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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

裁判手続

平成22(ワ)40331 特権侵害差止等請求事件 平成23年11月30日 東京地方裁判所 

 技術的範囲には属するものの、特許法104条の3により権利行使不能と判断されました。原告の訂正主張について、「審判請求していないという理由で主張の提出自体が許されないわけではない」と言及したものの、「その主張か時期に後れた防御である」として認められませんでした。
 原告は,無効理由4に係る被告の無効主張は時機に後れた攻撃防御方法であるから却下すべきと主張する。しかしながら,当該無効主張は,平成23年7月13日の第4回弁論準備手続において,同月12日付け被告準備書面(4)をもってなされたものであるところ,同時点では,いわゆる二段階審理における侵害論についての審理中であったから,当該無効主張についての審理がなければ直ちに弁論を終結できる段階になく,上記無効主張により訴訟の完結を遅延させることになるものとは認められない。原告は,無効審判請求の審理が終結した後に新たに無効主張を追加することは,侵害訴訟と審決取消訴訟におけるいわゆるダブルトラック問題を引き起こすと指摘するが,上記無効主張により訴訟の完結を遅延させることになるものと認められないことは上記のとおりであるから,原告の上記主張は採用することができない。
 3 訂正を理由とする対抗主張について
原告は,平成23年9月22日付け原告第6準備書面をもって,本件訂正発明には無効理由がなく,かつ,被告製品は本件訂正発明の技術的範囲に属すると主張し,これに対し,被告は,原告の上記主張は,時機に後れた攻撃防御方法であるから却下されるべきであると主張する。そこで検討するに,原告の上記対抗主張は,前記平成23年7月12日付け被告準備書面(4)をもってなされた無効理由2〜4に対するものであるところ,受命裁判官は第5回弁論準備手続期日(同年8月5日)において,原告に対し,上記無効理由についても審理するので,これに対する反論があれば次回までに提出するよう促し,反論の機会を与えたにもかかわらず,原告は,第6回弁論準備手続期日(同年9月9日)までに上記対抗主張をすることなく,同期日で弁論準備手続を終結することについても何ら異議を述べなかったものである。無効理由2及び3は,いずれも既出の証拠(乙2及び乙3)を主引用例とする無効主張であり,無効理由4も,平成14年5月20日付け特許異議申立てにおいて既に刊行物として引用されていた乙6に基づくものであるから,原告は,上記無効理由の主張があった第4回弁論準備手続期日から弁論準備手続を終結した第6回弁論準備手続期日までの間に対抗主張を提出することが可能\\であったと認められる(原告は,乙6に基づく無効理由4を回避するために訂正請求を行うことができるのは第2次無効審判請求の無効審判請求書副本の送達日である平成23年8月19日から答弁書提出期限である同年10月18日までの期間のみであると主張するが,本件訴訟において対抗主張を提出することはできたものというべきである。原告は,対抗主張が認められる要件として現に訂正審判の請求あるいは訂正請求を行ったことが必要とする見解が多数であるとも主張するが,訂正審判請求前又は訂正請求前であっても,訴訟において対抗主張の提出自体が許されないわけではなく,理由がない。)にもかかわらず,これを提出せず,弁論準備手続の終結後,最終の口頭弁論期日になって上記対抗主張に及ぶことは,少なくとも重大な過失により時機に後れて提出したものというほかなく,また,これにより訴訟の完結を遅延させるものであることも明らかである。

◆判決本文

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平成23(ネ)10004 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成23年11月30日 知的財産高等裁判所

