空港名 | 被告の主張 | 原告の主張 | 当裁判所の判断 |
サンディ エゴ国際空港 ・ 乙28の 1 ・ 2 | 建物の切り取り方,建物構造の簡略化の仕方,ショップ等の情報の取捨選択に優れている。 カウンターの表記を各航空会社別にしている点で独創性がある。 進路を矢印で表記し,建物内部を色分けするという独自の工夫がある。 詳細な注記コメントが記載されている点でも独自性がある。 2つあるターミナルのうち,東ターミナルの1階部分,西ターミナルの1,2階部分を図面化している点で一致している。全体のデザイン・イメージがほとんど同じである。 電話,バス・タクシーの表示場所,ホテル案内,レンタカー,本屋,バー等細かい情報の取捨選択がほとんど同じであり,手荷物受取所のターンテーブルの形状が同じである。 矢印の記載位置,建物の色分け区分,壁面の囲いの凹凸,道路部分のカーブが極めて類似している。 | 被告は,建物の切り取り方に創作性があると主張するが,旅行者が必要な建物の構造部分には取捨選択の余地はなく創作性があるとはいえない。簡略化の仕方にも創作性はない。掲載情報についても,トイレ,カフェ,レストラン,本屋等ごくありふれた情報であり,この点においても創作性はない。 被告は,カウンターを各航空会社別に記載している点を主張するが,対応する本件空港案内図では,各航空会社毎の記載はしていない。 なお,被告は,詳細な注記コメントが記載されている点を指摘するが,対応する本件空港案内図ではコメントの記載はない。 本件空港案内図には,OFC空港案内図にはない東ターミナル1階出発到着ゲート部分が丸く図面化されており,西ターミナルの2階出発部分がゲートの先まで記載されている点でもOFC空港案内図と異なっている。 しかも,本件空港案内図は,OFC空港案内図に比べて著しく簡略化されており,各フロア毎の建物内の仕切は原告の判断で不要と思われる部分を全て除外してシンプルになっている。 進路の矢印化や建物の色分けもいずれも旅行者向け空港案内図という性質に付随する範囲内のものである。なお,矢印の位置,チェックインカウンター内部の形状等の表記は完全に一致しているわけではない。 むしろ,本件空港案内図には,工事中施設情報がなく,チェックインカウンターが各航空会社別になっていない点,イスの所在が表記されていない点,施設情報の選択の点で対応するOFC空港案内図と異なっており,選択した施設情報の表記方法においてもトイレ,バー,ショップ,レストラン等の表記方法においても異なる。 | @ターミナル部分をどのように区分して図にするかについては,選択の余地があるが,サンディエゴ国際空港については,全体図が明らかでなく,OFC空港案内図のように東ターミナル1階部分,西ターミナル1階部分,西ターミナル2階部分の3つに区分して図面化することに創作性が認められるか否か明らかでない。仮に,建物構造が複雑で,どのように区分して図面化するかに創作性を認める余地があるとしても,チューリッヒ・クローテン空港と同様,この点に関する創作性は限定的な範囲においてのみ認め得る。Aフロア内施設又はフロア部分の色分けをどのようにするか,Bいかなる施設を掲載するか,C(OFC空港案内図が矢印を色分けしているかどうかは証拠上不明であるが,仮に色分けしているとしても。以下同じ。)利用客の順路を出発客,到着客毎に色分けして表示している点,D上記@ないしCを総合した結果としての見やすさの点において創作性を認めることができるから,著作物に当たる。ただし,本文に記載したとおり,これらの点についての創作性は限定された範囲においてのみ認め得る。 上記両空港案内図は,フロア及びフロア内施設の具体的な表現方法という点で,手荷物受取所の表記が,長細い楕円形か,円に近い図形か,楕円形が左側に傾いている,楕円及び円の個数の点で共通点を有しているが,同空港の手荷物受取所がそのような構造であるとすれば,一致することは当然であるところ,同空港の客観的な構造は明らかでない。 上記空港案内図は,掲載情報の選択という点で,電話,バス・タクシーの表示場所,ホテル案内,レンタカー,本屋,バー等が掲載されているという共点で共通するが,これらの掲載情報は,空港案内図において一般的に掲載される情報であるといえる。OFC空港案内図には,本件空港案内図にはないチェックインカウンター内の各航空会社毎に区別,イス,工事中の施設が記載されている点で相違している。これに加えて,本件空港案内図の方が,施設の名称を表示する文字が大きく,フロア部分の枠線に比して太字で濃いことも相俟って,見やすさや与える印象に差異を生じている。 上記両空港案内図は,出発客の順路と到着客の順路を色分けしている点で共通するが,この手法は,本文記載のとおり,よく用いられる手法であるから,この点をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とはいえない。 そうすると,上記両空港案内図は,共通している部分については,空港案内図を作成する際によく用いられる一般的な手法であって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とは言い難く,むしろ,施設名称の具体的表記方法や全体の配色等によって,異なる印象を与えるものであるから,本件空港案内図が,OFC空港案内図の創作的表現における本質的特徴を感得し得る程度に類似しているということはできない。 |
サンフランシスコ国際空港 ・ 乙29の1 ・ 2 | 本文に掲載された主張に加えて,同空港の案内図においては,特に,ターミナル内のどの部分を切り取って表記するかの判断が重要であり,その点も含めてデフォルメしてデザインした点にOFC空港案内図の創作性がある。 広大な空港建物のうち,図面化した部分が一致している。 壁面の囲いの凹凸が一致している。 掲載情報の取捨選択が全く同じである。両空港案内図には第2次審査所,保険,新聞スタンドの情報が掲載されているが,本件空港案内図のような小さな案内図においてこのような詳細な情報を掲載しているのは不自然である。 矢印の位置や曲り方が全く一致している。 | 本文に掲載された主張のとおり,OFC空港案内図に創作性はない。 被告は,ターミナル内のどの部分を切り取って表記するかの判断が重要であり,その点も含めてデフォルメしてデザインした点にOFC空港案内図の創作性があると主張するが,セントラルターミナルの形状が両案内図のとおりなのであるから,セントラルターミナルのうち旅行者が異動する場所を切り取って通常の方法で表記すれば共通になるのは当然であって創作性はない。 被告が主張する類似点は,いずれも旅行者向け空港案内図という性質に付随する範囲内のものにすぎない。 本件空港案内図は,OFC案内図に比べて,一般旅行者の便宜のために空港建物施設の配置・形状をより簡略化して記載している。また,矢印の記載位置が完全に一致しているわけではない。 むしろ,本件空港案内図には,OFC空港案内図には記載されていない情報(例えば1階到着ロビーの両替所,カフェ,2階出発ロビーのシャトルバスの具体名「サムトランス乗場」等)も記載されている点で異なる。 | @ターミナル部分をどのように区分して図にするか(建物構造が比較的複雑なことから,どのように区分して図面化するかは選択の余地があるものの,OFC空港案内図においては,国内線ターミナルと国際線ターミナルのうち,日本人旅行客の利用が多いと考えられる国際線ターミナル部分を1階部分,2階部分に区分したにすぎず,この点に関する創作性は限定された範囲でのみ認め得る。),Aフロア内施設又はフロア部分の色分けをどのようにするか,Bいかなる施設を掲載するか,C利用客の順路を出発客,到着客毎に色分けして表示している点,D上記@ないしCを総合した結果としての見やすさの点において創作性を認めることができるから,著作物に当たる。ただし,本文に記載したとおり,これらの点についての創作性は限定された範囲でのみ認め得る。 上記両空港案内図は,フロア及びフロア内施設の具体的な表現方法において,概ね共通しているが,OFC空港案内図は,1階部分の到着ロビー内や2階部分の出発ロビー内,チェックインカウンターの裏側のトイレ近辺の各所に存在する壁を表記しているのに対し,本件空港案内図は係る詳細な記載をしていないという相違点がある。 上記空港案内図は,掲載情報の選択という点で,国内線手荷物受取所,入国審査,税関,到着ロビー,両替,国内線チェックインカウンター,免税店,セキュリティチェック,ショップ,レストラン,インフォメーション,出発ロビー,電話,トイレ,保険,新聞スタンド等掲載されているという共通点を有する。これらの掲載情報のうち,保険及び新聞スタンドについては,一般的に空港案内図に記載される情報とはいえないが,上記掲載情報をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とは言い難い。これ以外の上記掲載情報は,空港案内図において一般的に掲載される情報であるといえる。OFC空港案内図には,本件空港案内図にはないレンタカーの情報が掲載されている。また,上記各情報の表記方法についても,アイコンを用いるか,文字で表記するか等で異なっている。これに加えて,本件空港案内図の方が,施設の名称を表示する文字が大きく,フロア部分の枠線に比して太字で濃いことも相俟って,見やすさや与える印象に差異を生じている。 上記両空港案内図は,出発客の順路と到着客の順路を色分けしている点で共通するが,この手法は,本文記載のとおり,よく用いられる手法であるから,この点をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とはいえない。 そうすると,上記両空港案内図は,共通している部分については,空港案内図を作成する際によく用いられる一般的な手法がほとんどであり,必ずしも一般的とはいえない保険,新聞スタンドの情報も掲載されているものの,OFC空港案内図の創作的部分における特徴とは言い難く,むしろ,施設名称の具体的表記方法や全体の配色等によって,異なる印象を与えるものであるから,本件空港案内図が,OFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 |
