H15.12.16 東京高裁 平成15(行ケ)199等 商標権 行政訴訟事件

平成15年(行ケ)第199号,第200号,第201号,第202号 審決取消請求事件
平成15年12月16日判決言渡,平成15年10月30日口頭弁論終結


     判    決
 原告(全事件)  上野衣料株式会社
 訴訟代理人弁護士 田倉整,伊藤昌毅,弁理士 田村公總,山内淳三
 被告(全事件)  ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ
 訴訟代理人弁護士 松尾眞,兼松由理子,鳥養雅夫,向宣明,上村真一郎,滝戸ゆき緒,三谷革司,弁理士 曾我道照,岡田稔


     主    文
 全事件につき,原告の請求を棄却する。
 訴訟費用は原告の負担とする。


     事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
(第199号事件)
 「特許庁が平成6年審判第2007号事件について平成15年4月23日にした審決を取り消す。」との判決。
(第200号事件)
 「特許庁が平成6年審判第2008号事件について平成15年4月23日にした審決を取り消す。」との判決。
(第201号事件)
 「特許庁が平成6年審判第2010号事件について平成15年4月23日にした審決を取り消す。」との判決。
(第202号事件)
 「特許庁が平成6年審判第2025号事件について平成15年4月23日にした審決を取り消す。」との判決。


第2 事案の概要
 本件は,商標法53条1項に基づいて商標登録を取り消した審決の取消訴訟(第2次取消訴訟)である。原告が商標権者であり,被告が審判請求人である。以下には,商標登録取消しが求められている商標を合わせて「本件各商標」と表記する。
 1 本件商標
(第199号事件)
 本件登録第1090129号商標は,次のとおり「Polo Club」の欧文字と「ポロクラブ」の片仮名文字を上下二段に書してなり,第17類「被服,布製身回品,寝具類」を指定商品として,昭和46年7月8日に登録出願,同49年9月19日に設定登録され,その後同59年10月19日及び平成6年12月21日に商標権の存続期間の更新登録がされている。
        本件登録第1090129号商標

       

(第200号事件)
 本件登録第1533085号商標は,次のとおり「ポロクラブ」の片仮名文字を書してなり,第17類「被服,布製身回品,寝具類」を指定商品として,昭和52年10月8日に登録出願,同57年8月27日に設定登録され,その後平成5年2月25日及び同14年5月28日に商標権の存続期間の更新登録がされている。

        本件登録第1533085号商標
             
(第201号事件)
 本件登録第1617024号商標は,次のとおり「Polo Club」の欧文字を書してなり,第17類「被服,布製身回品,寝具類」を指定商品として,昭和52年10月8日に登録出願,同58年9月29日に設定登録され,その後平成5年10月28日に商標権の存続期間の更新登録がされている。
        本件登録第1617024号商標

             
(第202号事件)
 本件登録第2608687号商標は,次のとおり「POLOCLUB」の欧文字と図形とを結合してなり,第17類「被服,布製身回品,寝具類」を指定商品として,昭和62年10月27日に登録出願,平成5年12月24日に設定登録されている。
        本件登録第2608687号商標

             

 2 使用商標及び引用商標
 (1) 本件各商標の専用使用権者「株式会社ポロクラブジャパン」(以下「ポロクラブジャパン」という。)が使用する商標(以下「使用商標」という。)は,次のとおりの構成よりなるものである。
           使用商標

             
 (2) 被告(審判請求人)が引用する登録第2691725号商標(以下「引用商標1」という。)は,次のとおりの構成よりなり,第17類「被服,その他本類に属する商品」を指定商品として,平成2年8月21日登録出願,同6年8月31日に設定登録されたものである。同じく,登録第2468427号商標(以下「引用商標2」という。)は,次のとおりの構成よりなり,第17類「被服,その他本類に属する商品」を指定商品として,昭和48年9月26日登録出願,平成4年10月30日に設定登録されたものである。

    引用商標1             
     
       引用商標2
     
 3 審判における被告(審判請求人)の主張(全事件共通)
 (1) 昭和63年当時,被告の引用各商標を付したポロシャツの模倣品について警視庁が不正競争防止法違反容疑で捜査を行った事実は,被告の引用各商標が不正競争防止法によって保護され,またそれが業界紙のみならず一般紙で大々的に報道されるほど著名であり,被告の引用各商標がその当時からその著名性を確立していたことがわかる。
 (2) 使用商標と引用各商標を比較するに,引用各商標は右手でクラブを振り上げたポロ競技中のプレーヤーの図形であり,使用商標の図形は,同一の事象を表現したものである。相違する点は,わずかに,馬の向きとクラブの位置のみである。
 また,原告(被請求人)は,上記事実から,専用使用権者の本件各商標の変更使用の事実及び被告の著名な引用各商標の存在を認識していることも明白である。