 用語「車載」が争われたナビゲーション特許について、原告は、控訴審で、均等侵害を追加しました。文言侵害については、1審と同じく否定され、均等侵害についても、置換可能でないとして、否定されました。
 原告の上記予備的主張は,控訴審において新たに提出された攻撃方法であり,時機に後れたものと評価されるべきであるが,その点はさておいても,原告の予\備的主張は,以下のとおり失当である。すなわち,本件各特許発明における「車載ナビゲーション装置」における「車載」の意義は,前記のとおり,車両が利用されているか否かを問わず,車両に積載されて,常時その状態に置かれていることを意味する。このような状態に置かれていることにより,ユーザは,ナビゲーションの利用を欲したにもかかわらず,持ち込みを忘れるなどの事情によって,その利用の機会を得られないことを防止できる効果がある。これに対して,被告装置は,前記のとおり,端末等は携帯(保持)されているものであるから,ユーザは,端末等を車内に持ち込まない限り,車両用のナビゲーション装置としては利用することができない。したがって,本件各特許発明における構成要件「車載ナビゲーション装置」を被告装置の「送受信部を含んだ携帯端末」に置換することによって,本件各特許発明が「ナビゲーション装置が車載されたこと」としたことによる課題解決を実現することはなく,本件各特許発明において「車載ナビゲーション装置」としたことによる作用効果が得られず,結局,本件各特許発明の目的を達することができない。以上のとおりであり,被告装置におけるユーザにおいて保持する本件携帯端末が,本件特許発明1の構\成要件1−A及び1−F,本件特許発明2の構成要件2−A及び2−H所定の「車載ナビゲーション装置」と均等であるとする原告の主張は採用できない。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成21(ワ)35184平成22年12月06日東京地裁

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平成23(行ケ)10150 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成23年10月24日 知的財産高等裁判所

 第1次審取にて、公序良俗違反と認定され、差し戻された審決で同様の判断がなされ、それについて、実質的に理由で審決の取消を求めました。裁判所は拘束力により、原告の主張を退けました。
・・前述した前判決の認定判断に照らすと,前判決の拘束力は,被告の本件商標の出願は,ASUSTeK社若しくはASRock社が商標として使用することを選択し,やがて我が国においても出願されるであろうと認められる商標を,先回りして,不正な目的をもって剽窃的に出願したものであり,出願当時,引用商標及び標章「ASRock」が周知・著名であったか否かにかかわらず,本件商標は商標法4条1項7号にいう「公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標」に該当するとの認定判断について生ずるものというべきであるから,「被請求人の本件商標の出願は,ASUSTeK社若しくはASRock社が商標として使用することを選択し,やがて我が国においても出願されるであろうと認められる商標を,先回りして,不正な目的をもって剽窃的に出願したものと認められるから,・・・,出願当時,引用商標及び標章『ASRock』が周知・著名であったか否かにかかわらず,本件商標は『公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標』に該当するというべきである。」とした本件審決の認定判断は,上記前判決の拘束力に従ったものであることが明らかである。そうすると,本件訴訟において原告の主張する本件審決の取消事由は,前判決の拘束力に従った本件審決の上記認定判断が誤りであると主張することに帰着するものであるから,それ自体失当というべきである。

◆判決本文

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平成20(許)36 秘密保持命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 平成21年01月27日 最高裁判所第三小法廷

 かなり前の事件ですが、挙げておきます。仮処分事件にて秘密保持命令の申し立てを認めなかった原審を破棄自判しました。
 特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件は,仮処分命令の必要性 の有無という本案訴訟とは異なる争点が存するが,その他の点では本案訴訟と争点 を共通にするものであるから,当該営業秘密を保有する当事者について,上記のよ うな事態が生じ得ることは本案訴訟の場合と異なるところはなく,秘密保持命令の 制度がこれを容認していると解することはできない。そして,上記仮処分事件にお いて秘密保持命令の申立てをすることができると解しても,迅速な処理が求められ\nるなどの仮処分事件の性質に反するということもできない。 特許法においては,「訴訟」という文言が,本案訴訟のみならず,民事保全事件 を含むものとして用いられる場合もあり(同法54条2項,168条2項),上記 のような秘密保持命令の制度の趣旨に照らせば,特許権又は専用実施権の侵害差止 めを求める仮処分事件は,特許法105条の4第1項柱書き本文に規定する「特許 権又は専用実施権の侵害に係る訴訟」に該当し,上記仮処分事件においても,秘密 保持命令の申立てをすることが許されると解するのが相当である。\n

◆判決本文

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