N Y ジ ョ ン ・ F ・ ケネディ国際空港 ・ 乙31の1 ・ 2 | 本文に掲載された主張に加え,矢印が建物の左側にしか記載されていない点が特徴的である。これは,日本人旅行客がよく使う,日本航空,全日空が左側のターミナルに到着するためにこのように記載したものである。 どの建物をどこまで掲載するかの判断,その建物全体の形状及び内部の仕切方が同一である。 手荷物受取所のターンテーブルは,OFCがデフォルメしてデザイン化したものであるのに,形が一致している。 掲載情報は,各ゲートの番号を記載する点を含めてほぼ同一であり,「ニューススタンド」,「到着案内ボード」の表記まで一致している。 矢印の位置及び個数が一致している。 | 本文に掲載された主張のとおり,OFC空港案内図に創作性はない。 被告は,矢印が左側にしかない点をもって創作性があると主張するが,日本人旅行客向けの案内図である以上,日本人が頻繁に通行する部分に→を記載するのは当然であり,この点に創作性はない。JALが平成15年8月19日現在インターネットに掲載しているターミナル4の案内図においても,左側のみに矢印が表記されている(甲16)。 本件空港案内図は,OFC空港案内図より簡略化されており,建物全体の形状及び内部仕切方が同一であるとはいえない。各航空会社のラウンジの間仕切りは同一であるが,事実を記載したものであって,創作性はない。 手荷物受取所のターンテーブルは,実際の形状を略図化したにすぎず,OFCにおよるデフォルメではない。 各ゲートの番号について,OFC空港案内図には9ないし12,16ないし29,32ないし35が一つずつ記載されているが,本件空港案内図では,16ないし22,23ないし29をまとめて表記しているだけで,その他のゲートは表記していない。その他の掲載情報も異なっている。 | @ターミナル部分をどのように区分して図にするか(建物構造が比較的複雑なことから,どのように区分して図面化するかは選択の余地があるものの,OFC空港案内図においては,国内線ターミナルと国際線ターミナルのうち,日本人旅行客の利用が多いと考えられる国際線ターミナル部分を1階部分,2階部分に区分したにすぎず,この点に関する創作性は限定された範囲でのみ認め得る。),Aフロア内施設又はフロア部分の色分けをどのようにするか,Bいかなる施設を掲載するか,C利用客の順路を出発客,到着客毎に色分けして表示している点,D上記@ないしCを総合した結果としての見やすさの点において創作性を認めることができるから,著作物に当たる。ただし,本文に記載したとおり,これらの点についての創作性は限定された範囲でのみ認め得る。 両空港案内図は,フロア及びフロア内施設の具体的な表現方法において,概ね共通しているが,本件空港案内図は,1階部分の建物の外枠をより簡略化しており,建物内の施設間の間仕切りの仕方や手荷物受取所の施設の形状も細部で異なっている。2階部分も,建物内の施設間の間仕切りの仕方が細部で異なっている。 上記空港案内図は,掲載情報の選択について,手荷物受取所,入国審査,税関,セキュリティチェック,レストラン,インフォメーション,ショップ,ニューススタンド,到着案内ボード,ゲート,各航空会社ラウンジ,ホテル・観光・交通案内,両替所等が掲載されているという共通点を有する。これらの掲載情報のうち,到着案内ボード及び新聞スタンドについては,一般的に空港案内図に記載される情報とはいえないが,上記掲載情報をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とは言い難い。これ以外の上記掲載情報は,空港案内図において一般的に掲載される情報であるといえる。OFC空港案内図には,本件空港案内図にはない接続手荷物預カウンター,マンハッタン行きバス乗場,教会,歯科,バー,保険の情報が掲載されている。 また,上記各情報の表記方法についても,アイコンを用いるか,文字で表記するか,「各航空会社ラウンジ」と表示して各航空会社の名称を記載しない方法と,各航空会社のイニシャルのみを羅列する方法等で異なっている。これに加えて,本件空港案内図の方が,施設の名称を表示する文字が大きく,フロア部分の枠線に比して太字で濃いことも相俟って,見やすさや与える印象に差異を生じている。 上記両空港案内図は,出発客の順路と到着客の順路を色分けしている点で共通するが,この手法は,本文記載のとおり,よく用いられる手法であるから,この点をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とはいえない。 そうすると,上記両空港案内図は,共通している部分については,空港案内図を作成する際によく用いられる一般的な手法がほとんどであり,必ずしも一般的とはいえない到着案内ボード,新聞スタンドの情報も掲載されているものの,OFC空港案内図の創作的部分における特徴とは言い難く,むしろ,施設名称の具体的表記方法や全体の配色等によって,異なる印象を与えるものであるから,本件空港案内図が,OFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 |
ロサンゼルス国際空港 ・ 乙33の1 ・ 2 | 巨大な空港内部をどのように切り取り,どこまで表記するか,どのようにデザインするかが重要であるところ,OFC空港案内図では,搭乗ゲートまで動く歩道を利用すること,到着の場合も2階の動く歩道を通ってエスカレータで1階に降りることがわかりやすく記載されている点に特徴がある。 本件空港案内図は,わかりにくい印象を受ける。OFC空港案内図とほぼ同じ図面を90℃回転させていることにその理由がある。 本件空港案内図の1階部分は掲載情報が少なく,税関事務所,トランジット手荷物預所という特殊なものを含め,掲載したものはOFCの表記と共通している。 2階部分は,X線検査という情報も含めて掲載情報が共通している。 | 本文に掲載された主張のとおり,OFC空港案内図に創作性はない。 被告は,動く歩道が記載されている点を指摘するが,かかる記載をしたことで,「わかりやすく記載」されているということはできない。 本件空港案内図には,OFC空港案内図には記載されていない,LAXシャトルバス乗場,レンタカー会社送迎シャトル乗場,シャトル・ヴァン・エアポートバス乗場などの具体的表記がなされている。 →の位置,施設の配置・形状の略図法も異なる。選択した施設情報の表記方法も異なる。 | @ターミナル部分をどのように区分して図にするか(建物構造が比較的複雑なことから,どのように区分して図面化するかは選択の余地があるものの,OFC空港案内図においては,国内線ターミナルと国際線ターミナルのうち,日本人旅行客の利用が多いと考えられる国際線ターミナル到着部分(1階及び2階の一部)出発部分(2階部分)に区分したにすぎず,この点に関する創作性は限定された範囲でのみ認め得る。),Aフロア内施設又はフロア部分の色分けをどのようにするか,Bいかなる施設を掲載するか,C利用客の順路を出発客,到着客毎に色分けして表示している点,D上記@ないしCを総合した結果としての見やすさの点において創作性を認めることができるから,著作物に当たる。ただし,本文に記載したとおり,これらの点についての創作性は限定された範囲でのみ認め得る。 本件空港案内図とOFC空港案内図は,国内線ターミナルと国際線ターミナルのうち,日本人旅行客の利用が多いと考えられる国際線ターミナル部分を図面化した点で共通するが,かかる手法がOFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。