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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商品形態

平成25(ワ)7604  不正競争行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟  平成26年8月21日  大阪地方裁判所

 原告から購入して販売していた被告が、自ら中国のメーカーに依頼してぬいぐるみを製造させました。裁判所は、不競法2条1項3号の商品形態模倣であるとして、差し止め損害賠償が認められました。損害賠償額は被告の利益から計算されました。
 被告は,原告商品の特徴が,他の市場に存在する類似商品と概ね一致するもので,「当該商品の機能を確保するために不可欠な形態」として,クマのぬいぐるみを制作販売する場合,その外見的特徴として似てしまうのもやむを得ないものである旨主張する。しかし,被告が類似商品と指摘するものが原告商品より以前に存在したと認めるに足る証拠はなく,また,熊のぬいぐるみであれば,上記で認められる原告商品の形態を備えることが不可欠といえるものではないことは明らかであり,原告商品の具体的形態からしてもありふれたものとまではいえず,前記(2)で認定した開発の経緯に照らしても,原告商品の形態は,不正競争防止法2条1項3号の保護の対象となるものといえる。 イ 原告商品と被告商品とは,上記(5)のとおり,その形態全体にわたり多数の共通点が認められ,できあがった原告商品と被告商品の全体の寸法もほぼ同じであることからすれば,本体の形状はほぼ同一であるとい える。原告商品及び被告商品のいずれも,ぬいぐるみ全体の印象を決める毛の形状や長さは,約10〜12mmの緩い巻が入ったもので,顔の印象を決める目や口鼻部の作りは,口鼻部が毛の短い乳白色の布で顔から約30mm突出して作られ,目と目の間隔は41から43mm,目鼻として用いられている部材の形状,黒色の刺繍により鼻の部材の下側中央部分から左右下方にそれぞれ伸びる逆U字形状(左右全体にはW字形状)に形成されている口など,ほぼ共通しており,乳白色の布の大きさ,毛の長さがわずかに異なるものの,被告が指摘する鼻の刺繍の長さはその差異を認識することは困難であり(甲34ないし36),いずれも些細な違いといえ,ぬいぐるみの顔の印象がこれにより異なるものではなく,原告商品と被告商品とは,全体のつくり,顔のつくりにおいて酷似している。 上記以外の原告商品と被告商品の相違点として,・・・その違いが全体の印象を相違ならしめるものではない。 したがって,原告商品と被告商品の形態は,全体のつくり及び顔のつくりにおいて酷似しており,その相違点を考慮しても,実質的に同一であるといえる。
・・・・
被告商品1個あたりの販売価格は平均1107円(小数点以下切捨て),仕入価格は1個735円であると認められる(乙16,弁論の全趣旨)。仕入価格には,2.8%の関税,さらに4%の消費税,消費税額の25%の地方消費税が課せられること(争いがない)からすれば,仕入原価に関税を加え(小数点以下切り上げて1個756円),消費税を加え(小数点以下切り上げて1個787円),地方消費税額を加えた(小数点以下切上げ)1個あたりの原価は,795円と認められる。 そうすると,被告商品1個あたりの利益額は,1107円から795円を控除した312円である。 被告の販売数量は8万1025個であることからすれば(弁論の全趣旨),これに1個あたりの利益額を乗ずると,利益額は合計2527万9800円となる。

◆判決本文

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平成19(ワ)19275 損害賠償等請求事件 著作権 民事訴訟 平成20年07月04日 東京地方裁判所 

