服の形状について、商品形態模倣(不競法2条1項3号)を主張しましたが、裁判所は、模倣とは認めませんでした。
イ 実質的同一性について
(ア) 原告商品4の形態と被告商品4の形態を比較すると、両者は、形態A及びE、
並びに、形態B及びGの各一部(形態Bのうちウエスト部を絞ったとの形態、形態
Gのうちパンツのセンタープレスの折り目を中心に、左右に3個ずつ、計6個のパー
ルの装飾が連なって施されている形態)において共通する。他方、両者は、1)ウエ
ストのゴムの有無(形態B)、2)フロントのチャックの有無(形態C)、3)フロン
トのタックの有無及びウエストから臀部のシルエット(形態D)、4)臀部のポケッ\nトの個数(形態F)、5)パールの大きさ(形態G)、6)パールの止め方(形態H)
において相違する。
(イ) 原告は、両商品の全体的なシルエット及び裾のパール装飾があることにおい
て同一であり、パールの大きさの差異はわずかであり、両商品の形態は実質的に同
一であると主張する。
上記4)の相違点については、上記(3)イ(イ)の検討と同様の理由から、上記6)の相
違点については、上記(2)イ(イ)の検討と同様の理由から、いずれも商品全体から見
ると些細な相違点である。また、上記5)の相違点については、上記(2)イ(イ)と同様
の理由から、商品全体に対する需要者の受ける印象に強く影響するものとはいえな
い。しかしながら、上記1)及び2)の相違点は、上記(3)イ(イ)と同様の理由から、ま
た、上記3)の相違点は、腰回り全体のシルエットの相違であり、いずれも需要者が
判別でき着目する点であるといえるから、いずれも商品全体に対して需要者の受け
る印象に大きく影響するものといえる。
以上によれば、原告商品4と被告商品4の形態が実質的に同一であると認めるこ
とはできない。
ウ ありふれた形態であるかについて
仮に、原告商品4と被告商品4の形態が実質的に同一であるとしても、次の理由
から、上記イの両商品の共通点に係る形態は、いずれもありふれた形態であると認
められる。すなわち、形態A及びE、並びに、形態Bの一部(ウエスト部を絞った
との形態)については、従前から多数存在する商品形態である(弁論の全趣旨)。
また、形態G(裾のパールの装飾)については、上記ア(ウ)のとおり、原告商品4の
販売以前に裾にパール装飾を施したガウチョパンツが販売されていたところ、当該
商品と原告商品4とはパンツの形状やパールの配置、大きさが異なるが、上記(1)ア
(ウ)bないしdのとおり、平成30年から平成31年当時、パール装飾のある商品が
人気となって複数の商品が販売されていたことからすれば、ストレートパンツの裾
に形態Gのパールを施すことは容易に着想し制作することができる。
◆判決本文
2023.04. 4
シーリングライトの形状について、周知商品等表示または商品形態模倣に該当するかが争われました。東京地裁(29部)は、いずれも否定しました。知財高裁も同様です。
商品の形態は、本来的には商品の機能・効用の発揮や美観の向上等の見地\nから選択されるものであり、商品の出所を表示するものではないが、特定の\n商品の形態が、他の同種の商品と識別し得る独自の特徴を有し、かつ、その
形態が長期間継続的、独占的に使用され、又は短期間でも効果的な宣伝広告
等がされた結果、特定の営業主体の商品であることの出所を示す出所識別機
能を獲得するとともに、需要者の間に広く認識されるに至ることがあり得る\nところであって、こうした商品の形態は、不競法2条1項1号によって保護
される他人の周知な商品等表示に該当するものと解される。\n
前記認定事実によれば、控訴人が日本国内で販売してきた原告各製品は、
平成22年以降発売されているところ、原告各製品を構成するもののうち、\n本体部分(発光部分、台座等)は、世代製品ごとに構成が異なるものである\nが、シェード部分の形状は、各世代製品間で共通しており、控訴人が開設し
たオンラインショップのウェブページ上でも、原告各製品の構成のうち、シ\nェード部分の形状が他社製品と違う点を強調している(前記1 イ)ように、
その外観であるシェード部分に特徴的な商品の形態があるといえる。
他方で、原告各製品の第1世代製品を開始した平成22年から遅くとも被
控訴人が被告各製品を日本国内で発売を開始した平成30年10月までの間
における原告各製品の販売数量は明らかではなく、また、原告各製品の特徴
的部分であるシェード部分のうち、少なくとも、原告製品2は、レ・クリン
ト社が製造及び発売するモデル30と類似のプリーツ状のシェードであって、
独占的にその形状が使用されてきたものとはいい難い。
これらの点を措くにしても、周知な商品等表示というためには、前記 の
とおり、原告各製品が原告の商品であることの出所を示す出所識別機能を獲\n得するとともに、需要者の間に広く認識されるに至ることが必要であるとこ
ろ、これらの点を認めるに足りる的確な証拠は見当たらない。控訴人は、長
期間にわたり原告各製品に係る広告宣伝を行った旨主張し、Faceboo
kで行ったとする広告に関する資料(甲46)を提出するが、そのとおりで
あるとしても、そもそも宣伝をすれば足りるというものではなく、宣伝等の
結果、遅くとも被告各製品が発売された平成30年10月の時点で、需要者
において原告各製品のシェードの形状が控訴人の商品であることを認識する
に至ったことを証明する必要があるのであるから、控訴人の主張、立証は当
を得ないものというほかない。したがって、その他の点について判断するま
でもなく、原告各製品の商品の形態が不競法2条1項1号に規定する「商品
等表示」に該当するとは認められない。\n
以上によれば、原告各製品の形態が不競法2条1項1号の周知な商品等表\n示に該当するものとして、被控訴人による被告各製品の販売が同号の不正競
争行為に当たることを前提とした控訴人の請求は、いずれも理由がない。
◆判決本文
1審はこちらです。
◆令和3(ワ)3418