むしろ,両空港案内図は,図面化するについて,到着部分,出発部分で区分するか(OFC空港案内図),1階部分,2階部分で区分するか(本件空港案内図),南コンコースゲートを記載するか否かで異なっている。 両空港案内図は,フロア及びフロア内施設の具体的な表現方法において,概ね共通しているが,OFC空港案内図は,建物内の施設間の間 仕切りの仕方(例えば接続案内カウンター,2階出発ロビー内)が異なっている。 上記空港案内図は,掲載情報の選択という点で,手荷受取所,国内線手荷物受取所,トランジット手荷物預所,入国審査,税関,チェックインカウンター,インフォメーション,免税店,両替所,バー,トイレ等が掲載されているという共点で共通する。これらの掲載情報は,空港案内図において一般的に掲載される情報であるといえる。むしろ,OFC空港案内図には,本件空港案内図にはない2階出発部分南コンコースゲートと反対側のセキュリティーチェック,2階バス乗場,接続案内所の情報が掲載されている。逆に,本件空港案内図には,OFC空港案内図にはないLAXシャトルバス乗場が掲載されている。 また,上記各情報の表記方法についても,アイコンを用いるか,文字で表記するか,同一の施設の名称についてもどのように表記するか等で異なっている。これに加えて,本件空港案内図の方が,施設の名称を表示する文字が大きく,フロア部分の枠線に比して太字で濃いことも相俟って,見やすさや与える印象に差異を生じているといえる。 上記両空港案内図は,出発客の順路と到着客の順路を色分けしている点で共通するが,この手法は,本文記載のとおり,よく用いられる手法であるから,この点をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とはいえない。 そうすると,上記両空港案内図は,共通している部分については,空港案内図を作成する際によく用いられる一般的な手法がほとんどであり,OFC空港案内図の創作的部分における特徴とは言い難く,むしろ,施設名称の具体的表記方法や全体の配色等によって,異なる印象を与えるものであるから,本件空港案内図が,OFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 |
ト ロン ト国際空港 ・ 乙34の1 ・ 2 | 原告ないしK&BがOFC空港案内図を模倣しているのは,OFC空港案内図に創作性があるからであり,この点からもOFC空港案内図に創作性があることがわかる。また,世界中のさまざまな空港を統一的な表現で作成していることも創作性判断の重要なポイントである。 ターミナルの選択,建物部分の切り取り方,建物内部の間仕切り形状,掲載情報の詳細さなどほとんどすべての要素で極めて類似している。 掲載情報としても,カート置場,案内板,到着案内ボード,ゲート番号等,必ずしも一般的でない情報が掲載されている点でも一致する。 ただし,図面の精度,精巧さにおいて,OFC空港案内図の方が優れていることもわかる。 | 被告は,当該空港に係るOFC空港案内図の創作性について一切主張することなく,概括的な主張しかしない。 被告の主張は,創作性の主張とはいえない。 また,共通で掲載されている情報についても,アイコンで表示するか文字で表示するか等,その表示方法が異なっている。 | @ターミナル部分をどのように区分して図にするか(建物構造が比較的複雑なことから,どのように区分して図面化するかは選択の余地があるものの,OFC空港案内図においては,国内線ターミナルと国際線ターミナルのうち,日本人旅行客の利用が多いと考えられる国際線ターミナル部分を1階部分,2階部分に区分したにすぎず,この点に関する創作性は限定された範囲でのみ認め得る。),Aフロア内施設又はフロア部分の色分けをどのようにするか,Bいかなる施設を掲載するか,C利用客の順路を出発客,到着客毎に色分けして表示している点,D上記@ないしCを総合した結果としての見やすさの点において創作性を認めることができるから,著作物に当たる。ただし,本文に記載したとおり,これらの点についての創作性は限定された範囲でのみ認め得る。 本件空港案内図とOFC空港案内図は,国内線ターミナルと国際線ターミナルのうち,日本人旅行客の利用が多いと考えられる国際線ターミナル部分を1階部分,2階部分に区分した点で共通するが,かかる手法がOFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 上記両空港案内図は,フロア及びフロア内施設の具体的な表現方法において,概ね共通している。 上記空港案内図は,掲載情報の選択について,カフェテリア,チェックインカウンター,セキュリティチェック,レストラン,ショップ,バー,両替所,ゲート,案内板,税関,トイレ,エレベーター,バス乗場,タクシー乗場,航空会社オフィス,レンタカー,手荷物受取所,1階部分の公衆電話等が掲載されているという共通点を有する。これらの掲載情報のうち,到着案内ボードは必ずしも一般的な掲載情報とはいえないが,その他の掲載情報は,空港案内図において一般的に掲載される情報であるといえる。OFC空港案内図には,本件空港案内図にはない2階部分の公衆電話が掲載されている。逆に,本件空港案内図には,OFC空港案内図にはないショップの具体名(ハロッズ)が掲載されている。 また,上記各情報の表記方法についても,アイコンを用いるか,文字で表記するか等で異なっている。これに加えて,本件空港案内図の方が,施設の名称を表示する文字が大きく,フロア部分の枠線に比して太字で濃いことも相俟って,見やすさや与える印象に差異を生じている。 上記両空港案内図は,出発客の順路と到着客の順路を色分けしている点で共通するが,この手法は,本文記載のとおり,よく用いられる手法であるから,この点をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とはいえない。 そうすると,上記両空港案内図は,共通している部分については,空港案内図を作成する際によく用いられる一般的な手法がほとんどであり,OFC空港案内図の創作的部分における特徴とは言い難く,むしろ,施設名称の具体的表記方法や全体の配色等によって,異なる印象を与えるものであるから,必ずしも一般的とはいえない。到着ボードの情報が掲載されている点で共通していたとしても,本件空港案内図が,OFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 |
ガトウィ ッ ク国際空港 ・ 乙36の1 ・ 2 | 本文に掲載された主張と同様である。原告ないしK&Bは,OFC空港案内図が創作的で優れているからこそ真似したいと考えたものと思われる。 南ターミナルについて,3階部分を切り取っている点で共通する。建物内部の仕切,掲載情報についても,国鉄乗場へ等の細かい表記を含めてほぼ同じである。 北ターミナルについては,3階,2階,1階を図面化している点で共通であり,階がかわるごとに建物形状が変わるという特徴の表現もほぼ同一である。 掲載情報については,北ターミナルの3階部分について,OFC空港案内図は,本件空港案内図より精度が優れている。本件空港案内図にのみ掲載されている情報はない。2階部分について,到着口から入国審査までの建物内部通路の形状が細部まで同じである。1階部分について,本件空港案内図は,OFC空港案内図と異なり,関係者以外立入禁止部分の記載がないが,その余の記載は類似している。特に,到着ロビーの仕切部の角が丸みを帯びているところまで一致している。 | 本文に掲載された主張のとおり,OFC空港案内図に創作性はない。 掲載情報についても,本件空港案内図には,OFC空港案内図にはない,北ターミナル1階のインフォメーション,北ターミナル2階の南ターミナル行モノレール乗場等の情報が掲載されている。 矢印の位置も異なる。 | @ターミナル部分をどのように区分して図にするかについて,創作性を認める余地があるが,OFC空港案内図は,ターミナル部分を1階,2階,3階に区分し,南ターミナルについては,日本人利用者に関係する3階部分のみを図面化するものであって,この点に創作性は認められない。Aフロア内施設又はフロア部分の色分けをどのようにするか,Bいかなる施設を掲載するか,C利用客の順路を出発客,到着客毎に色分けして表示している点,D上記@ないしCを総合した結果としての見やすさの点において創作性を認めることができるから,著作物に当たる。ただし,本文に記載したとおり,これらの点についての創作性は限定された範囲でのみ認め得る。 