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米国プレイメン事件判決判決
 

国境を越えてインターネットサーバにアクセスさせる行為が
ユーザの居住国における商標の使用にあたると認定した判決
Playmen case


古谷国際特許事務所ニュースレター44号より
(C)1996.8 FURUTANI PATENT OFFICE



概要


米国ユーザに向けて、イタリアから"Playmen"インターネットサイトを通じて、コンピュータ画像を流す行為が、米国における商標の使用行為に当たり、商標の差止対象となる旨の判決が、6月19日、南ニューヨーク州地裁により下された。DC SNY, 79 CIV 3525(SAS)



内容


原告のPlayboy Enterprises Inc.は、様々な言語で、世界中に"Playboy"誌を発行している。

1981年、商標権侵害訴訟において、Playboy社は、"Playmen"というタイトルで雑誌を発行しているChuckleberry社およびTattilo社に対し、米国内において"Playmen"というタイトルを用いることを禁止する判決を得ていた。その後、1996年1月に、Playboy社は、Tattilo社が、Playmenに似たタイトルでインターネットサイトを開いているのを発見した。Tattilo社は、雑誌の画像をイタリアにあるWWWサーバにアップロードしており、多くの米国のユーザがアクセスを行って、画像を入手していた。Playboy社は、上記Tattilo社の行為は、先の"Playmen"の使用差止命令に反するものであるとして訴えを起こした。

被告のTattilo社は、単にイタリアのコンピュータサーバに画像を提供しただけであり、米国内での商標の使用に当たらないと反論した。同社の主張によれば、今回問題となっている行為はつまり、米国民が飛行機でイタリアまで行き、Playmen誌を購入するのと何ら変わらないので、米国の裁判所にこれを禁止する権限などないというものである。

これに対し、裁判官は次のように述べた。米国の潜在的加入者たちがサイトを利用したい旨を記載した書類をファックスすると、同社からパスワードおよびユーザネームが電子メールで返送される。つまり、被告は米国において積極的にサイトへの加入者を募っており、同社は米国内において商品を流通させたといえる。とはいえ、当法廷がイタリアにある同社のサイトそのものを禁止することなどできない。そこで、法廷は次のように判決を行った。

法廷には、世界中のインターネットサイトの運営自体を制限する権利などないが、少なくとも、米国内におけるサイトへのアクセスを禁止する権利はある。よって、被告に対して、米国のユーザからの加入申し込みは受け付けてはならないという判決が下された。



まとめ


インターネットサーバを用いて、プログラムや画像等を配信しようとしている企業にとっては、注意すべき判決である。予定されているユーザの所在国において、商標等の権利を他社が有していないか、調査を行っておくべきであろう。特許についても、同様の問題が生じうるが、現在のところ判決例はないようである。

以上



NOTES


この資料は、古谷国際特許事務所ニュースレター(1996.8)からの転載です。速報性を重視するニュースレターの性格上、検討が不十分となっているケースもあることをご了解下さい。
この資料は、下記の著作権表示をしていただければ、複製して配布していただいて結構です(商業的用途を除く)。
(C)1996 FURIUTANI PATENT OFFICE/ furutani@furutani.co.jp




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