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実用新案の基礎−知的財産権の基礎講座
(C)1991.12-1997.7 弁理士 古谷栄男・松下正・眞島宏明

4.実用新案の基礎知識

4.1新実用新案制度と旧実用新案性度

 1994年に実用新案法が改正され、その内容が大きく変わりました。旧実用新案法では、実用新案権は特許権と同じように権利行使ができました。しかし、新実用新案法における実用新案権は、実用新案権者が細心の注意を払って権利を行使しなければならず、特許権に比べると使いづらい権利であるといえるでしょう。
 このため、旧法では年間数十万件の出願がありましたが、現在では、年間1万件程度に留まっています。

4.2実用新案登録とその活用方法


   以下、実用新案制度について説明していきます。

(1)無審査で登録される
 新しい実用新案は、審査を経ずに登録されます。このため、出願から約6月で登録を受けることができ、以前より迅速です。

(2)権利の行使
 無審査で登録されていますので、他人に対して権利を主張する場合には、特許庁に改めて内容を評価(技術評価書)してもらう必要があります。権利行使をする際には、この技術評価書を添付して行わねばなりません。

 無効となることがわかっていながら権利を行使した場合(たとえば、技術評価書において無効である旨が示されていたにもかかわらず権利行使をした場合)には、その権利者は、権利行使によって相手方に与えた損害を賠償しなければなりません(無過失賠償責任)。このような無過失賠償責任があるため、実務上、実用新案はあまり利用されていないのです。

(3)権利期間
 出願から10年です。

(4)特許制度との使い分け
 実用新案で登録を受けたといっても、無審査であるため、その権利の内容は確実なものとはいえません。したがって、基本的には、特許出願をしておく方がよいでしょう。また、ソフトウエアに特徴のあるような発明は、実用新案登録の対象と鳴らないので注意が必要です。

 ただし、ライフサイクルが短い商品については、特許が取得できた際に、すでに商品寿命が尽きていたという場合もあります(特許は登録までに2〜4年必要)。

 これに対して、実用新案は6カ月ほどで登録されます。したがって、ライフサイクルが短い商品であって、模倣品が出回る可能性が高い商品になどに限って実用新案を利用するメリットがあるといえます。両制度の比較を表にしました。
 ただし、近年、特許においても早期審査を申請することにより、わずか数ヶ月で特許が取得できる場合もありますので、必ずしも、実用新案が迅速であるとはいえなくなりました。
                            
  特許実用新案
権利の与えかた審査をパスしたものだけ
特許される
無審査で登録される
権利化までの期間出願から2〜4年出願から約6ヶ月
権利の存続期間出願から20年出願から10年
メリット@権利の内容が確実
A存続期間が長い

年数がかかっても確実な権利
を取るなら特許がよい
@権利化までの期間が短い

ライフサイクルの短い商品
に適している
デメリット@権利化まで年数がかかる@登録されても権利を主張
できないことがある
A存続期間が短い


2.実用新案の出願手続

 


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複製して配布していただいて結構です(商業的用途を除く)。
(C)1991-1997 Hideo FURUTANI / furutani@furutani.co.jp

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1.実用新案の活用方法 | 2.実用新案の出願手続

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