 (3) 昭和52年に西武百貨店がラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服の販売を本格的に開始し,それ以来,被告の図形商標,引用各商標は,各種被服について,文字商標「Polo」と併用されてきたが,デザイナーとしてのラルフ・ローレンの名声と被告の製品が高品質であることが相俟って,速やかに引用各商標は著名性を確立したものである。その著名性に便乗し,消費者による被告の引用各商標との混同を意図して,登録済みの文字商標「Polo Club」に引用各商標が組み合わされて不正使用されてきたものである。
 (4) よって,本件各商標の登録は,商標法53条1項により,取り消されるべきである。


 4 審判の経緯
 (1) 第1次審決
 被告は,平成6年2月1日,商標法53条1項に基づき本件各商標の登録取消しの審判請求をし,登録第1090129号商標につき平成6年審判第2007号,登録第1533085号商標につき平成6年審判第2008号,登録第1617024号商標につき平成6年審判第2010号,登録第2608687号商標につき平成6年審判第2025号の各審判事件として審理され,平成9年12月5日,いずれの審判事件についても,審判請求は成り立たないとの審決(第1次審決)があった。
 (2) 第1次判決
 第1次審決に対しては,被告から取消しを求める訴えの提起があり,上記登録商標の順に東京高裁平成10年(行ケ)第108号,第111号,第112号,第113号の各審決取消請求事件として審理された結果,平成11年12月21日,いずれも第1次審決を取り消すとの判決(第1次判決)があり,最高裁の平成13年11月13日付け上告不受理決定により確定した。

 (3) 本件審決
 第1次判決に基づき上記各審判事件の審理が再開されて審理された結果,平成15年4月23日,各審判事件につき,本件各商標の商標登録を取り消すとの審決(第2次審決)があり,その謄本は同年5月6日原告に送達された。以下において単に審決というときには,第2次審決を指す。


 5 審決の理由の要点(全事件共通)
 (1) 審判甲各号証及び審判乙各号証並びに第1次判決によれば,以下の事実が認められる。
 (1)−1 使用商標の使用状況
 (a)ポロクラブジャパンは,遅くとも平成元年ころから平成9年12月5日の審決時までの間,洋服類に使用商標を使用していたことが認められる。
 (b)ポロクラブジャパンは,平成元年から平成5年6月ころにかけて,百数十回以上にわたり使用商標を使用して新聞,雑誌等に「洋服類」について広告したことが認められ,該広告には,使用商標の使用者が被告と関係のない者であることが一切示されておらず,平成元年ないし同3年ころの販売については,多くの場合使用商標が用いられていることが認められる。
 (1)−2 本件各商標と使用商標との関係について
 本件各商標は,前記のとおりであるから,該構成文字に相応して,「ポロクラブ」の称呼をも生ずるものである。他方,使用商標は,前記のとおり,「Polo」と「Club」の間に,馬に乗った一人の競技者がマレットを振り上げてポロをしているように見える図柄(以下「使用図柄」という。)よりなるものであるところ,該文字部分が他の構成部分より独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものと認められるから,該構成文字に相応して,「ポロクラブ」の称呼をも生ずるものというのが相当である。

 そして,これに接する取引者,需要者は,「Polo」と「Club」の各文字の全体に相応して生ずる「ポロクラブ」の称呼及び「Club」が広く同好の士の集まりを意味することから「ポロ競技の集まり」の観念をもって取引に当たる場合を否定し得ないから,この点において,本件各商標と使用商標とは前記称呼,観念において類似のものというべきであり,かつ,その使用に係る商品「洋服類」は本件各商標の指定商品中に含まれるものである。
 そうすると,使用商標は本件各商標に類似する商標であって,その指定商品又はこれに類似する商品について使用されたものといわなければならない。
 また,使用商標の使用図柄は,中央に顕著に表示され,本件各商標の構成とバランスを欠いていて,使用商標の文字部分は自ずと「Polo」と「Club」に分離して看取されるものといえるから,使用商標に接する取引者,需要者は,構成中顕著に表示された「Polo」の文字部分に着目し,これより生ずる「ポロ」の称呼をもって取引に当たる場合も少なからずあるとみるのが取引の実情に照らし相当である。

 そうすると,使用商標は「ポロ」の称呼を生ずる点において,本件各商標とは別個の識別機能を併せ持つものであるから,この点において本件各商標の構成・態様を変更するものといわなければならない。
 (2) 商標法53条1項本文について
 引用各商標の著名性については,被告の業務に係る服飾関係の商品を表すものとして「ポロマーク」「ポロ」と称呼され,遅くとも昭和63年ころまでには,著名となっていたことが認められる。また,平成元年以降も継続して著名であったものと認められる。
 使用商標の使用図柄は,引用各商標の図形とは,人馬の向き,ポロプレーヤーの姿勢,マレットの角度等においてわずかな差異は認められるものの,マレットを振り上げたポロプレーヤーを疾走する馬とともに正面側やや斜め方向から描いたものである点において基本的な構成を共通にしているので,時と所を異にして観察する場合には酷似し,類似する商標である。

