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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

不正競争(その他)

令和4(ワ)8300 差止等請求事件  不正競争  民事訴訟 令和6年10月10日  東京地方裁判所

不競法2条1項20号により、販売代理店として取得した同サービスに係る営業上の機密事項や営業手法を利用し、これと類似する事業を行うことが禁止されました。

ア 被告会社は、原告に対し、本件契約 3 条 2 項 4 号に基づき、「本サービスを …誤認されるサービスを行ってはならない」という競業避止義務を負う。また、本 件事業に関し、被告会社が原告との関係で代理商(会社法 16 条)の地位にあること は当事者間に争いがないところ、代理商は、許可なく「自己又は第三者のために会 社の事業の部類に属する取引をすること」を禁止されている(同法 17 条 1 項)。したがって、被告会社は、この観点からも、原告に対して競業避止義務を負う。
イ 前提事実及び前記各認定事実によれば、本件事業及びレキシル事業は、いず れも、広く採用活動を行う顧客から提供を受けた求職者等の履歴書や職務経歴書等 の情報を用いて、当該求職者等に係る WEB 調査及びその評価を行うサービスとい える。このため、レキシル事業は、本件事業と同種又は類似するサービスであり、 原告が事業として行う本件事業の部類に属する取引と認められる。なお、被告会社 は、レキシル事業として「レキシル」及び「レキシル+」を提供しており、それぞれ 別の商品として位置付けているとみられるものの、これらを併せた商品群を「レキ シル」と称して、一体的に宣伝広告活動等を行っていることがうかがわれることに 鑑みると、被告会社の原告に対する競業避止義務違反を考えるに当たっては、これ らの商品を区別して取り扱う必要はないというべきである。 また、本件提案書及び本件申込書とレキシル提案書及びレキシル申\込書の記載内 容の同一性又は類似性並びに本件契約締結及びその前後の経緯に鑑みると、被告会 社は、本件事業に関して原告から提供された資料に示された情報をもとにレキシル 提案書その他レキシル事業に関する資料等を作成し、レキシル事業に使用したもの と理解される。そうすると、被告会社は、原告に対する本件契約上の競業避止義務 にも違反したものといえる。
ウ これに対し、被告会社は、本件契約上の競業避止義務は代理商としての競業 避止義務よりも範囲を限定し、後者の適用を排除したものであり、また、仮に後者 が適用されるとしても、レキシル事業と本件事業とは内容や市場を異にすることな どを主張する。
しかし、上記のとおり、本件契約上の競業避止義務と代理商としての競業避止義 務とは内容を異にするところ、前者をもって後者の適用が排除されるとすべき理由 はない。また、本件事業とレキシル事業の内容や市場については、レキシル事業の うち「レキシル」は、本件事業とその内容及び市場を同じくすることは明らかとい ってよい。他方、「レキシル+」については、「第三者チェック」が実施されること もあって、「おすすめ対象」が中途採用者及び幹部社員採用候補者とされており、 その点では本件事業と異なる部分がある。もっとも、少なくとも中途採用者は「レ キシル」においても「おすすめ対象」とされており、また、幹部社員採用候補者に ついても WEB 調査が必要となる例のあることは容易に推察される。そうすると、 「レキシル+」を考慮に入れても、レキシル事業と本件事業とは、その内容及び市場 を共通にすると見るのが相当である。 その他被告会社が縷々主張する点を考慮しても、この点に関する被告会社の主張 は採用できない。
(3) 小括
以上より、被告会社は、レキシル事業の実施につき、原告に対する代理商として の競業避止義務(会社法 17 条 1 項 1 号)及び本件契約に基づく競業避止義務に違 反したものと認められる。

◆判決本文

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