本件空港案内図とOFC空港案内図は,南ターミナルのうち3階部分と北ターミナルの各階部分をそれぞれ図面化している点で共通するが(ただし,北ターミナル1階部分については,本件空港案内図は,OFC空港案内図より狭い範囲のみを図面化しているという相違点がある。),前記のとおり,かかる区分の仕方に創作性は認められないのであって,このような共通点をもってOFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 フロア及びフロア内施設の表現においては,どの区分を表現するかという選択は概ね共通しているが,具体的表現方法においては,南ターミナル部分の出発ロビーの形状,レストランとバーとの間の仕切枠の有無,税関施設の形状,チェックインカウンターの形状,国鉄バス乗場につながる通路入り口部分の形状が異なっており,北ターミナル3階部分のゲート入り口部分の形状,出国審査部分の形状,旅行代理店カウンターの形状等が異なっており,同ターミナル2階部分は,出発ゲート部分の形状,到着通路入り口部分の形状,ショッピングモール部分の各種間仕切り,モノレール乗場へつながる部分の形状,掲載範囲が異なり,同ターミナル1階部分については,税関施設の形状,到着ロビー内施設の具体的表現方法が相違している。 掲載情報の選択については免税店,出発ロビー,レストラン,手荷物受取所,税関,エスカレーター,レンタカー,手荷物預所,両替所,チェックインカウンター,航空会社カウンター,国鉄乗場通路入り口,バス予約,出国審査,セキュリティチェック,レストラン,入国審査,ショッピングモール,カフェ,トイレ,遺失物取扱所,ホテル予約が掲載されているという点で共通する。これらの掲載情報は,空港案内図において一般的に掲載される情報であるといえる。逆に,OFC空港案内図には,本件空港案内図にはないサテライトゲート入り口,出発案内板,本屋,到着便案内,南ターミナルの遺失物取扱所,公衆電話(以上南ターミナル部分),バー,公衆電話,旅行代理店カウンター,チェックインカウンター同士の間にあるセキュリティーチェック(以上北ターミナル3階部分),バー,ショップ,ゲームセンター,国鉄,キオスク,公衆電話(以上同ターミナル2階部分),両替所,ショップ,バス券売場(以上同ターミナル1階部分)等が掲載されている点で異なり,本件空港案内図には,OFC空港案内図にない,北ターミナル1階のインフォメーション施設が掲載されている点で異なっている。 また,上記各情報の表記方法についても,アイコンを用いるか,文字で表記するか等で異なっている。 これに加えて,本件空港案内図の方が,施設の名称を表示する文字が大きく,フロア部分の枠線に比して太字で濃いことも相俟って,見やすさや与える印象に差異を生じている。 上記両空港案内図は,出発客の順路と到着客の順路を記載する点で共通するが,この手法は,本文記載のとおり,よく用いられる手法であるから,この点をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とはいえない上,OFC空港案内図は,施設内の随所にかかる矢印が記載されているのに対し,本件空港案内図は,掲載されているフロア部分から出入りするポイントにのみ矢印を記載している点で異なっている。 そうすると,上記両空港案内図は,共通している部分については,空港案内図を作成する際によく用いられる一般的な手法がほとんどであり,OFC空港案内図の創作的部分における特徴とは言い難く,むしろ,施設名称の具体的表記方法や全体の配色等によって,異なる印象を与えるものであるから,本件空港案内図が,OFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 |
チュ|リ ッ ヒ ・ クロ|テン空港 乙8の1 ・ 2 | OFC空港に関する他の空港案内図と異なり,医務室,キオスクの所在場所を掲載している。 デフォルメ化してデザイン化する点に作成者の個性・思想・創作性が反映されている。 建物の切り取り方,構造,寸法が同一である。医務室,キオスクの所在場所が掲載されている点で一致している。矢印の位置及び曲げる位置が一致している。 | OFC空港案内図は簡略図ではあるが,デフォルメ化してデザイン化されているとはいえない。 | 本判決第4,2(1)に記載したとおりである。 |
ジュネ|ブ ・ コアン ト ラン空港 ・乙37の1 ・ 2 | 本文に掲載された主張と同様である。原告ないしK&Bは,OFC空港案内図が創作的で優れており,完成度が高いからこそ,矢印の位置まで真似したいと考えたものと思われる。 ターミナル中の切り取り部分,3階建ての建物内部構造が凹凸まで詳細に一致している。 図面の並べ方は,本件空港案内図は,3階出発,2階チェックイン,1階到着の順に並べている点でOFC空港案内図と異なるが,旅行者の利便性からすれば,到着部分を先に記載する方が望ましい。 1階部分について,建物の形状や内部の仕切方が同一である。掲載情報についても2階のチェックイン・ロビーへ,ミート・ポイント等細かな掲載情報の取捨選択も同一である。 矢印の位置も一致している。 2階部分については,建物内部のパーテーション,細かい曲がり角が一致している。掲載情報はフレンチセクターラウンジ,エールフランスカウンター等の細かい情報が一致しており,表記の仕方も「2階 チェックイン/フレンチセクター」という表記が同じである。 3階部分については,建物の凹凸や,「免税申告所」という掲載情報の表記方法が同一である。 | 本文に掲載された主張のとおり,OFC空港案内図に創作性はない。 2階部分については,本件空港案内図は,OFC空港案内図と異なり,到着口,搭乗ゲートの番号,10番/18番バス停留所等の情報が明示されている。 3階部分について,本件空港案内図は,OFC空港案内図と異なり,ゲート51ないし59,インフォメーション施設の情報を掲載している。また,免税申告所下部の郵便,両替施設の並び順を逆に表示している。 矢印の位置,数も異なる。 | @ターミナル部分をどのように区分して図にするか(建物構造が比較的複雑なことから,どのように区分して図面化するかは選択の余地があるものの,OFC空港案内図においては,国内線ターミナルと国際線ターミナルのうち,日本人旅行客の利用が多いと考えられるターミナル部分のうち国際線部分とフレンチセクター部分を選択して,1階,2階,3階に区分したにすぎず,この点に関する創作性は限定された範囲でのみ認め得る。),Aフロア内施設又はフロア部分の色分けをどのようにするか,Bいかなる施設を掲載するか,C利用客の順路を出発客,到着客毎に色分けして表示している点,D上記@ないしCを総合した結果としての見やすさの点において創作性を認めることができるから,著作物に当たる。ただし,本文に記載したとおり,これらの点についての創作性は限定された範囲でのみ認め得る。 本件空港案内図とOFC空港案内図は,国内線ターミナルと国際線ターミナルのうち,日本人旅行客の利用が多いと考えられるターミナル部分のうち国際線部分とフレンチセクター部分を選択して,1階,2階,3階に区分した点で共通するが,かかる手法がOFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 上記両空港案内図は,フロア及びフロア内施設の具体的な表現方法において,概ね共通している。 掲載情報の選択について,入国審査,手荷物受取所,遺失物取扱所,税関,ミーティング・ポイント,カフェ,トイレ,インフォメーション,レンタカー,ショップ,バー,両替,(1階部分),フレンチセクターラウンジ,チェックインカウンター,エールフランスカウンター,空港会社カウンター,エスカレーター,バス停,フランス入国審査(2階部分),免税店,ゲート通路,警察,免税申告所,出国審査,ショップ,等が掲載されているという共点で共通する。これらの掲載情報は,空港案内図において一般的に掲載される情報である。OFC空港案内図には,本件空港案内図にはない入国審査場付近の遺失物取扱所,ホテル予約,ロビー中央部付近のレンタカー(以上1階部分),ロビー左側部分の航空カウンター,エスカレーター右側のチェックインカウンター,チケッティングカウンター,警察(以上2階部分),美容院(3階部分)が掲載されている点で異なり,本件空港案内図には,OFC空港案内図にない1階部分の空港案内所,2階部分の税関,3階部分のインフォメーション等が記載されている点で異なる。 また,上記各情報の表記方法についても,アイコンを用いるか,文字で表記するか等で異なっている。これに加えて,本件空港案内図の方が,施設の名称を表示する文字が大きく,フロア部分の枠線に比して太字で濃いことも相俟って,見やすさや与える印象に差異を生じている。 上記両空港案内図は,出発客の順路と到着客の順路を矢印で示す点で共通するが,この手法は,本文記載のとおり,よく用いられる手法であるから,この点をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とはいえない。 そうすると,上記両空港案内図は,共通している部分については,空港案内図を作成する際によく用いられる一般的な手法がほとんどであり,OFC空港案内図の創作的部分における特徴とは言い難く,むしろ,施設名称の具体的表記方法や全体の配色等によって,異なる印象を与えるものであるから,本件空港案内図が,OFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 |