 また,使用商標は使用図柄によって分けられ「Polo」と「Club」に分離して観察され,「Polo」の文字部分は,被告が服飾関係の商品に使用して著名な「Polo」の文字と同一の綴り字よりなるものである。
 そして,引用各商標が付された被告の業務に係る服飾関係の商品と使用商標が付された洋服類とは,類似する商品である。
 したがって,ポロクラブジャパンが使用商標を本件各商標の指定商品である「洋服類」に使用していることは,使用商標の構成中に被告が服飾関係の商品に使用し著名な商標「Polo」と同一の文字「Polo」及び使用図柄を他の構成部分から独立して商品の出所識別機能を果たす態様で有するものであるから,該使用商標を使用した「洋服類」に接するときは,取引者,需要者において,同商品が被告の業務に係る「服飾関係の商品」又は被告と経済的若しくは組織的に関連を有する者の業務に係る「服飾関係の商品」と混同を生じさせるおそれがある使用をしたといわざるを得ないから,商標法53条1項本文に該当するものといわなければならない。

 (3) 商標法53条1項ただし書きについて
 (ア)原告(商標権者)が,同法53条1項ただし書きに規定する「その事実を知らなかった場合」に該当するか否かについて検討する。
 引用各商標が,遅くとも昭和63年ころまでには被告の業務に係る「服飾関係の商品」を表すものとして著名となっていたこと及びその引用各商標が「ポロマーク」「ポロ」と称呼されていたことは上述したとおりであり,原告は,ポロクラブジャパンが使用商標を使用する当初から,少なくとも洋服類の商品を取り扱う業務をしていたのであるから,これらの事実を十分知り得ていたものと推認される。
 また,原告は,ポロクラブジャパンが原告の100%子会社であり,かつ,原告の商標管理会社であること及び自己の創出選定した使用商標を使用させていたことを主張しており,これに反する事実は認められないことからすれば,ポロクラブジャパンと原告とは実質的に一体といって差し支えなく,ポロクラブジャパンが使用商標の使用をしている状況を十分知っていたものと推認される。

 そして,ポロクラブジャパンが指定商品「洋服類」について本件各商標に類似する使用商標を使用し,被告の業務に係る商品「服飾関係の商品」と混同を生ずるものをしたことは,上述したとおりである。
 そうすると,原告は,ポロクラブジャパンが指定商品について本件各商標に類似する使用商標を使用し,被告の業務に係る商品「服飾関係の商品」と混同を生ずるものをした事実について知っていたというのが相当である。
 (イ)原告が,同法53条1項ただし書きに規定する「相当の注意」を払っていたか否かについて検討する。
 同項ただし書きに規定する「相当の注意」とは,同項本文に該当する出所の混同を生じるおそれのある状況の下において,商標権者は,使用権者による登録商標の使用が実質的に他人の業務に係る商品と商品の出所について混同を生じるおそれのないよう管理し,監督していなければならなかったものと解される。

 原告は,平成元年ころ,ポロクラブジャパンに使用商標の使用許諾をしているものであるところ,その当時既に引用各商標が「ポロマーク」「ポロ」の称呼で著名となっていたことを知っていたと推認されるにもかかわらず,使用商標を原告自身により創出選定し使用させていたこと,及びポロクラブジャパンが本件各商標に係る商品に使用するに際して,専用使用権者と被告とが何らの関係もないということが需要者に認識できるような表示等を行うなど,商品の出所の混同を生じさせないような混同防止のための具体的措置を行っていた事実を認定するに足りる証拠がないこと等を総合勘案すると,ポロクラブジャパンが使用商標を本件各商標に係る商品に使用するに際して被告の業務に係る商品と商品の出所について混同を生じるおそれのないよう,登録商標の使用許諾者として相当の注意をしていたとはいえないものである。
 (ウ)したがって,本件事案については,商標法53条1項ただし書きに規定する「その事実を知らなかった場合」に該当せず,「相当の注意をしていた」ともいえないものであるから,前記規定の適用の余地はない。
 (4) 審決のむすび
 以上のとおり,本件各商標の登録は,ポロクラブジャパンが,商標法53条1項本文に規定する出所の混同を生じるものを行っていたものであって,原告が,同項ただし書きに規定するその事実を知らなかった場合において,相当の注意をしていたということはできないから,同法53条1項の規定により,取り消すべきものである。


