〕によれば,第一生命保険株式会社が平成24年5月から7月の間に実施したキャンペーンのチラシ上においては,被控訴人商品が「ぐるなびギフトカード(全国共通お食事券)」と表\示されていたのに対し,控訴人商品については「全国共通お食事券(ジェフグルメカード)」との表示がされていたことが認められる。しかし,同表\示も,「全国共通お食事券」の語を単独で使用するものではなく,控訴人商品の画像及び「全国約35,000店舗の加盟店でご利用可能な『全国共通お食事券』です」との説明とともに表\示されていることからすれば,同表示中の「全国共通お食事券」の語は,控訴人商品の説明的な記載にすぎないと解するのが相当である。また,そもそも,同チラシの初稿においては,控訴人商品は単に「ジェフグルメカード」とのみ表\示されていたのに,その後上記のとおりの表示に変更されていること,同チラシは,本件を本案事件とする控訴人の被控訴人に対する仮処分命令申\立事件の申立時期(平成24年6月)と近接した時期に作製されていること(乙1,22)からすれば,上\nチラシ上の表示は,控訴人が初稿確認後に表\示内容の修正を指示したことによるものと推認されるから,同チラシの記載をもって,「全国共通お食事券」という表示が単独で控訴人商品を示すものとして取引者及び需要者に広く認識されていたとも認められない。)。\n控訴人の上記主張4)の控訴人商品の宣伝,広告の内容についても,「全国共通お食事券」の表示は常に「ジェフグルメカード」という文字の表\示又は「ジェフグルメカード」との記載がある控訴人商品の券面(表面)字体の画像と共に用いられており,上記1)で控訴人が挙げたものを除いては,「全国共通お食事券」の語の方が看る者の目を惹く表示態様ともなっておらず(なお,控訴人が指摘する一部のテレビ放送〔甲119〕では,そもそも「全国共通食事券」と表\示されている。),「全国共通お食事券」の語が単独で控訴人商品の商品等表示であることを示すものとはなっていないことからすれば,上記認定判断を左右するものとはいえない。\nその他,控訴人の上記主張2)は,上記認定に係る控訴人商品の券面の表示態様を前提とすると,その発行枚数が「全国共通お食事券」の語単独での自他商品識別性の上記認定を左右するものとはいえず,控訴人の上記主張3),5)も,「全国共通お食事券」の語が取引者及び需要者に対する自他商品の識別力を客観的に有するに至ったかについての認定を左右するものではない。控訴人の上記主張6)についても,取違えの内容は,全国の控訴人商品の加盟店で,被控訴人商品の販売から平成25年7月までの間に合計14件,控訴人商品を顧客から誤って提示され,又は受領したという報告を受けたという程度のものであり(甲49の1・2,甲63ないし66,74,77,79,80),「全国共通お食事券」が控訴人商品を表示するものとして広く一般的に認識されていたことを証するものとはいえない。その他,上記認定判断を覆すに足りる証拠はない。\nしたがって,控訴人の上記各主張を採用することはできない。」

◆判決本文
 

◆1審はこちら。平成25(ワ)1062

◆無効審判の審取もあります。平成26(行ケ)10067

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平成25(ワ)28860  不正競争行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟  平成26年8月29日  東京地方裁判所

 書籍の題号は、不競法2条1項2号の商品等表示は該当しないと判断されました。
 書籍の題号は,普通は,出所の識別表示として用いられるものではなく,その書籍の内容を表\示するものとして用いられるものである。そして,需要者も,普通の場合は,書籍の題号を,その書籍の内容を表示するものとして認識するが,出所の識別表\示としては認識しないものと解される。 もっとも,書籍の題号として用いられている表示であっても,使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品又は営業であることを認識することができるような自他識別力又は出所識別機能\を備えるに至ったと認められるような特段の事情がある場合については,商品等表示性を認めることができ\n ることもあり得ると解される(大阪高裁平成20年(ネ)第1700号・同年10月8日判決[「時効の管理」事件]参照)。
(2) 原告による「巻くだけダイエット」の使用について
これを本件についてみると,証拠によれば,原告書籍が出版される前から,「巻くだけダイエット」を題号に用いた・・・が出版されており,・・・が紹介されていること(甲17)が認められる。

◆判決本文

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平成25(ワ)31446  商標権 民事訴訟 平成26年05月21日 東京地方裁判所 

