種苗法に基づく差止請求が却下されました。
ところで,品種登録の際に,品種登録簿の特性記録部(特性表)に記載され\nる品種の特性(法18条2項4号)は,登録品種の特徴を数値化して表すもの\nと理解することができるが,品種登録制度が植物を対象とするものであること
から,特性の評価方法等の研究が進展したとしても,栽培条件等により影響を
受ける不安定な部分が残ることなどからすると,栽培された品種について外観
等の特徴を数値化することには限界が残らざるを得ないものということができ
る。
このような,品種登録制度の保護対象が「品種」という植物体の集団である
こと,この植物の特性を数値化して評価することの方法的限界等を考慮するな
らば,品種登録簿の特性表に記載された品種の特性は,審査において確認され\nた登録品種の主要な特徴を相当程度表すものということができるものの,育成\n者権の範囲を直接的に定めるものということはできず,育成者権の効力が及ぶ
品種であるか否かを判定するためには,最終的には,植物体自体を比較して,
侵害が疑われる品種が,登録品種とその特性により明確に区別されないもので
あるかどうかを検討する(現物主義)必要があるというべきである。
◆判決本文