第3 原告主張の審決取消事由
 1 取消事由1(使用商標の称呼認定の誤り)
 使用商標は,その結合商標としての構成から「ポロクラブ」の称呼を生じるのが一般であること,使用商標の使用開始当時,「ポロクラブ」と称呼される「Polo Club」商標が既に周知性ないし著名性を確立していたこと,使用商標はその使用開始から間もなくそれ自体周知性・著名性を確立して今日に至っていることから,使用商標に接する取引者・需要者は常に使用商標を「ポロクラブ」と認識し称呼してきた。したがって,使用商標には「ポロ」の称呼を生じるとした審決の認定は誤りである。


 2 取消事由2(引用商標認定の誤り)
 審決は,被告が「Polo」なる商標を使用し,これが昭和63年当時に著名であったとすることを前提に,使用商標との対比をし,使用商標について混同可能性があると認定判断している。
 しかし,被告が「Polo」なる商標を使用した事実はないはずであるし,「Polo」なる商標が使用の結果著名商標となっているような事実もないから,審決の前提とした事実認定は誤りである。


 3 取消事由3(混同可能性認定判断の誤り)
 審決は,使用商標を「Polo Club」の文字部分とポロゲーム競技者の図形部分とに分解し,「Polo Club」の文字部分を「Polo」と「Club」に分解し,これらが他の部分,すなわち「Club」とは独立して,被告の商標「Polo」と図形とを取り込んだ形で出所識別機能を果たすものであるから,狭義の混同可能性又は広義の混同可能性があるとする。
 しかし,使用商標はまとまりよく一体の構成のものであること,昭和46年から使用している「Polo Club」商標は遅くとも昭和63年当時に「ポロクラブ」ブランドとしてその周知性(ないし著名性)を獲得しており,使用商標はこの周知性(ないし著名性)を有する「Polo Club」に典型的・標準的な図形を一体的に付加したものであること,使用商標は平成3,4年ころにはそれ自体著名性を確立し我が国を代表する著名ブランドの地位を確立していることに照らせば,使用商標の混同可能性判断に際して,これを分解した上,その構成部分を引用各商標と対比することは許されない。


 4 取消事由4(商標法53条1項の解釈適用の誤り)
 審決は,「ポロクラブジャパンが使用商標を本件各商標の指定商品である「洋服類」に使用していることは・・・商標法53条1項本文に該当する」と判断する。
 しかし,審決はその「(4)商標法53条1項ただし書きについて」(判決注:前記審決の理由の要点では(3)の項目に該当)の(ア)において「ポロクラブジャパンが原告の100%子会社であり,かつ,原告の商標管理会社であること及び自己の創出選定した使用商標を使用させていた」とし,(イ)において「使用商標を原告自身により創出選定し使用させていた」と認定しているから,商標法53条1項の「専用使用権者が・・・指定商品・・・についての登録商標又はこれに類似する商標の使用であって・・・他人の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたとき」という法定の要件を充足しないことが明らかである。


 5 取消事由5(論理過程の不備及び商標法53条1項ただし書き解釈の誤り)
 (1) 第1次判決は,商標法53条1項ただし書きについて,「商標法53条ただし書きは,「当該商標権者がその事実を知らなかった場合において,相当の注意をしていたときは,この限りではない。」と規定しており,これは,商標権者が,専用使用権者ないし通常使用権者の登録商標に類似する商標の使用が「混同を生ずるもの」ではないと判断しており,かつ,相当の注意を払っても,それが「混同を生ずるもの」であると判断することができなかった場合を含むものと解すべきである」と判示し,次いで「したがって,審判においては,被告が,前記審判官のように何らかの根拠に基づいて,使用商標の使用が「混同を生ずるもの」ではないと現に判断していたか否か,そのように判断していたとして,相当の注意を払っても,なお,「混同を生ずるもの」と判断することができなかったのかという点についても,改めて検討・判断すべきものである」と判示した。以下の原告の主張において,「使用商標の使用が「混同を生ずるもの」ではないと現に判断していたか否か」を「審理事項1」とし,「相当の注意を払っても,なお,「混同を生ずるもの」と判断することができなかったのか」を「審理事項2」という。

 (2) 審決の認定判断
 これに対して審決は,「(4)商標法53条1項ただし書きについて」(判決注:前記審決の理由の要点では(3)の項目に該当)の(ア)において,「原告は,ポロクラブジャパンが指定商品について本件各商標に類似する使用商標を使用し,被告の業務に係る商品「服飾関係の商品」と混同を生ずるものをした事実について知っていたというのが相当である。」と認定し,次いで(イ)において,「ポロクラブジャパンが使用商標を本件各商標に係る商品に使用するに際して被告の業務に係る商品と商品の出所について混同を生ずるおそれのないよう,登録商標の使用許諾者として相当の注意をしていたとはいえないものである。」と認定し,(エ)(判決注:前記審決の理由の要点では(ウ)の項として表示した箇所)において「本件事案については,商標法53条1項ただし書きに規定する「その事実を知らなかった場合」に該当せず,「相当の注意をしていた」ともいえないものであるから,前記規定の適用の余地はない。」と判断する。