 かなり前の事件ですが、あげておきます。動物のぬいぐるみと小物入れを組み合わせた「プチホルダー」という名称のシリーズ商品について、不競法2条1項3号の商品形態模倣であるとは認められましたが、善意かつ無重過失として損害賠償は否定されました。著作物かについても争われましたが著作物性なしと判断されました。
 前記認定に係る事実によれば,被告における商品の仕入れは,商品の仕入れを担当する部門に所属するバイヤーが,仕入先が行う多数の企画提案の中から,特定の商品の企画提案を採用し,その販売数量や価格等を決定して行うというものであり,また,被告商品の仕入れを担当する部門が1年間に取り扱う商品数だけでも約12万点に及び,仕入先が被告に対して行う企画提案の数も極めて多数に及ぶものと推測されることからすると,被告は,被告商品の仕入れを行うに当たり,被告商品の企画や生産の過程に関与することはなく,被告商品の選定やその販売数量及び価格等の決定のみを行っていたものと認められる。また,上記の膨大な数量の商品すべてについて,その開発過程を確認するとともに,形態が実質的に同一である同種商品がないかどうかを調査することは,著しく困難であるということができる。一方,原告商品は,これまでの販売金額が合計19万0487円,販売数量も合計330個にとどまり,その宣伝,広告も,原告ベストエバージャパンのウェブページや商品カタログに写真が掲載されている程度であって,一般に広く認知された商品とは認められないことからすると,被告は,被告商品を平成化成から購入するに当たり,取引上要求される通常の注意を払ったとしても,原告商品の存在を知り,被告商品が原告商品の形態を模倣した事実を認識することはできなかったものというべきである。以上によれば,被告は,被告商品の購入時にそれが原告商品の形態を模倣したものであることを知らず,かつ,知らなかったことにつき重大な過失はなかったものと認められる。
・・・
 これらの規定は,意匠法等の産業財産権制度との関係から,著作権法により著作物として保護されるのは,純粋美術の領域に属するものや美術工芸品であり,実用に供され,あるいは産業上利用されることが予定されているものは,それが純粋美術や美術工芸品と同視することができるような美術性を備えている場合に限り,著作権法による保護の対象になるという趣旨であると解するのが相当である。原告商品は,小物入れにプードルのぬいぐるみを組み合わせたもので,小物入れの機能\を備えた実用品であることは明らかである。そして,原告が主張する,ペットとしてのかわいらしさや癒し等の点は,プードルのぬいぐるみ自体から当然に生じる感情というべきであり,原告商品において表現されているプードルの顔の表\情や手足の格好等の点に,純粋美術や美術工芸品と同視することができるような美術性を認めることは困難である。また,東京ギフトショーにおいて審査員特別賞を受賞した事実が,原告商品の美術性を基礎付けるに足るものでないことは明らかである。したがって,原告商品は,著作権法によって保護される著作物に当たらない。

◆判決本文

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平成25(ワ)18665 損害賠償請求事件 不正競争 民事訴訟 平成26年04月17日 東京地方裁判所 

