均等侵害が認められました。また、不競法2条1項14号に該当するとして、損害賠償が認めれました。
被告製品3は,本件発明の構成要件A1)〜C及びEを充足するものであるが,本件発明が制水駒を接合金具に内嵌するブッシュを介して通水室に内設するものであるのに対し(構成要件D),ブッシュを設けることなく制水駒を接合金具に形成されたV型のテーパに圧入することによって通水室に内設する構\成を採用しているから,構成要件Dを文言上充足しない。\n原告らは,被告製品3は上記のとおり特許請求の範囲に記載された構成と異なるが,1) ブッシュを介して内設することは本件発明の本質的部分ではなく,2)これを被告製品3のように置き換えても本件発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって,3)そのように置き換えることに本件発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が被告製品3の製造時点において容易に想到することができたものであり,4) 被告製品3が本件特許権の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから出願時に容易に推考することができたものではなく,かつ,5) 被告製品3が特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないから,被告製品3は特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして本件発明の技術的範囲に属する(最高裁平成10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁参照)と主張するのに対し,被告らは原告らの主張のうち上記3)の点のみを争っている。
イ そこで判断するに,本件発明における通水室は,水栓の口端に接合される接合金具と水を吐出する吐出金具との間に形成され(構成要件A1)〜3),上端(入水側)と下端(出水側)が開口された筒状の空間を指すものと解される(明細書(甲8)の段落【0007】,【図2】参照)。また,構成要件Dの「ブッシュ」は,特許請求の範囲の文言上,接合金具に内嵌され,上記通水室に制水駒を内設させるものとされているが,明細書の発明の詳細な説明の欄をみてもその具体的な構\成やブッシュを設けることによる作用効果に関する記載は見当たらない。そして,構成要件Cに記載の構\成から成る制水駒を通水室に内設することにより,1個の制水駒によって多様の流量制御に対応することができるという本件発明の技術的意義(明細書の段落【0003】〜【0005】参照)に照らすと,制水駒は,上記形状の通水室内に下端から落ちることなく止まるよう,また,制水駒と通水室の間から水漏れがしないよう,通水室内に固定されていることを要すると解すべきものとなる。
ところで,通水室に制水駒を固定するに当たっては,これらを直接結合するか,他の部材を介して間接的に結合するかのいずれかであるところ,本件発明は後者を採用したものであるが,ブッシュを介在させることの技術的意義は明細書に記載されていない。また,物を製造するに当たり,製造原価を削減する,工程を減らし工期を短くするなどの目的で部品の数を減らすことは,当業者であれば当然に考慮すべき事柄と解される。そうすると,本件発明の特許請求の範囲及び明細書の詳細な説明の記載に接した当業者であれば,ブッシュを省略し,制水駒を通水室に直接結合する構成への設計変更を試みるものと考えられる。そして,本件発明の実施例に示されたとおり,通水室の断面及び制水駒の形状が円形であること,通水室には上端から下端方向に水が流れることからすれば,制水駒が下端から落ちることなく,かつ,制水駒と通水室の間から水が漏れないように両者を\n固定するため,接合金具の内側を下端側が狭まったV型のテーパ状に形成し,その円周部分に円盤状の制水駒を直接圧入するように構成することは,当業者にとって容易に想到できた\n
・・・・
上記事実関係によれば,甲17書面及び甲18書面は,「被告2社には本件発明を実施する権利がなく,被告2社による節水装置の製造販売は特許権侵害になる」旨の警告や通知をした原告らの行為が被告2社に対する誹謗中傷に当たる旨の事実を告知するものということができる。ところで,被告2社による本件特許権の侵害行為が認められることは前記1において認定判断したとおりであり,特許権侵害に関する請求につき説示したところによれば,原告らによる上記警告等は特許権者又は専用実施権者として登録された者による正当な権利行使の範囲を出るものではないと解される。そうすると,これが誹謗中傷であるとする被告2社による上記告知は虚偽であるといわざるを得ない。そして,このような記載内容に照らせば,これが原告らの営業上の信用を害することは明らかと解される。
したがって,上記1)の告知行為は不正競争防止法2条1項14号に該当すると認められる。
・・・
したがって,原告らは,被告らに対し,被告らが甲17書面及び甲18書面においてD及び原告アースアンドウォーターが被告らを「誹謗中傷」した旨を告知したことにつき,不正競争防止法2条1項14号,4条に基づき,原告ごとに35万円及びこれに対する各訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めることができる。
◆判決本文
2014.07. 2
営業誹謗行為(不競法2条1項14号)として、差止および損害賠償が認められました。
原告は,本件報告書を,平成22年頃,J.フロントリテイリング株式会社及び株式会社鉄道会館に,平成23年1月頃,鹿島建設株式会社に対し各提出し,これらの企業等に対し,被告商品の脱臭性能に関する説明が虚偽であり,脱臭性能\がない旨の説明を行った(乙42,44,弁論の全趣旨)。