 (3) 第1次判決が審判に求めたのは,審理事項1として,使用商標の使用について原告が混同可能性を否定する「判断」を行っていたか,審理事項2として,その場合相当の注意を払っても混同可能性の「判断ができなかったのか」の2つの事項である。そうすると,審決はこれらの事項について審理をすることなく,独自の立場で形式的な審理と認定を行ったにすぎない。
 商標法53条1項は,商標権者が専用使用権者又は通常使用権者と別人格であることを前提に,商標権者による使用権者の許諾商標使用の監督義務を課した規定であり,使用権者の使用した商標は,使用権者が勝手に許諾商標を改変する等した不正使用の商標を対象としている。
 これに対し,本件では,ポロクラブジャパンが原告の100%子会社であり,かつ,原告の商標管理会社であること及び自己(原告)の創出選定した使用商標を使用させており,使用商標を原告自身により創出選定し使用させていたことから,商標権者と専用使用権者の実体は同一人格であり,また,使用商標は原告自身の創出選定に係り,専用使用権者や通常使用権者は原告の指示に従って許諾商標に何らの改変も加えずにそのまま使用商標を正当に使用していただけであり,使用権者に監督すべきような主体的な不正使用行為がそもそも存在しない。

 第1次判決は,このような事情を考慮して,商標法53条1項ただし書きの解釈を判示し,審判に審理事項1及び2を示してその審理を求めた。商標法53条1項を適用すると,行為主体が実質的に同一人であり,使用権者に不正使用行為が存在していない本件には,上記ただし書き適用の余地がそれ自体ないからである。
 審決はこの第1次判決の判示事項を無視し,そこには論理不備がある。商標法53条1項を適用するのであれば,少なくともそのただし書きには第1次判決の判示の解釈が採用されるべきであり,この点,審決は第1次判決の拘束力を無視し,該ただし書きの解釈を誤った違法がある。


 6 取消事由6(混同可能性についての原告の認識判断の誤認)
 (1) 審決には,平成元年ないし平成6年ころの本件各商標と引用各商標との関係についての原告の認識判断を誤認した違法がある。
 (2) 審決は,引用各商標が著名であったこと,原告はポロクラブジャパンの使用商標使用事実を知悉していたことを認定し,使用商標の引用各商標との混同可能性は上述のとおりであるとすることを挙げて,原告は混同可能性を「知っていたというのが相当である」とする。本件審判請求は平成6年であるが,審決は原告が「知っていた」とするのを,使用商標使用開始の平成元年なのか,その後なのかについて,その時期を示さない。
 原告は,平成11年12月21日の第1次判決まで,使用商標の使用が商標法53条1項に該当すると認定判断されるようなことを夢想だにしなかった。使用商標は我が国最先の原告「Polo Club」商標をベースにした結合商標であること,「Polo Club」商標について永年の使用実績があること,使用商標はこの「Polo Club」に上記ポロゲーム競技の典型的・標準的な図形をバランスよく一体的に配置したものであること,使用商標の販売は百貨店,スーパー,専門店等の量販店であり,使用商標のフリーライドブランドと競合することがあるとしても,およそ百貨店の専用ブースの販売を行う被告商品とは競合したり,商品の混同等を生じる可能性が皆無であったこと,西武百貨店から被告の「Polo Club」使用に対して謝罪のあったこと,使用商標が他社の商標に類似したりする可能性もなかったこと,使用商標は周知ないし著名なオリジナルブランドであり,平成10年には日本有名商標集に掲載され,特許庁からも著名商標として電子図書館の掲載同意を求められるに至ったこと,特許庁審査において「Polo Club」を原告商標として著名であるとする審査実務もあったこと,本件登録第2608687号商標((行ケ)第202号事件の本件商標)の登録がされ,また,ポロゲーム競技の典型的・標準的な姿態図形の商標も,登録第4113053号として登録された(甲第64号証。出願は平成3年10月17日,登録は平成10年2月13日。原告はこの図形商標の使用予定はないので,登録事実を確認した上,これを放棄した。),さらに,使用商標も登録第4062676号として商標登録されたこと,本件各審判請求について,特許庁も第1次審決において請求不成立の判断をしたことなどをみても,使用商標の混同可能性を否定する材料ばかりである。したがって,本件審判請求を受けた以後も含めて,原告が引用各商標を含めて使用商標に何らかの問題があるとの認識判断をしたことはない。
 (3) 審決は,引用各商標が著名であったこと,原告はポロクラブジャパンの使用商標使用の事実を知悉していたこと,並びに審決が混同可能性を認定したことを挙げて,原告が「知っていた」と推認するが,誤りである。

