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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

コンピュータ関連発明

令和5(行ケ)10148  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 令和6年9月12日  知的財産高等裁判所

CS関連発明について、動機付け無しとした審決が維持されました。

上記アないしウによれば、甲2ないし甲4には、構成要件(D)の「前\n記注文情報における、前記団体情報を特定する情報に基づいて前記注文者 の団体を特定して、複数の前記注文情報の中から前記注文者の団体が同一 の前記注文情報を抽出」することや、「抽出された前記注文情報に基づいて、 同じ団体の注文からなる注文リストを、当該団体の担当者が閲覧できる形 式で出力する」ことについて記載されているということはできず、甲3に は、構成要件(E)の「前記注文リスト出力手段は、前記注文リストとし\nて、各注文について前記注文商品及び注文者を表示するリストを出力する」\nことも記載されていない。
そうすると、甲1発明に甲2ないし甲4に記載された事項を適用したと しても(原告の主張は、甲2ないし甲4に記載の事項をそれぞれ副引用例 として甲1発明に組み合わせるとするものなのか、それとも周知技術を記 載したものとするのかについて明確ではないが、いずれにしろ甲2ないし 甲4には構成要件(D)及び(E)に関する記載がなく、これを甲1に組\nみ合わせても本件発明1には至らないから、結論を左右しない。)本件発明 1に到達することはできないから、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(3) 甲1発明との組み合わせの動機付けについて
甲1には、前記2(1)のとおり、甲1のシステムを介して、販売側(販売店、 メーカー、物流会社、金融機関)が顧客から商品の注文を受注し、注文され た商品を顧客へ配達し、決済するという取引形態の説明がされ、それにより、 発注、受注、物流及び入金管理を一括処理して販売店の業務負担を軽減する という目的を達成することが記載されている。また、実施例についても、前 記2(2)のとおり、顧客(学校)からの注文の方法に応じた、販売店の業務管 理についての記載がある。このような甲1の記載内容によれば、甲1には、 販売側と顧客という二者間の関係についての記載しかなく、学校と学生のよ うな、顧客が帰属する組織内の属性(階層関係)については想定されておら ず、そのような属性に合わせた情報処理を行うことについては記載も示唆も されていない。また、仮に甲2や甲4にみられるような、複数の顧客を共通 する属性別にリスト化する処理が周知技術であったとしても、前記第2(1)の とおり、甲1発明の目的は、販売店の業務負担を軽減するところにあるから、 そのようなリスト化を行い、それを学校の担当者が閲覧できる形式で出力するようにするのは、甲1発明の上記目的とは相容れないから、そうした動機 付けはない。
また、甲1に記載された具体的な実施形態に即して検討すると、顧客(学 校)は、学校名、住所、商品名、商品番号、注文個数を入力した後、学生の 氏名、身長、胸囲、胴囲等を個別に入力する手順で注文を行うことから(図 3及び段落【0028】)、学生の個別注文情報は学校により既に集約されて おり、学校別に抽出された注文情報は既得のものである。そうすると、販売 店の業務負担軽減を目的とする甲1発明において、学校側が個別注文情報を 集約して注文することに代えて、販売側が学生から個別に注文を受けて集約 し、学校別に抽出された注文情報を学校の担当者に閲覧可能な形式で出力す\nるように変更することは、甲1発明の上記目的に反し、そのような動機付け はない。

◆判決本文

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