マド リ ッ ド ・ バラハス国際空港 ・ 乙9の1 ・ 2 | 本文に記載した特徴を備えている。 建物部分の切り取り方,建物の特殊な形状の表記,内部のパーテーションについて表示が一致している。掲載情報の詳細さに違いがあるが,レンフェ(スペイン国鉄)営業所等特殊な記載が一致している。 | 本文に記載したとおり,著作物性を有しない。 | 本判決第4,2(1)に記載したとおり |
バルセロナ ・ プラ ッ ト国際空港 ・ 乙10の1 ・ 2 | 本文に記載した特徴を備えている。 建物部分の切り取り方,ギザギザになった部分等建物の特殊な形状の表記が一致している。掲載情報の詳細さに違いがあるが,国内線,国際線の分け目に線を引いた点が一致している。 | 本文に記載したとおり,著作物性を有しない。 本件空港案内図は,OFC空港案内図に比べて空港建物施設の配置・形状をより簡略化して記載している点で一致しない。掲載情報の選択及び表記も異なっている。例えば,OFC空港案内図には掲載されていないATM,レンフェ乗場への連絡,観光情報,空港情報の別(いずれも1階部分)が表記されている。 | 本判決第4,2(1)に記載したとおり |
フラ ンクフルト国際空港 ・ 乙39の1 ・ 2 | 本文に掲載された主張と同様である。原告ないしK&Bは,OFC空港案内図が創作的で優れており,完成度が高いからこそ,真似したいと考えたものと思われる。 同空港は,空港建物が複数存在し,かつ多層階にわたる複雑な建物であるにもかかわらず,OFC空港案内図と本件空港案内図は,建物の切り取り方,特殊な形状,寸法が全く同一である。ターミナル中央部分から左側に伸びている別ターミナル(スカイライン)へのモノレールの表記も一致している。 フロアの記載方法について,ターミナル2の2階出発・到着図では,下方の建物外周及び建物内フロアの枠取り,ターンテーブル及び搭乗連絡口の形状が同一である。同ターミナルの3階出発図では,下図が丸写しであり,搭乗口番号も全て一致している。ターミナル1の2階出発について,切り取り部分が同一である。建物内のフロア部分においても,OFCが巧妙にデザインしたチェックイン・カウンターの独特の形状が一致している。 掲載情報については,詳細さに明らかな違いがあるが,医務室をはじめ,本件空港案内図に掲載された情報は,全てOFC空港案内図に掲載されている。 矢印の位置が一致している。 | 本文に記載したとおり,著作物性を有しない。 掲載情報に関しても,本件空港案内図は,OFC空港案内図と異なり,必要最小限の情報のみを掲載している。表記方法についても,OFC空港案内図は,インフォメーション,トイレ,両替所,ショップ等をアイコンで表記しているのに対し,インフォメーション以外はアイコンを用いずに文字で表記し,インフォメーションのアイコンも異なっているという点で相違する。 | @ターミナル部分をどのように区分して図にするか(建物構造が比較的複雑なことから,どのように区分して図面化するかは選択の余地があるものの,OFC空港案内図においては,ターミナル1を1階,2階に区分し,ターミナル2を2階と3階に区分したに過ぎず,この点に関する創作性は限定された範囲でのみ認め得る。),Aフロア内施設又はフロア部分の色分けをどのようにするか,Bいかなる施設を掲載するか,C利用客の順路を出発客,到着客毎に色分けして表示している点,D上記@ないしCを総合した結果としての見やすさの点において創作性を認めることができるから,著作物に当たる。ただし,本文に記載したとおり,これらの点についての創作性は限定された範囲でのみ認め得る。 本件空港案内図とOFC空港案内図は,ターミナル1を1階,2階に区分し,ターミナル2を2階と3階に区分してそれぞれ図面化している点で共通するが,このような共通点をもってOFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 フロア及びフロア内施設の表現においては,どの区分を表現するかという選択は概ね共通している。 掲載情報の選択については,両替,出国審査,免税店,入国審査,インフォメーション,セキュリティチェック,出入国審査,チェックインカウンター,医務室(ターミナル1の2階部分),国際線手荷物受取所,税関,遺失物取扱所,レンタカー,鉄道チケット予約(同ターミナル1階部分),入国審査,本屋,ホテル案内(ターミナル2の2階部分),出国審査,免税店,レンタカー(ターミナル2の3階部分)が掲載されているという点で共通する。これらの掲載情報のうち,鉄道チケット予約については,一般的に空港案内図に記載される情報とはいえないが,その他の掲載情報は,空港案内図において一般的に掲載される情報である。逆に,OFC空港案内図には,本件空港案内図にはない授乳室,出国審査場付近のショップ,レストラン,セキュリティチェック,免税払戻金受取所,税関付近のショップ,バス乗場,トイレ,薬売店,床屋,ロビー左側のセキュリティチェック,手荷物一時預所,レストラン,カフェ(ターミナル1の2階部分),トイレ,授乳室,ミートポイント,レストラン,バス乗場,タクシー乗場(同ターミナル1階部分),コンビニ,ギフトショップ,トイレ,展示会案内(ターミナル2の2階部分),セキュリティチェック(同ターミナル3階部分)が掲載されている点で異なっている。 また,上記各情報の表記方法についても,アイコンを用いるか,文字で表記するか等で異なっている。 これに加えて,本件空港案内図の方が,施設の名称を表示する文字が大きく,フロア部分の枠線に比して太字で濃いことも相俟って,見やすさや与える印象に差異を生じている。 上記両空港案内図は,出発客の順路と到着客の順路を矢印で示す点で共通するが,この手法は,本文記載のとおり,よく用いられる手法であるから,この点をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とはいえない。 そうすると,上記両空港案内図は,共通している部分については,空港案内図を作成する際によく用いられる一般的な手法がほとんどであり,必ずしも一般的とは言えない鉄道チケット予約の情報も掲載されているものの,OFC空港案内図の創作的部分における特徴とは言い難く,むしろ,施設名称の具体的表記方法や全体の配色等によって,異なる印象を与えるものであるから,本件空港案内図が,OFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 |
ミ ュンヘン ・ フランツ ・ ヨ|ゼフ ・ シュ ト ラウス空港 ・ 乙40の1 ・ 2 | OFC空港案内図は,巨大なターミナルのどの部分が日本人旅行者に必要かという視点から出発し,建物の切り取り方,建物の形状や内部のデザイン,特徴的かつ詳細な掲載情報の取捨選択,矢印,色分け,コメントによる補足説明等の諸要素で旅行客の見やすさ・便利性を高めている。 本件空港案内図は,OFC空港案内図の建物内部の仕切等の下図を複製している。 掲載情報についてもほぼデット・コピーであり,鉄道の駅名部分をみるとSバーンという駅名のみが掲載されている。また「路線バス案内板」「旅行代理店」(いずれも中央ホール),「動く歩道」(Sバーン駅)などの指摘は,OFC案内図のとおりである。 また,矢印の位置もほぼ同じである。 | 本文に記載したとおり,著作物性を有しない。 | @ターミナル部分をどのように区分して図にするか(建物構造が比較的複雑なことから,どのように区分して図面化するかは選択の余地があるが,日本人旅行客が頻繁に利用する部分を掲載するのが通常であるから,この点に関する創作性は限定された範囲でのみ認め得る。),Aフロア内施設又はフロア部分の色分けをどのようにするか,Bいかなる施設を掲載するか,C利用客の順路を出発客,到着客毎に表示している点,D上記@ないしCを総合した結果としての見やすさの点において創作性を認めることができるから,著作物に当たる。ただし,本文に記載したとおり,これらの点についての創作性は限定された範囲でのみ認め得る。 フロア及びフロア内施設の表現においては,どの区分を表現するかという選択は概ね共通している。 掲載情報の選択については,出発ロビー,セキュリティチェック,チェックインカウンター,出国審査,入国審査,手荷物受取所,税関,免税店,チケットカウンター(モジュールC2階部分),遺失物取扱所,手荷物預り所,免税店,両替,路線バス案内板,旅行代理店(中央ホール部分),エスカレーター,動く歩道,カフェ,エレベーター,Sバーン駅(Sバーン駅付近部分)が掲載されているという点で共通する。これらの掲載情報は,空港案内図において一般的に掲載される情報であるといえる。むしろ,OFC空港案内図には,本件空港案内図にはない,トイレ,公衆電話,動く歩道(モジュールC2階部分),カフェ,エレベーター,郵便局,ミーティングポイント,レストラン,動く歩道(中央ホール部分),公衆電話(Sバーン駅付近)が掲載されている点で異なっている。 また,上記各情報の表記方法についても,アイコンを用いるか,文字で表記するか等で異なっている。 これに加えて,本件空港案内図の方が,施設の名称を表示する文字が少なく,フロア部分の枠線に比して太字で濃いことも相俟って,見やすさや与える印象に差異を生じている。 上記両空港案内図は,出発客の順路と到着客の順路を矢印で示す点で共通するが,この手法は,本文記載のとおり,よく用いられる手法であるから,この点をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とはいえない。 そうすると,上記両空港案内図は,共通している部分については,空港案内図を作成する際によく用いられる一般的な手法がほとんどであり,OFC空港案内図の創作的部分における特徴とは言い難く,むしろ,施設名称の具体的表記方法や全体の配色等によって,異なる印象を与えるものであるから,本件空港案内図が,OFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 |