 そもそも審決の分離観察による混同可能性の認定に根拠のないことは上述のとおりである。引用各商標が知られているとしてみても,使用商標がこれに類似する事実もない。同一店舗における販売といった事実もない。原告がポロクラブジャパンの使用商標の使用を知悉しているのは当然であるとしても,この事実と原告が混同可能性を知っていたかどうかは別のことであり,該事実をもって原告が混同可能性を認識判断していたとすることはできない。
 (4) 使用商標の使用開始は平成元年である。商標法の出所混同理論は,最高裁平成12年7月11日判決(民集54巻6号1848頁,レール・デュ・タン事件)が認めたように,この15年間,特に平成11年以降に大きく変化したのが現実である。現在の判断基準を適用して,原告の平成元年当時ないしその後の認識判断を推認するのは,それ自体根拠を欠き,合理性を欠くものである。


 7 取消事由7(商標法53条1項ただし書きの「相当の注意」の解釈の誤り)
 審決がいう「使用権者による登録商標の使用」なるものは,本件において存在していない。審決が認定するように「ポロクラブジャパンが原告の100%子会社であり,かつ,原告の商標管理会社であること及び自己の創出選定した使用商標を使用させていた」,「使用商標を原告自身により創出選定し使用させていた」のであるから,使用権者が使用したのは原告が「創出選定した使用商標」そのものである。したがって,使用権者による使用商標の使用に不正使用といった問題はないから,使用権者の「使用が実質的に他人の業務に係る商品と商品の混同を生じるおそれのないように管理し,監督していなければならなかったものと解される」といっても,使用権者の何をどのように管理・監督するのか,その対象商標がそれ自体存在していないことになる。

 管理監督すべき使用権者による主体的改変の商標もないのに,これが存在することを前提にしたただし書き解釈を行い,原告について相当の注意を論じるのは,原告とポロクラブジャパンを一体とし,使用商標の創出選定を原告が行ったとする審決認定と矛盾する。

 8 取消事由8(原告の「相当の注意」の誤認)
 (1) 使用商標の選定
 使用商標の選定及び使用開始は平成元年である。判例は,大審院時代から,狭義の混同と商標相互の類似をもって混同要件とし,裁判所の訴訟実務,特許庁の商標行政がこれを前提としていたころのことである。広義の混同が最高裁判決で示されたのは平成12年7月であり,特許庁の商標審査基準改定は平成11年7月,第1次判決は平成11年12月21日であり,これらより10年以上前の選定及び使用開始である。
 原告が周知ないし著名性を獲得していた「Polo Club」商標の出願は,被告の進出より5,6年早く,これがポロゲーム競技についての商標の草分けであったこと,「ポロ」はポロシャツのことを意味するように使用されており,最高裁平成13年7月6日判決(判例時報1762号130頁,判例タイムズ1071号148頁)における福田裁判官補足意見の指摘のように,殊更に創造商標といったものではなく,その識別力が弱いものと認識されており,ポロゲーム競技を示す意味であることが辞書にも掲載されていたこと,本件登録第1090129号商標の後願として,「POLO」と図形(やはりポロゲーム競技にモチーフを求めた図形)の結合商標が公冠販売株式会社から昭和47年4月22日に出願され,平成元年当時既に登録第1447449号として登録され,同じく「POLO」の文字商標が同社から昭和47年6月30日に出願され,平成元年当時既に登録第1434359号として登録されていたこと,引用商標2の「RALPHLAUREN」と図形との結合商標は公告段階であったが,引用商標1の図形商標は平成元年当時には出願もされていなかったこと(引用商標1の出願は,使用商標の使用開始数年後の平成4年10月2日である。),上述のように昭和53年に西武百貨店から被告商品の「Polo Club」使用について謝罪があったこと等の事情を考慮し,上記「Polo Club」商標が周知ないし著名であることをベースに「Polo Club」商標の意味(観念)の内容を端的に示すようにポロ競技者をモチーフとしたその典型的・標準的な姿態を示す図形を文字間中央のスペース部分にバランスよく一体的に配置した結合商標としたものである。
 そして「著名な登録商標の使用されている商品とこれに類似する商標の指定商品とが,一般に同一店舗において取引されるものであることを商品混同のおそれの有無の判断基準としている」混同理論から,まず問題とすべきは,使用商標が引用各商標に類似するかどうかであるが,使用商標は「Polo Club」とポロゲーム競技の図形をバランスよく一体化した結合商標であるのに対して,引用商標1は図形のみによる図形商標であり,引用商標2は「RALPHLAUREN」と該図形の結合商標であるから,外観,称呼,観念のいずれも相違し,相互に相紛れる可能性はなく,したがって,使用商標は引用各商標に類似するものではない。