 エルメスのバックの立体商標について商標権侵害が認定されました。不競法2条1項1,2号も認定されています。
 原告商標は立体商標であるところ,上記類否の判断基準は立体商標においても同様にあてはまるものと解すべきであるが,被告標章は一部に平面標章を含むため,主にその立体的形状に自他商品役務識別機能を有するという立体商標の特殊性に鑑み,その外観の類否判断の方法につき検討する。立体商標は,立体的形状又は立体的形状と平面標章との結合により構\成されるものであり,見る方向によって視覚に映る姿が異なるという特殊性を有し,実際に使用される場合において,一時にその全体の形状を視認することができないものであるから,これを考案するに際しては,看者がこれを観察する場合に主として視認するであろう一又は二以上の特定の方向(所定方向)を想定し,所定方向からこれを見たときに看者の視覚に映る姿の特徴によって商品又は役務の出所を識別することができるものとすることが通常であると考えられる。そうであれば,立体商標においては,その全体の形状のみならず,所定方向から見たときの看者の視覚に映る外観(印象)が自他商品又は自他役務の識別標識としての機能を果たすことになるから,当該所定方向から見たときに視覚に映る姿が特定の平面商標と同一又は近似する場合には,原則として,当該立体商標と当該平面商標との間に外観類似の関係があるというべきであり,また,そのような所定方向が二方向以上ある場合には,いずれの所定方向から見たときの看者の視覚に映る姿にも,それぞれ独立に商品又は役務の出所識別機能\が付与されていることになるから,いずれか一方向の所定方向から見たときに視覚に映る姿が特定の平面商標と同一又は近似していればこのような外観類似の関係があるというべきであるが,およそ所定方向には当たらない方向から立体商標を見た場合に看者の視覚に映る姿は,このような外観類似に係る類否判断の要素とはならないものと解するのが相当である。そして,いずれの方向が所定方向であるかは,当該立体商標の構成態様に基づき,個別的,客観的に判断されるべき事柄であるというべきである。
(2) これを本件について検討するに,原告標章,被告標章はいずれも,内部に物を収納し,ハンドルを持って携帯するハンドバックに係るものであるから,ハンドルを持って携帯した際の下部が底面となり,この台形状の底面の短辺と接続し,ハンドルが取り付けられていない縦長の二等辺三角形の形状を有する面が側面となることはそれぞれ明らかである。そして,その余の面のうち,蓋部,固定具が表示されている大きな台形状の面が正面部に該当し,かつこの正面部には,その対面側に相当する背面部とは異なり,装飾的要素をも備えた蓋部,ベルト,固定具が表\示されており,ハンドルを持って携帯した際に携帯者側に向かって隠れる背面部とは異なって外部に向き,他者の注意を惹くものであるから,この正面部は,少なくとも所定方向の一つに該当するものと解される。これは,被告の開設したインターネットショッピングサイトにおいて,いずれもこの正面部を含む写真が表示されていることのほか,各商品の紹介においては,全てこの正面部のみが表\示されていることも,正面部が所定方向であることを裏付けるものであるということができる。〔甲1〕そして,この正面部から観察した場合,原告標章と被告標章とは,本体正面の形状において底辺がやや長い台形状であり,上部に,略凸状となるように両サイドに切り込みを有し,横方向に略三等分する位置に鍵穴状の縦方向の切込みを二箇所有する蓋部が表示されていること,前記蓋部上に,前記略凸状の両サイドの切り込みから本体正面中央まで延在する左右一対のベルトが表\示されていること,前記蓋部の凸型部分と前記左右一対のベルトとを本体正面の上部中央にて同時に固定することができる位置に,先端にリング状を形成した固定具が表示されていること,前記鍵穴状の切込みの外側の位置において,前記蓋部の凸型部分と前記各ベルトとを同時に固定する左右一対の補助固定具が表\示されていること,上部に円弧状をなす一対のハンドルが表示され,前記正面側のハンドルは前記鍵穴状の切込みを通るように表\示されていること,以上の点においていずれも共通しており,原告標章と被告標章とは,所定方向である正面から見たときに視覚に映る姿が,少なくとも近似しているというべきであり,両者は外観類似の関係にあるということができる。被告標章は,原告標章では立体的構成とされている蓋部,左右一対のベルトとこれを固定する左右一対の補助固定具,先端にリング状を形成した固定具,ハンドルの下部(正面部と重なりベルト付近まで至る部分)について,これらの質感を立体的に表\現した写真を印刷して表面に貼\付した平面上の構成とされているところ,これを正面から見た場合に上記共通点に係る視覚的特徴を看取できるものというべきである。一方,上部及び側面方向から被告標章を観察した場合には,原告標章では立体的に表\現された上記蓋部等が立体的でないことは看て取れるものの,上部及び側面は,いずれも所定方向には該当せず,上記所定方向から観察した場合の外観の類否に影響するものではない。
(3) そして,原告商標ないし被告標章において,何らかの観念ないし称呼が生じ,これらが著しく相違するものとも認められない。
(4) 以上によれば,被告標章は原告商標と類似しているということができ,被告につき,過失の存在の推定を覆すに足る事情も認められない(商標法39条,特許法103条)。
(5) この点に関して被告は,被告各商品につき,そのデザインは写真として似ているかもしれないが,素材や価格などで明確に区別できる等と主張するが,本件全証拠によっても,上記所定方向である正面から観察した場合に,被告標章が原告標章と類似するとの判断を覆すに足る事実は何ら認めることができないし,商品の出所の誤認混同をきたすおそれがないものとも認められない。