不競法2条1項1号および3号を主張しましたが、周知性および類似性いずれも否定されました。対象商品は下記にあります。

◆添付資料1

◆添付資料2
 以上を前提に検討すると,原告各商品の発売時から原告が周知の商品等表示性を獲得したと主張する平成23年9月末日までの原告各商品の販売期間は,原告商品6については約半年,その余の商品については約2か月であるにとどまり,原告が長期間独占的に原告各商品の形態を使用していたとはいえない。また,原告の主張するチラシ掲載や雑誌掲載等の多くは平成23年9月末日より後のものであり,同日までのウェブサイトの閲覧者数等も明らかではないから,これらは同日までに周知の商品等表\\\示性を獲得したとの原告の主張を裏付けるには足りない。さらに,被告が被告各商品の販売を開始したとされる平成24年12月までの宣伝広告等の実績及び原告の主張するウェブサイトの閲覧者数を考慮するとしても,まず,原告各商品のうちマスメディアに取り上げられたのは原告商品1,5及び6のみであるというのであるから(別紙「各マスメディアに取り上げられた実績」参照),原告商品2〜4についてはその形態が周知であると認めることはできない。また,原告商品1が雑誌に取り上げられたのは1回のみであり(甲42),周知性を認めることは困難である。さらに,原告商品6は平成23年12月から平成24年11月までの間に7回,原告商品5は同年3月から8月までの間に4回,それぞれ雑誌に取り上げられているが,いすれも他社の商品が同一頁で紹介されていること,パスタの保存やオムレツの作成の簡易化という機能面を重視した記事となっていること(甲33〜42)からすれば,読者に対してこれら商品の形態を印象付けるものとは解し難い。これに加え,これらの雑誌の発行部数は明らかにされていないこと,原告が上記ウェブサイト以外に原告各商品の宣伝広告を行ったとの立証がないことを勘案すると,原告各商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しているとしても,平成23年9月末日ないし被告各商品の販売開始までの間に,原告の商品等表\\\示として周知になったと認めることはできない。
(2) さらに,原告各商品の形態と被告各商品の形態の類似性について検討しても,後記2(1)イ及びウにおいて認定判断するとおり,原告各商品と被告各商品の形態には明らかな相違点が複数あり,需要者に対し異なる印象を与えるものである。したがって,原告各商品と被告各商品の形態が類似するということはできない。
・・・・
以上によれば,原告各商品と被告各商品の形態は,基本的な部分(上記イに丸付き数字で摘示した部分)に共通点があるものの,これらの点は,電子レンジで半熟卵を作る,レモンを搾るなどの機能を果たすためにそのような形態が選択されたとみることができる。他方,両商品には,例えば,原告商品1と被告商品1であれば蓋部材の形状や底面側の脚部の有無,原告商品2と被告商品2であれば半円形がキノコ形かという側面側から観察した形状,原告商品3と被告商品3であれば平面体の形状及び指サックの有無など,具体的な形態において一見して識別することのできる明らかな相違点が複数ある。そして,これらの相違点は全体的形態に与える変化が乏しいささいな相違にとどまるとは到底いえないものであるから,両者の形態が類似するとはいえないと判断するのが相当である。したがって,被告各商品が原告各商品の形態を模倣した商品であるということはできない。\nエ これに対し,原告は,被告各商品の販売を許容することは新商品の開発者を保護するという不正競争防止法2条1項3号の趣旨に照らし許されないと主張するが,同号は商品の具体的形態を保護するものであって商品の機能やアイデアを保護するものではないから,具体的形態に大きな相違点があると認められる本件において,同号の不正競争行為を認めることはできない。\n

◆判決本文

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平成25(ネ)10075等 不正競争行為差止等請求控訴,同附帯控訴事件 不正競争 民事訴訟 平成26年02月26日 知的財産高等裁判所

 アダルトグッズについて、不競法の商品形態模倣について2000万円を超える損害賠償が認められました。
 そもそも,模倣品を規制することにより,市場における先行者の利益を保護し,先行者の商品開発及び市場開拓のインセンティブを確保し,公正な競業秩序を維持するとの不正競争防止法の趣旨に照らせば,同法2条1項3号によって保護される「商品の形態」とは,広く商品全体の形態をいうものであって,商品の機能を確保するために不可欠の形態及びありふれた形態は除外されるものの,形態自体が高い独創性を有することが必要とされるものではない。そして,原告商品が,手持ちの電機マッサージ器としての機能\を確保する上で不可欠な形態に該当するものでないことは明らかであるし,従来の同種品との比較においてありふれた形態ともいえないことは,以下のとおりである。すなわち,原告商品と,被告らが,当審において提出するピンクローター(検乙5ないし8)とを比較すると,電気的振動部分であるピンクローター本体の全体としての形態は,原告商品と全く異なっている上(被告ら自身,これらのピンクローターと原告商品の形態の類似性を主張するものでない。),ストラップ部分に関しても,原告商品のストラップは,携帯電話機に設けられたストラップを連結する穴に繋止するのに適した細い紐で構成されているのに対し,上記のピンクローターのストラップ紐は,布紐をビニールでコーティングした,原告商品のストラップ紐よりも相当に太い形状であり,携帯電話機に通常設けられた携帯ストラップを連結するための穴に挿入するのに適した形状ではなく,その形態は大きく異なっている。そうすると,前記のとおり,原告商品は,電気マッサージ器としてのみならず携帯ストラップとしても使用できることを目的として,その全長を極端に小さくした構\成を採用したことに形態的特徴を有するものであり,全体的観察において,そのような形態的特徴を有する商品が原告商品の開発前に存在したとは認められない。

