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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

審判手続

◆H17.10.11 知財高裁 平成17(行ケ)10069等 特許権 行政訴訟事件

 共同出願した発明が拒絶されたので拒絶査定不服審判を共同で請求したが、その審決取消訴訟は一方のみが提起した場合、これが有効か否かが1つの争点でした。他方は共同参加の申立をしていました。裁判所はかかる手続きで瑕疵は治癒されたと判断しました。
 「特許を受ける権利の共有者が,共同で拒絶査定不服の審判を請求し,請求が成り立たない旨の審決を受けた場合に提起する審決取消訴訟は,共同原告として訴えを提起する必要があるいわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である(実用新案権に関する最高裁平成7年3月7日第三小法廷判決・民集49巻3号944頁参照)。そうすると,共同出願人の一人である原告が単独で提起した本件審決取消訴訟は,不適法というべきである(タイプミスで・・を記入することを失念したとしても,訴状に同社名の記載がない以上,上記のように解さざるを得ない。)。しかし,その後平成16年8月9日に至り,他の共同出願人であった・・・共同訴訟参加の申出をしたことにより,本件訴えの上記瑕疵は治癒され,本件訴えは適法になったと解するのが相当である。もっとも,特許法178条3項によれば,審決取消訴訟の出訴期間は30日であり,審決謄本の送達を受けた平成16年4月13日より約4か月経過した平成16年8月9日になされた共同訴訟参加の申\出は,出訴期間経過後のものであるが,本件における上記一切の事情を考慮すると,出訴期間の遵守に欠けるところがないものと解するのが相当である。」   

◆H17.10.11 知財高裁 平成17(行ケ)10069等 特許権 行政訴訟事件

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◆H17.10. 6 知財高裁 平成17(行ケ)10366 特許権 行政訴訟事件

  進歩性判断結果については別として、その手続きについての裁判所の姿勢が興味深いです。
 この事件は特許庁で無効理由無しと判断された審決取消訴訟ですが、特許庁の無効でないとした判断を取消しました。特許庁は、相違点1については判断するまでもなく、相違点2について理由がないので無効請求を棄却しました。かかる判断自体は違法ではないが、同時係属の侵害事件が存在する本件では、相違点2についての判断だけでなく、相違点1についても検討するほうが好ましいと述べました。
  「 審決は,前記のとおり,本件発明と甲4発明との相違点1,2を認定した上,相違点2について当業者が容易に想到し得ないと判断して,相違点1については判断するまでもなく,本件発明に係る特許を無効とすることはできないと結論付けた。上記判断手法自体に何ら違法はない。しかし,甲9及び弁論の全趣旨によれば,原告と被告間には,本件特許権に関する侵害訴訟が大阪地方裁判所に係属中で相当程度進行していることが認められるところ,無効審判請求についての審理が特許庁と裁判所との間を過度に行き来するような運用をすることは好ましくないことはいうまでもないところである(問題は,相違点2についての審決の判断を是認し得ないとの結論に至った場合に生じる。この場合,通常,審決取消判決がされ,特許庁に差し戻される。そして,無効審判が再開されるが,本件では,審決で相違点1についての判断がされていないため,白紙の状態から判断される。そうすると,再度,裁判所と特許庁の間で行き来する可能性がある。そこで,本訴において相違点1についても判断するならば,仮に,相違点1については容易に想到し得ないとの結論に至った場合には,無効審判請求不成立とした審決を維持して(本件発明の進歩性を肯定したことは是認し得る。),上記のように特許庁に差し戻すことすら回避し得る余地もあり,仮に,相違点1についても容易に想到し得るとの結論に至った場合でも,その旨判示することで,再開後の審判で裁判所の判断をふまえた審理判断がされ,上記のような再度の行き来を回避し得る可能\性が高い。)。  そこで,当裁判所は,当事者双方に対し,本訴において,相違点1についての容易想到性の有無に関しても主張立証を尽くすとともに,他に争点があるのか否かを明らかにすること,さらに,裁判所も必要があれば,相違点1の容易想到性についての判断を示すことによって,特許庁と裁判所との間での無用な行き来が生じるおそれを防止することを提案した。  この提案に対して理解を示した原告及び被告は,審決の一致点及び相違点の認定については争いがなく,相違点1,2の容易想到性のみが争点であることを確認した。加えて,被告は,審決が認定した以外には相違点は存在しないとする陳述をした。そして,本訴において,原告及び被告は,相違点1,2の容易想到性について,主張立証を尽くす機会が与えられた。」

◆H17.10. 6 知財高裁 平成17(行ケ)10366 特許権 行政訴訟事件

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◆H17. 8. 3 知財高裁 平成17(行ケ)10259 特許権 行政訴訟事件

 訂正審判が審決却下されたので、これを不服とした特許権者が、取消を求めましたが、裁判所はかかる取消を認めませんでした。
 簡単な経緯です。本件原告(特許権者)異議申立で取り消された請求について、審決取消訴訟を提起しましたが裁判所はかかる請求を棄却しました。そこで、本件原告は、上訴するとともに、別途訂正審判を請求しました。訂正審判の実体審理前に、上告が棄却され、その請求項の特許取消処分は確定したので、訂正審判は対象がないとして審決却下されました。
 裁判所は「特許法126条5項ただし書が『ただし,特許が取消決定により取り消され,又第123条第1項の審判により無効にされた後は,この限りではない。』と規定しているのは,取消決定ないし無効審判が確定した場合は,もはや訂正審判を行う余地がないことをいう趣旨であり,取消決定や無効審決の確定時までに請求された訂正審判については審判が行われることをいう趣旨ではない(最高裁昭和59年4月24日判決・民集38巻6号653頁参照)。したがって,審決が126条5項を適用して,本件訂正審判請求を却下したことは,正当である。」と述べました。

   ◆H17. 8. 3 知財高裁 平成17(行ケ)10259 特許権 行政訴訟事件

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