ベルリン ・ テ|ゲル国際空港 ・ 乙11の1 ・ 2 | 建物の切り取り方,建物の形状や内部のデザイン,詳細な掲載情報の取捨選択,矢印や色分け,コメント等に創作性がある。 建物部分の切り取り方,建物の特殊な形状の表記,内部のパーテーションまで一致している。掲載情報については,甲9の1によれば,OFC空港案内図に掲載された場所以外にもトイレは存在し,かつ各トイレに授乳室が存在するにもかかわらず,授乳室やトイレの表記が一致している。ホテル予約電話,駐車場(P)の位置,矢印の位置が一致している。 | 本文に記載したとおり,著作物性を有しない。 | 本判決第4,2(1)に記載したとおり |
ムンバイ ・ サハ|ル国際空港 ・乙42の1 ・ 2 | 工事中の部分が多いことから,OFC空港案内図は,比較的簡潔な記載 内容になっているが,建物部分の切り取り方,建物内部をデフォルメしたデザイン,掲載情報の選択,旅行客の便宜を考えた2種類の矢印,親切な説明コメント等を総合的に判断すれば,同様に著作物性が認められる。 ターミナル全体からどの部分の建物を切り取るという点で同一である。 掲載情報については,空港関係者以外は立入禁止の部分まで同一である。掲載情報の表現方法については,手荷物受取所のターンテーブルの形状,入国審査官用ブースの形状,数が同一である。 矢印の位置,曲げ方がほぼ一致している。 | 本文に記載したとおり,著作物性を有しない。 掲載情報の表記方法が異なることはこれまでの主張のとおりである。 | @ターミナル部分をどのように区分して図にするかについて創作性の認められる余地があるが,OFC空港案内図においては,ターミナルのうち日本人旅行客の利用が多いと考えられる部分を1階,2階,3階に区分して図面化したに過ぎず,この点に関する創作性は認められない。Aフロア内施設又はフロア部分の色分けをどのようにするか,Bいかなる施設を掲載するか,C利用客の順路を出発客,到着客毎に色分けして表示している点,D上記@ないしCを総合した結果としての見やすさの点において創作性を認めることができるから,著作物に当たる。ただし,本文に記載したとおり,これらの点についての創作性は限定された範囲でのみ認め得る。 上記両空港案内図は,フロア及びフロア内施設の具体的な表現方法において,概ね共通している。 掲載情報の選択について,税関,出国審査,チェックインカウンター,トイレ,両替,エスカレーター,郵便局(3階部分),トイレ,バー,ショップ,エスカレーター(2階部分),エレベーター,トイレ,入国審査,手荷物受取所,税関,公衆電話,両替,インフォメーション(1階部分)が掲載されているという共通点を有する。これらの掲載情報は,空港案内図において一般的に掲載される情報である。OFC空港案内図には,本件空港案内図にはない3階部分左側のバー,1階部分のカフェが掲載されている点で異なり,本件空港案内図には,OFC空港案内図にない3階部分のセキュリティチェックが記載されている点で異なる。 また,上記各情報の表記方法についても,アイコンを用いるか,文字で表記するか等で異なっている。これに加えて,本件空港案内図の方が,施設の名称を表示する文字が少なく,フロア部分の枠線に比して太字で濃いことも相俟って,見やすさや与える印象に差異を生じているといえる。 上記両空港案内図は,出発客の順路と到着客の順路を矢印で示す点で共通するが,この手法は,本文記載のとおり,よく用いられる手法であるから,この点をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とはいえない。 そうすると,上記両空港案内図は,共通している部分については,空港案内図を作成する際によく用いられる一般的な手法がほとんどであり,OFC空港案内図の創作的部分における特徴とは言い難く,むしろ,施設名称の具体的表記方法や全体の配色等によって,異なる印象を与えるものであるから,本件空港案内図が,OFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 |
ジャカルタ ・ スカルノ ・ ハッ タ国際空港 ・乙43の1 ・ 2 ・ 3 | 当該空港全体は,巨大かつ複雑な構造になっており,そのような空港全体からどの部分を切り取って地図にするかという点に作成者の個性が表れる。 また掲載情報の詳細さや建物内部のデフォルメしたデザイン,旅行客の便宜を考えた2種類の矢印,親切な説明コメント等には,作成者の個性が表れており,著作物性が認められる。 巨大かつ複雑な構造の空港全体の中から,国際線ターミナルDE部分の通路状の部分をクローズアップし,コテージ風のゲートは省略して地図にする部分が一致している。 掲載情報についても,トイレ,売店の一般的な情報から出発案内板,ダムリ社のバス乗場等の特殊な表記までほぼ同一である。 上表の表記方法も,建物内部をデフォルメしてデザインした形状,空港会社のバック・オフィス部分まで一致している。 矢印の位置も一致している。 | 本文に記載したとおり,著作物性を有しない。 掲載情報についても,マクドナルド(1階,2階),シルバーバード・タクシー・カウンター(1階),ホテル案内(1階),手荷物預所(1階)等の施設情報の表記方法が異なる。 掲載情報の表記方法が異なることも,これまで述べてきたところと同様である。 | @ターミナル部分をどのように区分して図にするか(建物構造が比較的複雑なことから,どのように区分して図面化するかは選択の余地があるが,OFC空港案内図は,日本人旅行客が頻繁に利用する国際線ターミナルの出発ゲート入口手前部分までを1階,2階に区分して図面化したにすぎないからこの点に関する創作性は限定された範囲でのみ認め得る。),Aフロア内施設又はフロア部分の色分けをどのようにするか,Bいかなる施設を掲載するか,C利用客の順路を出発客,到着客毎に色分けして表示している点,D上記@ないしCを総合した結果としての見やすさの点において創作性を認めることができるから,著作物に当たる。ただし,本文に記載したとおり,これらの点についての創作性は限定された範囲でのみ認め得る。 フロア及びフロア内施設の具体的表現においては,OFC空港案内図は,施設間の間仕切り枠を詳細に表示しているが,本件空港案内図は,同間仕切り枠を大幅に省略し,施設のまとまり毎に枠をとっている点で異なる。 掲載情報の選択については,出発案内板,免税店,売店,トイレ,チェックインカウンター,両替,薬局,セキュリティチェック,カフェ,エスカレーター,バー,公衆電話(以上2階部分),トランジットカウンター,入国審査,トイレ,バー,公衆電話,両替,インフォメーション,レンタカー,税関,手荷物受取所,遺失物手荷物受取所,レンタカー,バス乗場,タクシー乗場(以上1階部分)等が掲載されているという点で共通する。これらの掲載情報は,空港案内図において一般的に掲載される情報であるといえる。むしろ,OFC空港案内図には,本件空港案内図にはないJASラウンジ,エアラインサービスカウンター,エアラインオフィス,化粧品,ラウンジ(以上2階部分),ショップ,庭園,エレベーター等が掲載されている点で異なっている。 また,上記各情報の具体的表記方法についても,アイコンを用いるか,文字で表記するか等で異なっている。 これに加えて,本件空港案内図の方が,施設の名称を表示する文字が少なく,フロア部分の枠線に比して太字で濃いことも相俟って,見やすさや与える印象に差異を生じている。 上記両空港案内図は,出発客の順路と到着客の順路を矢印で示す点で共通するが,この手法は,本文記載のとおり,よく用いられる手法であるから,この点をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とはいえない。 そうすると,上記両空港案内図は,共通している部分については,空港案内図を作成する際によく用いられる一般的な手法がほとんどであり,OFC空港案内図の創作的部分における特徴とは言い難く,むしろ,施設名称の具体的表記方法や全体の配色等によって,異なる印象を与えるものであるから,本件空港案内図が,OFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 |