◆判決本文

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平成25(ワ)18665 損害賠償請求事件 不正競争 民事訴訟 平成26年04月17日 東京地方裁判所 

不競法2条1項1号および3号を主張しましたが、周知性および類似性いずれも否定されました。対象商品は下記にあります。

◆添付資料1

◆添付資料2
 以上を前提に検討すると,原告各商品の発売時から原告が周知の商品等表示性を獲得したと主張する平成23年9月末日までの原告各商品の販売期間は,原告商品6については約半年,その余の商品については約2か月であるにとどまり,原告が長期間独占的に原告各商品の形態を使用していたとはいえない。また,原告の主張するチラシ掲載や雑誌掲載等の多くは平成23年9月末日より後のものであり,同日までのウェブサイトの閲覧者数等も明らかではないから,これらは同日までに周知の商品等表\\\示性を獲得したとの原告の主張を裏付けるには足りない。さらに,被告が被告各商品の販売を開始したとされる平成24年12月までの宣伝広告等の実績及び原告の主張するウェブサイトの閲覧者数を考慮するとしても,まず,原告各商品のうちマスメディアに取り上げられたのは原告商品1,5及び6のみであるというのであるから(別紙「各マスメディアに取り上げられた実績」参照),原告商品2〜4についてはその形態が周知であると認めることはできない。また,原告商品1が雑誌に取り上げられたのは1回のみであり(甲42),周知性を認めることは困難である。さらに,原告商品6は平成23年12月から平成24年11月までの間に7回,原告商品5は同年3月から8月までの間に4回,それぞれ雑誌に取り上げられているが,いすれも他社の商品が同一頁で紹介されていること,パスタの保存やオムレツの作成の簡易化という機能面を重視した記事となっていること(甲33〜42)からすれば,読者に対してこれら商品の形態を印象付けるものとは解し難い。これに加え,これらの雑誌の発行部数は明らかにされていないこと,原告が上記ウェブサイト以外に原告各商品の宣伝広告を行ったとの立証がないことを勘案すると,原告各商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しているとしても,平成23年9月末日ないし被告各商品の販売開始までの間に,原告の商品等表\\\示として周知になったと認めることはできない。
(2) さらに,原告各商品の形態と被告各商品の形態の類似性について検討しても,後記2(1)イ及びウにおいて認定判断するとおり,原告各商品と被告各商品の形態には明らかな相違点が複数あり,需要者に対し異なる印象を与えるものである。したがって,原告各商品と被告各商品の形態が類似するということはできない。
・・・・
以上によれば,原告各商品と被告各商品の形態は,基本的な部分(上記イに丸付き数字で摘示した部分)に共通点があるものの,これらの点は,電子レンジで半熟卵を作る,レモンを搾るなどの機能を果たすためにそのような形態が選択されたとみることができる。他方,両商品には,例えば,原告商品1と被告商品1であれば蓋部材の形状や底面側の脚部の有無,原告商品2と被告商品2であれば半円形がキノコ形かという側面側から観察した形状,原告商品3と被告商品3であれば平面体の形状及び指サックの有無など,具体的な形態において一見して識別することのできる明らかな相違点が複数ある。そして,これらの相違点は全体的形態に与える変化が乏しいささいな相違にとどまるとは到底いえないものであるから,両者の形態が類似するとはいえないと判断するのが相当である。したがって,被告各商品が原告各商品の形態を模倣した商品であるということはできない。\nエ これに対し,原告は,被告各商品の販売を許容することは新商品の開発者を保護するという不正競争防止法2条1項3号の趣旨に照らし許されないと主張するが,同号は商品の具体的形態を保護するものであって商品の機能やアイデアを保護するものではないから,具体的形態に大きな相違点があると認められる本件において,同号の不正競争行為を認めることはできない。\n