 (2) 使用商標の使用開始当時の正当性
 審決や第1次判決のように,使用商標の図形部分(使用図柄)が引用各商標の図形とその基本構成を共通にするから,離隔観察する場合に類似することを理由として,商標同士の類否から離れて混同可能性があるとするような判断は,平成元年当時になし得るものではない。
 次いで,同一店舗の販売競合があるかどうかであるが,上述のとおり被告商品の販売は百貨店の専用ブースによる被告製品のみを陳列した店舗でなされるのに対して,使用商標の商品は百貨店,スーパー,専門店の,他のブランド商品と一緒に陳列される一般商品売場でなされるから,およそ使用商標と引用各商標とが同一店舗で競合することもない。
 そうすると,平成元年当時,審決ないし第1次判決にいうような結合商標の図形が類似するから混同可能性があるとする,現在の混同理論及び商標の一部の共通性を理由とするような判断をすることは,一般に到底なし得ることではなかった。

 (3) 昭和年代における「Polo Club」商標の周知ないし著名性との関係
 「Polo Club」商標は,昭和46年から原告がその商品に使用した結果,昭和40年台,昭和50年台,いかに遅くとも昭和60年台初めには,周知性ないし著名性を確立するとともに,その後のライセンシーによるポロシャツ,Tシャツ,トレーナー,ネクタイ,帽子,カジュアルバッグ等の商品への使用と相俟って遅くとも昭和63年ころにはその揺るぎない周知性(ないし著名性)を確立しており,使用商標は,この「Polo Club」商標の周知性ないし著名性をベースにして,これに上記図形を付加することによって原告によって創出選定されて,その使用が開始された。したがって,平成元年当時,使用商標に接する取引者・一般需要者は,周知ないし著名の「Polo Club」商標をそのまま含むことから,「ポロクラブ」と称呼される「Polo Club」商標を想起し,その周知性(著名性)に基づいて,直ちにこれを「Polo Club」商標ないしそのブランド展開の商標であると認識するというべきであり,およそ図形に着目して図形部分によって,これが出所を表示したものと認識したり,他の商標を想起したりすることはない。

 使用商標は,平成3,4年ころにはそれ自体周知ないし著名性を確立するとともに,その後我が国を代表する著名ブランドに成長し,平成11年ころには使用商標の知名率は,被告の調査によっても95%程度に達し,被告商標(引用商標2)の知名率98%程度と拮抗したものとなり,被告以外の調査によれば,平成10年ころに使用商標の知名率は被告商標を凌ぐものとなっている。
 すなわち,昭和46年の原告による「Polo Club」商標の使用は昭和年代に周知性を獲得し,平成元年の使用商標の創出選定を経て,著名ブランドとして確固たる地位を占めるものとなったわけであり,平成元年の「Polo Club」商標の周知性をベースとする使用商標の使用開始は,我が国の代表的ブランドへの成長の過程であり,「Polo Club」商標が我が国に存在していることを前提とする被告商標の進出との自由な市場におけるブランド競い合いの過程でもあった。

 そして,周知・著名商標の混同可能性を否定するのが判例の立場であったことが明らかであるから,原告が「Polo Club」の周知性とそのグッドウイルに基づいて,該「Polo Club」にその観念に添うようにポロゲーム競技の典型的・標準的図形を付加して使用商標を創出選定し,100%子会社にして実質的に原告と同視されるポロクラブジャパンがこれを使用することは,これら判例からみても,混同可能性があるといった判断をなし得ることでもない。
 平成元年当時,「Polo Club」商標が周知ないし著名であった事実に照らすと,「Polo Club」商標がそのまま使用されていること,上記図形がその商標の観念に合致したものであること,図形が中央のスペースにバランスよくかつ一体性を備えた形態に配置されていることから,取引者・需要者は直ちに「Polo Club」商標を想起するし,使用商標を,文字商標の「Polo Club」商標に図形が付加された同一商標であると認識することになり,使用商標から,見慣れた「Polo Club」商標を捨象したりすることはあり得ないし,平成元年当時,審決ないし第1次判決にいうような結合商標の図形が類似するから混同可能性があるとするような判断は,一般に到底なし得ることではなかった。

 したがって,平成元年当時に「Polo Club」商標の有する周知性(著名性)をベースにした使用商標の創出選定及び使用開始について,混同可能性があるといった判断をすることは無理であり,同様に原告として混同可能性否定判断を行っていたことについて「相当の注意を払っても,なお,「混同を生ずるもの」と判断することができなかった」ものである。
 (4) その後の使用商標使用の正当性
 使用商標は,その後,ポロクラブジャパン及びそのライセンシー13社の使用と継続的な宣伝広告活動によって,少なくとも平成3,4年ころに周知性を獲得し,更にその後に極めて高度な著名性を獲得し,使用商標を付した商品の売上累計は2000億円を超えるとともに,老若男女を含めて国民のほとんどが知る程度の知名率を持つブランドに成長した。