◆判決本文

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平成25(ネ)10062等 不正競争行為差止等請求控訴事件,同附帯控訴事件 不正競争 民事訴訟 平成25年12月26日 知的財産高等裁判所

 不競法の商品形態について、原審の損害認定が維持されました。不競法19条の適用除外については除外されないと判断されました。ただ、50%の商品について、いわゆる「販売不可事情」が認められました。
 そこで検討するに,一審被告は,インテリア用品の輸入販売業者として,他人の商品の形態を模倣した商品を輸入し,これを販売することにより他人の営業上の利益を侵害してはならない義務を負うというべきであるから,一審被告がティファニー社から被告各商品を輸入するに当たり,ティファニー社に対し,被告各商品のデザイン完成に至る開発経緯等を問い合わせるなどして被告各商品が他人の商品の形態を模倣した商品ではないことを調査確認すべき注意義務を負っていたものと解するのが相当である。しかるところ,前記(1)の認定事実によれば,一審被告は,被告各商品を輸入するに当たり,ティファニー社に対し,被告各商品が被告各商品が他人の商品の形態を模倣した商品ではないことを調査確認したことがなかったことが認められ,また,平成23年9月27日に一審原告の代理人弁護士から被告商品1ないし5が楽天市場の原告ショップで販売されている原告商品1ないし5の形態を模倣した商品である旨の本件警告を受けた後も,原告ショップを調査することなく,被告商品1ないし5の販売を継続するとともに,原告商品6の形態を模倣した被告商品6の販売を行っていたのであるから,一審被告には,被告各商品が他人の商品の形態を模倣した商品ではないことを調査確認しようとする意思もなかったものと認められる。加えて,楽天市場は,大手のインターネットショッピングモールであり,一審原告が楽天市場の原告ショップで販売するステンドグラスの各商品は,平成20年5月ころ以降,楽天市場の洋風ペンダントライト,シャンデリア,壁掛け照明の各部門の「ランキング市場」でしばしば1位等のランキング上位を獲得していたこと(前記(1)ア)からすると,一審被告において,被告各商品のデザイン完成に至る開発経緯等をティファニー社に問い合わせていれば,楽天市場の原告ショップを調査することに格別の困難はなかったものと認められる。そして,原告ショップには,ステンドグラスのペンダントランプが原告各商品を含めて100種類程度展示されていたが(前記(1)ア),原告各商品の形態と被告各商品との形態は酷似していること(前記(2)アの(ア)ないし(カ))に照らすと,一審被告が原告ショップを調査すれば,被告各商品が原告各商品の形態を模倣した商品であることを容易に認識し得たものと認められる。以上を総合すると,一審被告において被告各商品の輸入時に被告各商品が原告各商品の形態を模倣した商品であることを知らなかったとしても,それは,被告各商品が他人の商品の形態を模倣した商品ではないことを調査確認すべき注意義務を怠ったことによるものであり,しかも,上記調査確認をすることにより被告各商品が原告各商品の形態を模倣した商品であることを容易に認識し得たにもかかわらず,一審被告には調査確認をしようとする意思すらなかったのであるから,一審被告において被告各商品の輸入時に被告各商品が原告各商品の形態を模倣した商品であることを知らなかったことにつき重大な過失がなかったものと認めることはできない。したがって,一審被告は,本件警告の前後を通じて,被告各商品について不競法19条1項5号ロの「他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けた者(その譲り受けた時にその商品が他人の商品を模倣した商品であることを知らず,かつ,知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)」に該当しないから,一審被告の上記主張は,採用することができない。
・・・・
