2006.08. 7
出願時の時点では審査請求期間の末日が10/10(体育の日)で休日であったが、その後の祝日に関する法律が第2月曜日になった場合に、審査請求期限の末日が手続きのできない日になるかが争われました。原告は、経過措置に7年の審査請求期限について「なお従前の例による」との規定を根拠に、当該10/10は、休日として取り扱うべきであると主張しましたが、裁判所はこれを認めませんでした。
「平成11年特許法改正法は,出願審査請求期間を出願から3年以内と改正し,同法附則1条4号においてその改正規定の施行期日を平成13年10月1日とするとともに,同法附則2条4項において,「前条第4号に掲げる規定の施行の際現に特許庁に係属している特許出願に係る出願審査の請求については,新特許法48条の3第1項の規定にかかわらず,なお従前の例による。」と規定しているが,同法附則2条4項は,同規定の施行の際現に係属中の出願の審査請求期間を7年としたに止まるものであり,それ以外の法律の適用関係を定めたものではないと解される。イ.そして,特許法3条2項は,手続についての期間の末日が行政機関の休日に当たるときは,その日の翌日をもってその期間の末日とする旨規定している。同条項は,期間の末日が行政機関が執務を行わない日である場合,期間が満了する日をその日ではなくその翌日としたものであり,当該期間の末日が行政機関の休日であるか否かは,当該日における法律によって判断すべきものと解される。ウ.平成10年祝日法改正法は,改正に当たっての経過措置を何ら定めていない。エ.平成15年10月10日当時,同日が行政機関の休日ではなかったことは,当事者間に争いがない。オ.したがって,本件国際特許出願の審査請求期間は,平成15年10月10日がその末日であり,前提事実(4)ウのとおり同月14日にされた本件審査請求は,出願審査請求期間の経過後にされたものである。よって,本件処分には,出願審査請求期間を徒過したとの判断につき,取消事由たる違法はない。」
◆平成17(行ウ)609 裁決取消等請求事件 平成18年08月04日 東京地方裁判所
2006.02. 7
特許庁職員の過失により特許権を目的とする質権を取得することができなかったことによる損害の額が争われました。最高裁は、請求理由無しとした原審破棄し、差し戻ししました。
「特許権の移転及び特許権を目的とする質権の設定は,特許庁に備える特許原簿に登録するものとされ(特許法27条1項1号,3号),かつ,相続その他の一般承継による特許権の移転を除き,登録しなければその効力を生じないものとされ(同法98条1項1号,3号),これらの登録は,原則として,登録権利者及び登録義務者の共同申請,登録義務者の単独申\請承諾書を添付した登録権利者の申請等に基づいて行われることとされている(特許登録令15条,18条,19条)。したがって,特許権者甲が,その債権者乙に対して甲の有する特許権を目的とする質権を設定する旨の契約を締結し,これと相前後して第三者丙に対して当該特許権を移転する旨の契約を締結した場合において,乙に対する質権設定登録の申\請が先に受け付けられ,その後丙に対する特許権移転登録の申請が受け付けられたときでも,丙に対する特許権移転登録が先にされれば,質権の効力が生ずる前に当該特許権が丙に移転されていたことになるから,もはや乙に対する質権設定登録をすることはできず,結局,当該質権の効力は生じないこととなる。このため,申\請による登録は,受付の順序に従ってしなければならないものとされており(同令37条1項),特許庁の担当職員がこの定めに反して受付の順序に従わず,後に受付のされた丙に対する特許権移転登録手続を先にしたために,先に受付のされた乙に対する質権設定登録をすることができなくなった場合には,乙は,特許庁の担当職員の過失により,本来有効に取得することのできた質権を取得することができなかったものであるから,これによって被った損害について,国家賠償を求めることができる。」
◆H18. 1.24 第三小法廷判決 平成17年(受)第541号 損害賠償請求事件
先願の出願公開がされる前に、後願(当該特許出願)について特許査定がなされ,その後に先願が出願公開がされた場合には、特許法29条の2の適用があるかどうかが争われました。知財高裁は、適用されると判断した審決を維持しました。
「法29条の2が設けられた主たる趣旨を考察すると,当該特許出願の日前の他の特許出願(先願)の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載された発明は,一部の例外を除きすべて出願公開によって公開されるものである(法64条等)から,後願である当該特許出願は,先願について出願公開がされなかった例外的な場合を除き,社会に対して何ら新しい技術を提供するものではないという点にあるものと解される。この趣旨に照らすと,上記のように解するのが相当である。後願である当該特許出願についての特許査定時期と先願の出願公開時期との先後関係がいかにあろうとも,すなわち,後願の特許査定後に先願の出願公開がされたとしても,後願である当該特許出願が社会に対して何ら新しい技術を提供するものではないことに変わりはないからである。」
◆H18. 1.25 知財高裁 平成17(行ケ)10437 特許権 行政訴訟事件