ケアンズ国際空港 ・乙45の1 ・ 2 | 本文に掲載したとおり,OFC空港案内図には著作物性が認められる。 ターミナルのうちどの部分を地図にするかという点で一致している。もっとも,OFC空港案内図と本件空港案内図の上下左右の縮尺は異なっている。建物部分の具体的表現方法については,OFC空港案内図は,1階到着部分を2階出発部分の上に配置しているが本件空港案内図では逆にしている。日本人旅行客にとっては,到着階を上に表示するOFC空港案内図の方が親切である。 掲載情報が一致している上,説明コメント部分も一致しているものがある。OFC空港案内図で「同便で乗り継ぎの場合は,この通路係員が案内をしている」と記載されている部分に本件空港案内図では「同便乗り継ぎの場合はこの通路で係員の案内がある」と記載されている。 掲載情報の表記方法についても,手荷物受取所のターンテーブルの形状や数,入国審査,税関のブースの数が一致している。また,1階到着図面については,右下にタクシー乗場を独立して表記する点や「団体用バス停」という表記,エレベーターのアイコン,右下到着口に弧を表記する点も一致している。本来見えない立入禁止部分の間仕切りが一致している。 2階出発図面については,キャプテンクラブラウンジという特殊な情報を掲載する点や出国税支払所という特殊な表記が一致しており,立入禁止部分を含めた建物形状が一致している。また,本件空港案内図のシリーズには,通常記載されていないゲート2.2A,ゲート3.3A,ゲート4.4Aの表記も同一である。 | 本文に記載したとおり,著作物性を有しない。 掲載情報に関しても,本件空港案内図は,OFC空港案内図と異なり,必要最小限の情報のみを掲載している。具体的表記方法も相違する。 | @ターミナル部分をどのように区分して図にするかについて創作性が認められる余地があるが,OFC空港案内図は,国際線ターミナルを1階部分,2階部分に区分して図面化したというにすぎないから,この点に創作性は認められない。Aフロア内施設又はフロア部分の色分けをどのようにするか,Bいかなる施設を掲載するか,C利用客の順路を出発客,到着客毎に色分けして表示している点,D上記@ないしCを総合した結果としての見やすさの点において創作性を認めることができるから,著作物に当たる。ただし,本文に記載したとおり,これらの点についての創作性は限定された範囲でのみ認め得る。 本件空港案内図とOFC空港案内図は,国際線ターミナルを1階部分,2階部分に区分して図面化した点で共通するが,前記のとおり,この部分に創作性は認められないのであって,上記のような共通点をもってOFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 フロア及びフロア内施設の表現においては,概ね共通するが,本件空港案内図は,施設間の細かい間仕切りを省略して表示しており,外枠についても細かい凹凸を省略している点で異なっている。 掲載情報の選択については,公衆電話,バー,ショップ,両替,セキュリティチェック,免税店,トイレ,キャプテンクラブラウンジ,レストラン,出発ロビー,出国審査,エレベーター,出国税支払所(以上2階部分),免税店,入国審査,手荷物受取所,税関,団体用バス停,トイレ,医務室,チェックインカウンター,出発ホール,レンタカー,郵便局,到着ホール,タクシー乗場(1階部分)が掲載されているという点で共通する。これらの掲載情報のうち,キャプテン・クラブ・ラウンジについては,一般的に空港案内図に記載される情報とはいえないが,その他の掲載情報は,空港案内図において一般的に掲載される情報であるといえる。むしろ,OFC空港案内図には,本件空港案内図にはない,無料タクシー電話,有料カード置き場,事務所が掲載されている点で異なっている。 また,上記各情報の表記方法についても,アイコンを用いるか,文字で表記するか等で異なっている。 これに加えて,本件空港案内図の方が,施設の名称を表示する文字が少なく,フロア部分の枠線に比して太字で濃いことも相俟って,見やすさや与える印象に差異を生じている。 上記両空港案内図は,出発客の順路と到着客の順路を矢印で示す点で共通するが,この手法は,本文記載のとおり,よく用いられる手法であるから,この点をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とはいえない。 そうすると,上記両空港案内図は,共通している部分については,空港案内図を作成する際によく用いられる一般的な手法がほとんどであり,必ずしも一般的とは言えないキャプテン・クラブ・ラウンジの情報も掲載されているものの,OFC空港案内図の創作的部分における特徴とは言い難く,むしろ,施設名称の具体的表記方法や全体の配色等によって,異なる印象を与えるものであるから,本件空港案内図が,OFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 |
シンガポ|ル ・ チャンギ国際空港 ・乙48の1 ・ 2 | 本文に記載したとおり,著作物性を有する。 OFC空港案内図と本件空港案内図を見比べると,OFC空港案内図の方が見やすい。一覧性は,利用者にとって重要であり,本件空港案内図のように小さな数字やアルファベットを探してその都度注記を見るというのは不便である。このように,作成者の考えや能力によってずいぶん使いやすさに相違が生じるものである。 また,OFC空港案内図と本件空港案内図は,掲載情報の取捨選択という点でも作成者の個性が異なっている。 巨大かつ複雑なターミナルの一部の切り取り方及び内部のデザインが完全に同一である。例えば,2階図面において,各ゲートへの連絡部を波形で記載している点や細かな通路も同一である。 掲載情報については,本件空港案内図の方が詳細ではあるが,この点をもって,類似性が否定されるものではない。 矢印は,位置,曲がり具合ともに一致している。 | 本文に記載したとおり,著作物性を有しない。 表現方法においては,本件空港案内図は,OFC空港案内図に比べて空港建物施設の実際の配置・形状をより簡略化して記載しており完全には一致しない。 掲載情報については,本件空港案内図の方がOFC空港案内図より詳細であり,その表現方法も異なっている。 | @ターミナル部分をどのように区分して図にするか(建物構造が比較的複雑なことから,どのように区分して図面化するかは選択の余地があるが,OFC空港案内図はターミナル1の部分を1階と2階に区分したというものであるから,この点に関する創作性は限定された範囲でのみ認め得る。)。Aフロア内施設又はフロア部分の色分けをどのようにするか,Bいかなる施設を掲載するか,C利用客の順路を出発客,到着客毎に色分けして表示している点,D上記@ないしCを総合した結果としての見やすさの点において創作性を認めることができるから,著作物に当たる。ただし,本文に記載したとおり,これらの点についての創作性は限定された範囲でのみ認め得る。 フロア及びフロア内施設の表現においては,どの区分を表現するかという選択は概ね共通しているが,本件空港案内図は,施設間の細かい間仕切りを省略して表示する部分があり,細かい施設については,施設の外枠線そのものを省略している部分がある(例えば,1階部分左下のショップ,1階部分乗り継ぎカウンター上の施設,2階部分略扇形のバー施設等。)。 掲載情報の選択については,トイレ,到着ホール,入国審査,手荷物受取所,免税店,カフェ,税関,両替,マクドナルド,入国審査/検疫,タクシー乗場,出迎えロビー,ホテル予約カウンター,荷物一時預かり所(以上1階部分),西フィンガー,トイレ,出国審査,チェックインカウンター,セキュリティチェック,スカイトレイン乗場,東フィンガー,出発ホール,両替所,バー,郵便,医療センター,別送品申込みカウンター,インフォメーション,美容室(以上2階部分)が掲載されているという点で共通する。これらの掲載情報のうち,美容院については,一般的に空港案内図に記載される情報とはいえないが,その他の掲載情報は,空港案内図において一般的に掲載される情報であるといえる。むしろ,本件空港案内図には,OFC空港案内図にない,ナイトストップ/トランジットカウンター,遺失物カウンター,エアポート・サービスカウンター,トランジット・ホテル,フィットネスセンター,ミーティングサービス(以上1階部分),ドラッグストア,トランジットホテル,保税倉庫,荷物一時預かりカウンター,車両呼び出しサービス,無料市内観光カウンター,キッズ・プレイ・コーナー,消費税還付申込みカウンター(以上2階部分)が掲載されている点で異なっている。 また,上記各情報の表記方法についても,アイコンを用いるか,文字で表記するか,図面には記号を付し,図面外で,記号の順に施設情報を記載する等で異なっている。 これに加えて,本件空港案内図の方が,施設の名称を表示する文字が,フロア部分の枠線に使用されていない黒を使用していることも相俟って,見やすさや与える印象に差異を生じているといえる。 上記両空港案内図は,出発客の順路と到着客の順路を矢印で示す点で共通するが,この手法は,本文記載のとおり,よく用いられる手法であるから,この点をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とはいえない。 そうすると,上記両空港案内図は,共通している部分については,空港案内図を作成する際によく用いられる一般的な手法がほとんどであり,必ずしも一般的とは言えない美容院の情報も掲載されているものの,OFC空港案内図の創作的部分における特徴とは言い難く,むしろ,施設名称の具体的表記方法や全体の配色等によって,異なる印象を与えるものであるから,本件空港案内図が,OFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 |