◆判決本文

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平成25(ワ)8040 著作権侵害行為差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成26年04月17日 東京地方裁判所

 デザインチェアーについて著作権による保護、および不競法の周知営業表示による保護、いずれも否定されました。
 原告製品は工業的に大量に生産され,幼児用の椅子として実用に供されるものであるから(弁論の全趣旨),そのデザインはいわゆる応用美術の範囲に属するものである。そうすると,原告製品のデザインが思想又は感情を創作的に表現した著作物(著作権法2条1項1号)に当たるといえるためには,著作権法による保護と意匠法による保護との適切な調和を図る見地から,実用的な機能\を離れて見た場合に,それが美的鑑賞の対象となり得るような美的創作性を備えていることを要すると解するのが相当である。本件についてこれをみると,原告製品は,証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば,幼児の成長に合わせて,部材G(座面)及び部材F(足置き台)の固定位置を,左右一対の部材Aの内側に床面と平行に形成された溝で調整することができるように設計された椅子であって,その形態を特徴付ける部材A及び部材Bの形状等の構成(なお,原告製品の形態的特徴については後記2参照)も,このような実用的な機能\を離れて見た場合に,美的鑑賞の対象となり得るような美的創作性を備えているとは認め難い。したがって,そのデザインは著作権法の保護を受ける著作物に当たらないと解される。また,応用美術に関し,ベルヌ条約2条7項,7条4項は,著作物としての保護の条件等を同盟国の法令の定めに委ねているから,著作権法の解釈上,上記の解釈以上の保護が同条約により与えられるものではない。よって,原告らの著作権又はその独占的利用権の侵害に基づく請求は理由がない。
2 争点(2)(不競法2条1項1号の不正競争行為該当性)について
(1) 争点(2)ア(周知性のある商品等表示該当性)について
ア 不競法2条1項1号は,商品等表示として商品の形態を例示していないところ,それは,商品の形態は,一次的には商品の機能\・効用の発揮や美観の向上等の見地から選択されるものであって,商品の出所を表示することを目的として選択されるものではないことによるものと解される。そうすると,商品の形態であっても,それが他の同種商品と識別し得る顕著な特徴を有している場合には,二次的に商品の出所を表\示する機能を有することもあり,それが,長期間継続的かつ独占的に使用されたり,短期間であっても強力に宣伝広告されたりした結果,出所識別機能\を獲得した場合には,周知性のある商品等表示に当たるものと解される。イ この見地から,まず,原告製品が他の同種製品と識別し得る顕著な形態的特徴を有するか否かについて検討する。
・・・
これに対し,原告製品は,部材Aが部材B前方の斜めに切断された端面でのみ結合されており,座面から部材Aに伝えられる力が,上記端面のみにかかり,視覚的に不安定さを感じさせる構成となっている。それだけに,原告製品の形態は,必要最小限の部材以外の部材は使用しないという,シンプル,スタイリッシュかつシャープな印象を与えるものである。このように,原告製品の第1の形態的特徴が視覚的にシンプルな印象を与えることは,別紙4「原告製品についての宣伝広告等」の「原告製品の特徴に関する記載内容」欄のとおり,原告製品を紹介する記事においても多く言及されているところであり,原告製品の重要な形態的特徴ということができる。一方,証拠(乙12,13,15)及び弁論の全趣旨によれば,座面を4本の脚で支えるのではなく,左右一対の略L字状ないしそれに近い形状をした側面の部材をもって座面を支え,その上方に背もたれを設けた椅子が市販等されていたことが認められる。ただし,これらの椅子は,原告製品ほどシンプルな印象を与えるものではなく,また,側面の部材に床面と平行な溝を形成したものでもない。そうすると,第1の形態的特徴及び第2の形態的特徴のいずれか一方ないしそれに近い形態的特徴を備えた椅子は他に存在するものの,これら双方を兼ね備えたものが原告製品以外に存在すると認めることはできない。
(ウ) 以上によれば,原告製品は,第1の形態的特徴と第2の形態的特徴とを組み合せた点において,従来の椅子には見られない顕著な形態的特徴を有しているから,原告製品の形態が需要者の間に広く認識されているものであれば(なお,被告は周知性について争うものの,具体的な反論はしていない。),その形態は不競法2条1項1号にいう周知性のある商品等表示に当たり,同号所定の不正競争行為の成立を認める余地があるので,以下,被告製品の形態が原告製品の形態に類似するか否かについて検討する。\n

