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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商品形態

平成25(ワ)11486  不正競争行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟 平成27年10月29日  大阪地方裁判所  棄却

 不競法の商品形態模倣について、似ている部分は本件商品の通常の形態であるとして、該当せずと判断されました。
 これに対して原告は,上記のような原告商品と被告商品の形態の特徴の相違は,些細なもの,あるいは僅かな違いであるなどとし,原告主張に係る形態の対比だけで商品形態の実質的同一性の判断に十分なように主張するところ,確かに両商品を対比して観察すると,原告主張に係る形態の特徴が共通することから,一見してよく似ているとの印象が与えられ,それに比較すると,上記(5)で認定した相違点は微細なものであるように思えないではない。
イ しかし,証拠(乙9,18,甲60)によれば,回転式草刈機の刃の下側に装着することを特徴とする刃の保護カバーは,原告商品の日本国内販売開始当時,日本国内においてはほとんど存しなかったものの,韓国においては一般的であったものと認められ,そして,それらの保護カバーにおいては,以下1)ないし4)の形態の特徴が認められるものが多く,またそれらは,この種の商品において機能を発揮するための構\造であるとも認められる。 1) 保護プレートが回転式草刈機の円盤形カット刃の下部に位置する。 2) 保護プレートは,複数の突出部と溝部が円周方向に沿って交互に形成された放射形状となっている。 3) 上記放射形状の突出部の一部は,他に比して大きく,同所に回転式草刈機(竿)のハンドルと固定する支持部材の下端が連続している。 4) 上記支持部材の上端には,回転式草刈機のハンドル(竿)を挟み込んで固定するための固定部が設けられている。 ウ そして,これらの点を踏まえて,改めて原告主張に係る原告商品及び被告商品の形態の特徴を検討すると,原告商品及び被告商品を一見して似ていると感じさせる上記AないしF及びaないしfの形態の特徴は,韓国において同種商品に多く見られる上記1)ないし4)の形態の特徴に,機能部分として突出部の折曲(C,c)や,保護カバー中心部に付加した形態的特徴(F,f)が加わったものにすぎないといえ,これらからすると,原告商品と被告商品との形態が似ているとの印象を与える原告主張に係る両商品の形態の特徴の共通点は,少なくとも韓国においては,同種商品の間において,よく見られた形態の一態様にすぎないものであったと認められる。 そうすると,上記形態の特徴の共通点が被告主張のように「当該商品の機能を確保するための不可欠な形態」とまではいえないとしても,原告商品及び被告商品がいずれも韓国で開発製造され日本国内に輸入された商品であることを考慮するならば,先行開発者の開発利益を保護するという不正競争防止法2条1項3号の趣旨に照らし,そのような形態の特徴の共通性に重きをおいて両商品の形態が酷似していると評価して原告商品の形態に保護を与えることは相当ではないというべきである。\n

◆判決本文

◆原告商品です。

◆原告商品です。

◆被告商品です。

◆被告商品です。

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平成26(ワ)17832  損害賠償等請求事件  不正競争  民事訴訟 平成27年9月30日  東京地方裁判所

 デザイン画に基づいて製造された商品について、不競法2条1項3号の商品形態模倣とは認められませんでした。
 不競法2条1項3号は,「他人の商品の形態(・・・)を模倣した商品を譲渡」等する行為を不正競争として規定するところ,同条4項に「この法律において『商品の形態』とは,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいう。」と,同条5項に「この法律において『模倣する』とは,他人の商品の形態に依拠して,これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。」とそれぞれ定めているところからすると,同条1項3号にいう「商品の形態」とは,これに依拠して実質的に同一の形態の商品である「模倣した商品」を作り出すことが可能となるような,商品それ自体についての具体的な形状をいうものと解される。\nこれを本件についてみると,原告が「商品の形態」に該当すると主張するのは別紙衣料品目録の別紙デザイン図に示される本件デザイン画であり,これを「模倣した商品」であるとして,原告がその販売等の差止めを求めるものは被告が販売するパーカ,ジャケット等の衣料品である(甲20,21の1,2)ところ,本件デザイン画は,衣料品の観念的・概略的なデザインにすぎず,いずれもその品目に示された衣料品等の具体的な形状を示すものではないから,被告の販売する衣料品等は,不競法2条1項3号にいう「他人の商品の形態・・・を模倣した商品」には当たらないというべきである。
したがって,不競法2条1項3号についての原告の主張は理由がない。
(2)ア この点に関して原告は,不競法2条1項3号の不正競争は,実際に商品の販売が開始される以前にも成立するものと解されているから,本件においても不競法2条1項3号に基づく保護が認められるべきであると主張する。 なるほど不競法2条1項3号の商品形態の保護が,実際に商品の販売が開始される前には一切及ばない趣旨とまでは解されないものとしても,そこでいう商品の形態は,前記のとおり具体的なものであることが前提であるものと解される。原告の本件デザイン画は,前記(1)で検討したとおり,その前提を満たすものとはいえない。原告の主張は前提を欠き,採用することができない。
イ 原告は,本件デザイン画は,具体的であり,これに従って衣料品を製造することが可能なものである旨も主張する。\nしかし,原告の本件デザイン画は別紙衣料品目録の別紙デザイン図のとおりであるところ,これによれば,本件デザイン画は,およそこれに従って衣料品が製造できるというほどに具体化されたものとはいえないというべきである。

◆判決本文

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平成25(ワ)28365  不正競争行為差止等請求事件  不正競争  民事訴訟 平成27年7月16日  東京地方裁判所

 婦人服について、商品形態模倣(不競法2条1項3号)として、1300万円超の損害賠償が認められました。
 原告は,デザイナーを従業員として複数雇用し,商品のデザインに当たらせている。そして,デザイナーが作成したデザイン画を企画会議で検討して商品化するか否かを決定し,商品化を決めたデザインについては,原告の従業員であるパターンナーが型紙を作成する。商品を製造するに際しては,株式会社みのり(以下「みのり」という。)に対し,製品番号,商品コード,サイズ及びデザイン(イラスト)と,サンプル発注が先行している場合はサンプル番号等を記載した注文書及び上記型紙等を送付して製造を発注する。みのりは,これに従って,また,製法等につき原告と詳細な打合せをした上で,中国にある縫製工場で商品を製造し,我が国に輸入して原告に納品している。 イ 原告は,原告商品3〜5,7〜11に係る各デザイン画(最終的な商品形態と異なるものを一部含む。),デザイン資料,刺繍パターン等と,原告商品3〜11の型紙を所持している。また,原告は,原告商品3〜11に係るみのりへの注文書の控え及び商品の品番,総枚数,色ごとの枚数等を記載した内訳指示書を,みのりは,上記注文書に対応する生産台帳及び上記縫製工場への発注書を所持している。さらに,原告は,みのりに与えたデザイン変更やピンタックに関する指示書等の控え,原告商品10につきみのりから送付されたピンタック見本の現物を保管している。 上記認定事実によれば,原告は,原告各商品について企画から製造販売に至る関係書類を所持しており,これらはいずれも原告がデザインを確定して製造を発注したこと(すなわち,他社がデザインした商品を購入したのではないこと)を裏付けるものと認められる。そうすると,原告各商品の形態は原告がその資本及び労力により開発したとみることができるから,原告は,法2条1項3号の「他人」に当たり,同号所定の不正競争行為をした者に対し損害賠償等の請求をする主体になると解すべきである。

◆判決本文

◆被告商品の写真です

◆原告・被告商品の対比表です

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