上海虹橋国際空港 ・乙49の1 ・ 2 ・ 3 | 建物の切り取り方,建物の形状や内部のデザイン,詳細な掲載情報の取捨選択,矢印や色分け,コメント等に創作性がある。 建物の切り取り方,外壁の凹凸のデフォルメの仕方が一致している。1階到着部分の図面と2階出発部分の図面の配置が逆になっているという違いがある。OFC空港案内図のように1階到着部分を上に配置する方が,日本人旅行客には便宜であり,本件空港案内図は不親切である。 建物内部施設の表現方法についても,1階手荷物受取所のターンテーブルの形状及び数が同一である。 掲載情報についても,本件空港案内図は,全てOFC空港案内図に掲載されている。 | 本文に記載したとおり,著作物性を有しない。 掲載情報については,2階部分の手荷物一時預所は,本件空港案内図には記載されているが,OFC空港案内図には記載されていない。 | @ターミナル部分をどのように区分して図にするか(建物構造が比較的複雑なことから,どのように区分して図面化するかは選択の余地があるが,OFC空港案内図は,国際線ターミナルを1階,2階に区分してその一部を図面化したものであるから,この点に関する創作性は限定された範囲でのみ認め得る。),Aフロア内施設又はフロア部分の色分けをどのようにするか,Bいかなる施設を掲載するか,C利用客の順路を出発客,到着客毎に色分けして表示している点,D上記@ないしCを総合した結果としての見やすさの点において創作性を認めることができるから,著作物に当たる。ただし,本文に記載したとおり,これらの点についての創作性は限定された範囲でのみ認め得る。 本件空港案内図とOFC空港案内図は,国際線ターミナルを1階,2階に区分してその一部を図面化したものである点で共通するが,このような共通点をもってOFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 フロア及びフロア内施設の表現においては,どの区分を表現するかという選択は概ね共通しているが,本件空港案内図は,施設間の細かい間仕切りを省略して施設のかたまり毎に外枠だけを記載する部分がほとんどであり,細かい施設については,施設の外枠線そのものを省略している部分がある(例えば,1,2階部分下側のH型の施設,2階部分のチェックインカウンターの陰の施設群,セキュリティカウンターとチェックインカウンターの間の円形の施設,2階部分スタンドバーの形状,1階部分ホテル案内所の形状等)。 掲載情報の選択については,エスカレーター,ショップ,両替所,ファーストクラスラウンジ,セキュリティチェック,チェックインカウンター,税関・エックス線検査,出国審査,レストラン,出発案内板,郵便,国際線空港使用料支払所(以上2階部分),ビザカウンター,手荷物受取所,入国審査,検疫,遺失物取扱所,トイレ,両替所,インフォメーション,エックス線検査,タクシー案内,ホテル案内(以上1階部分)が掲載されているという点で共通する。これらの掲載情報は,空港案内図において一般的に掲載される情報であるといえる。逆に,OFC空港案内図には,本件空港案内図にはない日本食,バー,待合室,フェンス,3階に通じる階段(以上2階部分),カート,公安室,レストラン(以上1階部分)が掲載されている点で異なっている。 また,上記各情報の表記方法についても,アイコンを用いるか,文字で表記するか等で異なっている。 これに加えて,本件空港案内図の方が,施設の名称を表示する文字が大きく,フロア部分の枠線に比して太字で濃いことも相俟って,見やすさや与える印象に差異を生じている。 上記両空港案内図は,出発客の順路と到着客の順路を矢印で示す点で共通するが,この手法は,本文記載のとおり,よく用いられる手法であるから,この点をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とはいえない。 そうすると,上記両空港案内図は,共通している部分については,空港案内図を作成する際によく用いられる一般的な手法がほとんどであり,OFC空港案内図の創作的部分における特徴とは言い難く,むしろ,施設名称の具体的表記方法や全体の配色等によって,異なる印象を与えるものであるから,本件空港案内図が,OFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 |
マカオ国際空港 ・乙50の1 ・ 2 | 建物の切り取り方,建物の形状や内部のデザイン,詳細な掲載情報の取捨選択,矢印や色分け,コメント等に創作性がある。 建物の切り取り方が同じである。手荷物受取所のターンテーブルの形状及び数等の内部のデフォルメしたデザインも似通っている。掲載情報の取捨選択や矢印も類似している。 | 本文に記載したとおり,著作物性を有しない。 | @ターミナル部分をどのように区分して図にするかについて創作性を認める余地があるものの,OFC空港案内図は,ターミナル部分を1階部分,2階部分に区分して図面化したにすぎないから,この部分に創作性を認めることはできない。Aフロア内施設又はフロア部分の色分けをどのようにするか,Bいかなる施設を掲載するか,C利用客の順路を出発客,到着客毎に色分けして表示している点,D上記@ないしCを総合した結果としての見やすさの点において創作性を認めることができるから,著作物に当たる。ただし,本文に記載したとおり,これらの点についての創作性は限定された範囲でのみ認め得る。 本件空港案内図とOFC空港案内図は,ターミナル部分を1階部分,2階部分に区分して図面化した点で共通するが,前記のとおり,この部分に創作性を認めることはできないから,このような共通点をもってOFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 フロア及びフロア内施設の表現においては,どの区分を表現するかという選択は概ね共通している。 掲載情報の選択については,ゲート,ショップ,レストラン,チェックインカウンター,両替,トイレ,エスカレーター,出国カード記入デスク,エックス線チェック,郵便局,出国審査(以上2階部分),手荷物受取所,入国審査,税関,ラウンジ,トイレ,両替,インフォメーション,ショップ(以上1階部分)が掲載されているという点で共通する。これらの掲載情報のうち,出国カード記入デスクについては,一般的に空港案内図に記載される情報とはいえないが,その他の掲載情報は,空港案内図において一般的に掲載される情報であるといえる。逆に,OFC空港案内図には,本件空港案内図にはないエレベーター,公衆電話,カフェが掲載されている点で異なっている。 また,上記各情報の表記方法についても,アイコンを用いるか,文字で表記するか等で異なっている。 これに加えて,本件空港案内図の方が,施設の名称を表示する文字が大きく,フロア部分の枠線に比して太字で濃いことも相俟って,見やすさや与える印象に差異を生じている。 上記両空港案内図は,出発客の順路と到着客の順路を矢印で示す点で共通するが,この手法は,本文記載のとおり,よく用いられる手法であるから,この点をもって,OFC空港案内図の創作的表現部分における特徴とはいえない。 そうすると,上記両空港案内図は,共通している部分については,空港案内図を作成する際によく用いられる一般的な手法がほとんどであり,必ずしも一般的とは言えない出国カード記入デスクの情報も掲載されているものの,OFC空港案内図の創作的部分における特徴とは言い難く,むしろ,施設名称の具体的表記方法や全体の配色等によって,異なる印象を与えるものであるから,本件空港案内図が,OFC空港案内図の創作的表現における特徴を感得し得るということはできない。 |