一審被告は,一審原告が製造販売するステンドグラスのランプシェードの種類は非常に多く,実際の原告各商品の販売数は年間数個から十数個程度と考えられること,原告各商品の価格は1個4万円台が主流であるのに対し,被告各商品の小売価格(参考上代)は1万円以下であって,その価格差は4倍程度あり,被告各商品を購入した顧客層が高価な原告各商品を購入するとは考えられないことからすると,一審被告が販売した被告各商品の販売数量の全部に相当する数量について一審原告が「販売することができないとする事情」(不競法5条1項ただし書き)がある旨主張する。そこで検討するに,1)原告各商品及び被告各商品は,ステンドグラスのペンダントランプという照明器具の一種であり,同様の照明器具には多種多様なものが存在すること,2)原告各商品及び被告各商品は,それぞれ原告ショップ又は被告ショップで販売されており,ネットショップで販売されていたという点では共通するが,原告各商品については,その販売価格が4万円台(4万0950円ないし4万7250円の範囲)であるのに対し,被告各商品については,一審被告によって業者に対して卸売りがされたものであり,その販売価格(卸売価格)は2000円台(2300円ないし2900円の範囲)であり,その価格差は20倍程度あり,また,被告ショップ掲載の被告各商品の参考上代は1万円前後(9200円ないし1万1600円の範囲)であり,この参考上代と対比しても,その価格差は4倍程度あったことからすると,一審被告から被告各商品を購入する顧客層と一審原告から原告各商品を購入する顧客層には重なり合わない部分がかなりあるものといえること,3)一審原告が楽天市場の「ランキング市場」で1位等のランキング上位を獲得したステンドグラスのペンダントランプは,原告各商品とは別商品であり,原告各商品がとりわけ人気が高い商品であったことをうかがわせる事情を認めるに足りる証拠はないこと,4)一審被告の取引先の業者のネットショップにおいて,被告商品2が2万4000円,被告商品3が2万4000円,被告商品4が2万3000円,被告商品5が2万5000円などの小売価格で掲載されている例(甲21ないし24)があるが,当該業者と一審被告とを同一視し得るような事情を認めるに足りる証拠はなく,また,この小売価格と対比しても,原告各商品との価格差は1.6倍程度あったこと,以上の1)ないし4)の事情を総合考慮すると,前記ア認定の被告各製品の販売数量のうち,50%に相当する数量については,原告各商品と被告各商品の価格差及び顧客層の相違等に起因して,一審被告による不正競争行為がなくとも,一審原告が原告各商品を「販売することができないとする事情」があったものと認めるのが相当である。したがって,前記アの被告商品の譲渡数量のうち,50%に相当する数量(被告商品1につき23個,被告商品2につき30個,被告商品3につき20個,被告商品4につき25個,被告商品5につき16個,被告商品6につき16個)に応じた額を,原告の損害額から控除すべきである。この限度において一審被告の上記主張は,理由がある。(イ) これに対し一審原告は,不競法2条1項3号の形態模倣の不正競争行為は,被侵害者の商品の形態に依拠し,これと実質的に同一の形態を持つ商品を販売する行為であり,被侵害者の商品と侵害品とが市場において完全に補完関係に立つから,被侵害者の商品と侵害品との価格差等は,そもそも被侵害者が「販売することができないとする事情」に該当しないし,また,被告商品2が2万4000円,被告商品3が2万4000円,被告商品4が2万3000円,被告商品5が2万5000円であるなどの小売価格の例があることや,現実に被告商品4は2万3000円でも売れており,原告各商品及び被告各商品は,一般家庭や店舗等におけるインテリアとして使用されるランプであり,いわゆる消耗品等は異なり,若干の価格差によって購買層が分断されるような性質の商品ではなく,原告各商品と被告各商品との価格差が需要者の購買意欲に与える影響は極めて小さいから,上記事情は存在しない旨主張する。しかしながら,前記(ア)で述べたように,原告各商品は,ステンドグラスのペンダントランプという照明器具の一種であって,同様の照明器具には多種多様なものが存在する一方で,原告各商品が価格の多寡にかかわらず,需要者が購入を求めるような特に人気の高い商品であったものとまでは認められないことからすると,原告各商品と被告各商品との価格差が需要者の購買意欲に与える影響を軽視することはできない。そして,前記(ア)の1)ないし4)の事情に鑑みると,被告各商品の形態が原告各商品の形態と酷似していることなどを考慮してもなお,原告各商品と被告各商品とが市場において完全に補完関係に立つものとはいえず,一審原告の上記主張は,理由がない。

◆判決本文

◆原審はこちら。平成24(ワ)4229

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