・・・
そこで,上記企業等に対し,本件記載1ないし3のある本件報告書を交付し,又は被告商品の脱臭方法に関する説明が虚偽であり,被告商品には脱臭機能がない旨の説明をすることが,「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」を告知等する行為(不競法2条1項14号)に該当するか否かについて検討する。\n
・・・・
したがって,本件報告書1の本件記載1及び2は,いずれも「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」の記載に当たるものであり,このような記載を含む本件報告書1を,被告カルモアの取引先である鉄道会館等や鹿島建設株式会社に交付する行為は,不競法2条1項14号所定の不正競争に該当する。
◆判決本文
英会話教材「スピードラーニング」を販売している会社が、不競法2条1項14号に基づく発信者情報の開示を求めました。裁判所は、これを認めました。
(1) 本件表示は,「スピードラーニングの口コミって嘘でしょ。効果の無い英会話教材」と表\示したタイトル部分と,冒頭に「スピードラーニングの口コミって嘘でしょ。効果の無い英会話教材」と大きく表示し,その下部に「スピードラーニングの口コミは嘘としか思えません。今話題のステマと言わんばかりの高評価に呆れます。」とやや小さく表\示した説明部分を含むものである(甲1の1)。ここで,「ステマ」とはステルスマーケティングの略であり,消費者に宣伝と気付かれないように宣伝行為を行うことを意味するものである(甲2の3)。(2) 上記(1)の表示は,本件サイトの管理者において,原告教材が口コミにおいて高評価であるにもかかわらず,原告教材に効果を感じられなかったこと及び上記高評価はステルスマーケティングによるものとも思われるほどであり,呆れる旨を表\示したものと解される。しかし,当該表示が名誉又は信用を毀損するものに当たるか否かは,一般読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきところ,一般読者の普通の注意と読み方によった場合,上記(1)の表示は,原告教材の口コミが原告教材を実際に購入し,使用した者によって作成されたものではなく,原告がステルスマーケティングによって作成した嘘のもの,すなわち原告が自ら又は第三者に依頼して意図的に作出したものの可能\性があるとの印象を与えるものであるということができる。原告が外国語教材の企画・開発及び販売等を業とする法人であることは前記前提事実(1)アのとおりであるところ,原告が,その販売する商品である原告教材につき,高評価の口コミを自ら作出している可能性があるということは,原告の名誉,信用等の社会的評価を低下させるものであるというべきである。(3) 本件表示は,上記(1)の表示に続けて,「実際の購入者しか分からないと思いますが,スピードラーニングの教材内容じゃ,英会話は上達しませんし,効果もありません。」と表\示した説明部分をも含むものであるから(甲1の1),上記(1)の表示は,本件サイトの管理者において,原告教材に効果が感じられなかったことに基づいて記載されているものと認められるところ,本件サイトの体裁等(甲1の1)に照らし,本件サイト管理者は一個人であることがうかがわれるのであるから,このような個人において,原告教材に効果を感じられなかったことは,原告が原告教材につき高評価の口コミを自ら作成している可能\性があることを裏付けるに足るものではない。したがって,本件において,本件表示が真実であり,又は真実であると信ずるにつき相当の理由があるものとは認められず,本件表\示に違法性阻却事由の存在をうかがわせるような事情は存在しないものと認められる。 (4) したがって,本件表示の掲載は,原告の名誉・信用等の社会的評価を低下させるものであって,原告人格権を侵害するものであることが明らかである。\n
◆判決本文
本件訂正後特許についてこれを無効とする審決がされることが見込まれるということはできないとして、営業誹謗行為ではないと判断されました。
原告は,本件訂正後発明はフォトルミネセンス蛍光体の組成を限定していないのに対し,本件原出願明細書には組成が限定されていないフォトルミネセンス蛍光体を用いることが記載されていないから,本件訂正後特許は分割要件に違反すると主張する。そこで判断するに,前記前提事実(4)に加え,証拠(乙30,38)及び弁論の全趣旨によれば,本件特許については分割要件違反を理由とする無効審判請求がされ,特許庁がこれを不成立とする審決をしたところ,これを取り消す旨の本件審決取消判決がされたこと,被告はこれを受けて訂正審判を請求し,特許庁は,本件訂正後特許には分割要件違反その他無効理由が存在しないと判断して,本件訂正を認める旨の審決をしたことが認められる。また,証拠(甲45,47,乙24,25,31)及び弁論の全趣旨によれば,本件原出願明細書には実施形態又は実施例として組成が限定された蛍光体のみが記載されているとはいえないと解することが可能であって,この趣旨をいう専門家の意見書も提出されている。これらの事情を総合すると,分割要件違反の有無については第1次的には専門的知識経験を有する特許庁の審判手続により判断されるべきところ(特許法178条6項参照),本件訂正後特許についてこれを無効とする審決がされることが見込まれるということはできない。そうすると,不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為の有無が争われている本件訴訟において,分割要件違反を理由として本件プレスリリース1により告知流布された前記事実が虚偽であると解することはできないというべきである。\n
◆判決本文