 「Polo Club」商標とともに使用商標それ自体がグッドウイルと強力な顧客吸引力を確立するに至った。同じく周知・著名商標の混同可能性を否定するのが判例の立場であったことから,原告が「Polo Club」の周知性をベースにした使用商標をポロクラブジャパン及びライセンシーが継続して使用することについて,審決ないし第1次判決にいうような結合商標の図形が類似するから混同可能性があるとするような判断を一般になし得るものではない。
 したがって,平成元年以降の使用商標の使用について,混同可能性があるといった判断をすることは無理であり,原告として混同可能性否定判断を行っていたことについて「相当の注意を払っても,なお,「混同を生ずるもの」と判断することができなかった」ものである。


第4 審決取消事由に対する被告の反論
 取消事由1〜3は,第1次判決の拘束力に反するものである。その余の取消事由に関する審決の認定判断に誤りはない。


第5 当裁判所の判断
 1 取消事由1〜4について
 第1次判決は,いずれも,「本件商標の専用使用権者であるポロクラブジャパンは,平成元年ころ,平成元年より後平成5年2月1日ないし同年6月1日ころまでの間,及び同年6月1日より後審決時までの間の各時点において,使用商標を使用することにより,原告等(本訴の被告ないしその関連企業)の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたものというべきである」と認定判断した。第1次判決は,この認定判断を理由に,「本件商標の専用使用権者が使用商標を使用することにより請求人(被告)の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたとは判断することができない」との判断に基づき被告の本件審判請求をいずれも成り立たないものとした第1次審決を取り消しており,第1次判決の上記認定判断は,行政事件訴訟法33条1項の拘束力を有する。

 原告主張の審決取消事由1〜3は,第1次判決の上記認定判断の前提となる事実に関する主張であり,上記拘束力に反するものとして理由がない。
 取消事由4は,商標法53条1項本文所定の要件の充足を認めた審決の認定判断の誤りを主張するものである。しかしながら,第1次判決の上記認定判断は,本件各商標の専用使用権者が商標法53条1項本文に該当する商標の使用をしたというものであって,第1次判決の拘束力は,商標法53条1項本文の要件の充足すべてにわたって生じているから,取消事由4も理由がない。
 2 その余の取消事由について
 本件商標の専用使用権者であるポロクラブジャパンが原告の100%子会社であることは,原告も認めるところである。拘束力が生じる第1次判決の上記認定判断からすると,特段の事情が認められない限り,ポロクラブジャパンの100%親会社である原告が,上記認定事実中のポロクラブジャパンのした商品混同惹起行為を知らなかったと認めることはできないところ,上記特段の事情についてはさしたる主張立証がない。のみならず,原告の自ら主張するところによれば,原告が使用商標を創出選定し,実質的に原告と同視されるポロクラブジャパンに使用させていたというのであるから,ポロクラブジャパンのした商品混同惹起行為を原告が知らなかったものとは到底認めることができない。

 よって,「原告は,ポロクラブジャパンが指定商品について本件各商標に類似する使用商標を使用し,被告の業務に係る商品「服飾関係の商品」と混同を生ずるものをした事実について知っていたというのが相当である。」との審決の認定判断に誤りはない。
 原告は,特許庁の審査実務,あるいは最高裁の判例や下級審の裁判例の変遷等からすると,原告ないしポロクラブジャパンが上記当時において使用商標の使用による混同惹起の可能性を判断するのは到底無理であったなどと主張する。しかし,商標法53条1項ただし書きにいう「当該商標権者がその事実を知らなかった場合」か「知っていた場合」かは,当該商標権者に裁判所や法律家によるような正確な法律判断を求めることによって決せられるものではなく,当該商標権者が有していた事実の認識を前提にして,裁判所によりその判断時点における解釈適用がされるべきものである。これと異なる上記主張に基づく原告の主張は失当である。そして,第1次判決が認定した上記事実関係は,原告の主張によってうかがわれる原告の衣料品業者としての営業規模,実績からすれば,原告も当然認識していたものと容易に推認されるところである。

 そうすると,原告については,商標法53条1項ただし書きが適用されるために必要な「当該商標権者がその事実を知らなかった場合」との要件を充足しないから,原告において,同条項ただし書き所定の「相当の注意」をしていたか否かを判断するまでもなく,本件各商標につき,商標法53条に基づく登録取消事由が存するものとした審決の認定判断に誤りはない。したがって,取消事由5〜8も理由がない。

第6 結論
 以上のとおり,原告主張の審決取消事由は理由がないので,原告の請求は棄却されるべきである。

  東京高等裁判所第18民事部

      裁判長裁判官      塚  原  朋  一


         裁判官      塩  月  秀  平


                 裁判官      古  城  春  実