◆問題のデザインチェアーです

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平成25(ワ)1062 損害賠償等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成26年01月24日 東京地方裁判所

一部の表示「全国共通お食事券」が商品等表\示であるかが争われました。裁判所はこれを否定しました。
 前提事実(2),(3)によれば,被告商品である「ぐるなびギフトカード全国共通お食事券」の販売が開始された平成23年9月15日の時点で,原告商品である「ジェフグルメカード 全国共通お食事券」の販売が開始(平成4年12月1日)されてから19年近くを経過しており,その間,他に「全国共通お食事券」の名称を使用した他の種類の券が発行されていたことは証拠上認められない。そして,原告商品のみが販売されていた約19年の間に,原告商品は約1億4000万枚発行されたものと認められる。したがって,1年間の平均でみると年間約740万枚が販売されたことになる。上記の販売により原告商品は相当程度の知名度を獲得していたとみられるが,そのことと,「全国共通お食事券」が単独で原告主張の意味及び品質を有するものとして,原告商品が周知であったこととは異なる。上記アのとおり,原告の商品等表示として単独で「全国共通お食事券」の表\示の使用があったとは認められず,原告の商品等表示としては,「ジェフグルメカード 全国共通お食事券」,「全国共通お食事券 ジェフグルメカード」が使用されていたと認められるから,原告商品を購入,取得した取引者及び一般消費者は,原告商品の識別力を有する標章としては,「ジェフグルメカード」をまず認識するのが通常であると解される。したがって,「全国共通お食事券」の名称が,「ジェフグルメカード」の名称とは別に,原告主張の意味及び品質を有するものとして識別力を有するというためには,取引者及び一般消費者に対してその認識を促すような特別の宣伝広告等がされ,取引者及び一般消費者が広くそのことを認識する必要があるというべきである。そこで,この点について検討するに,原告商品の券面(表面)には,取引者及び一般消費者が,「全国共通お食事券」を原告主張の意味及び品質を有するものと認識できるような内容の宣伝広告の記載はない。券面(裏面)には,「全国のジェフグルメカード取扱加盟店にて額面金額と等額で取扱商品とお引換え(販売)いたします。加盟店は加盟店マークの表\示のあるお店及び弊社ホームページをご覧ください。」との記載がある(甲20)。以上の記載からは,原告が主張するような意味及び品質を認識することはできない。原告商品が販売される際には,原告商品の取扱店舗を知らせるための加盟店リスト(甲47)が配布される。その表紙には「有効期限はございませんので,お好きな時にご利用いただけるとっても便利なギフトです。」との記載があり,加盟店の一覧が付されている。そして,加盟店一覧の加盟店名には,例えば,「ガスト」,「神戸屋レストラン」等のフランチャイズ店全体を記載したとみられる表\記があるものの,その上部には,「一部利用いただけない店舗がございますのでご了承ください。」との記載がある。これらの記載からは,原告が原告商品の品質保証の内容である,有効期限がないということを認識することが可能であるが,それが加盟店一覧表\の表紙に小さな文字で記載されているのみであるため,実際にどれだけの一般消費者がそれによって原告の主張する内容を認識するものかは必ずしも明らかではなく,また,それ以外の原告の品質保証の点については,必ずしも加盟店リストから認識できるものではない。原告の平成4年11月頃作成の会社案内(甲2)には,「『食』を通じ,感動と出会いを。こころの時代の,幸福な物語を紡ぐために。」,「『こころの時代』と呼ばれる21世紀への大きな流れは,いま,『食』に楽しく暖かなコミュニケーションのライフステージとしての役割を求めはじめています。…『食』が人々のこころを結び,幸福な物語を紡ぎつづけていく,そのために。」等の記載があり,原告商品の特徴として,「市場規模,選択性,広範囲の店舗網 モチベーションの多彩さ 日常的,手軽さ,利便性」が挙げられ,「『ジェフグルメカードにしかできないこと』として,利便性の高さ,信頼感,気軽さが挙げられている(甲2)。しかし,この会社案内の内容がどの程度,取引者及び一般需要者に認識されているかは不明である。

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