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ビ ジ ネ ス モ デ ル 特 許 の 事 例  

(2)株式のオンライン取引システム
System for processing and supervising
a plurality of composite subscriber accounts


弁理士 古谷栄男
Hideo Furutani, Patent Attorney



権利者など


英国特許出願 8527346
英国特許   2180380
権利者    merril lynch証券
特許出願   1985年
事件     1986年



発明の概要


コンピュータを用いて、オンラインによる株取引を行うシステムに関する特許である。




事件の概要


英国特許庁は、発明としての成立性を否定した。出願人merril lynchは、特許裁判所に控訴したが、裁判所も発明の成立性を否定した。その後、merril lynchは、クレームの補正を行い最終的に権利を取得した。
欧州(英国)において、ビジネスモデルが特許対象になるか否かについて、比較的早い時期に判断された事件として興味深い。
本件は、米国の出願を基礎として、スイス、ドイツ、日本にも出願されており、それぞれの国で権利が成立している。米国特許USP4,674,044、スイス特許670616、ドイツ特許3539545、日本特許2587615である。



CLAIMS


英国拒絶クレーム(参考訳)
 中央処理ユニット、
 少なくとも1人の顧客の注文を入力する装置、
 前記中央処理ユニットと前記入力装置とを接続する第1の双方向通信リンク、
 ディスプレイおよびデータ入力装置を有する少なくとも1つの取引者端末、
 前記中央処理ユニットと前記取引者端末とを接続する第2の双方向通信リンク、
 前記取引者端末とデータベースとを接続する第3の双方向通信リンク、
 前記中央処理ユニットと前記データベースとを接続する第4の双方向通信リンク、
 前記中央処理ユニットに接続された顧客勘定処理装置、
 を備えた証券自動取引システムであって、
 前記顧客注文入力装置は、入力された注文を表わす信号を発生する手段を有し、この信号は、取り引き対象となる証券の特定、顧客の買いであるか売りであるかの識別、取り引きしようとする証券の数量を明らかにするものであり、前記第1のリンクを介して、中央処理ユニットに伝達される、
 前記中央処理ユニットは、
 第4のリンクを介して、証券の買値および売値を表す、前記データベースのデータを検索し記憶する手段、
 受け付けた注文のうちどれを実行可能とするかを、有効化パラメータと記憶されている市場データとに基づいて決定するために、取引者端末から与えられた注文を実行可能とするための有効化パラメータを入力し蓄積する手段、
 有価証券の在庫数量・原価および利益を表すデータを記憶する手段、
 受け付けた注文データが、記憶されている買値、売値、注文有効化パラメータに反していなければ、受け付けた注文、記憶されている売値、買値、注文有効化パラメータに基づいて、その注文を有効化する手段、
 前記有効化手段によって有効化された各取引注文を実行する手段、
 取り引きの実行があれば、在庫数量および記憶されているパラメータのうち少なくとも1つを更新するとともに、該更新を顧客勘定処理装置に伝送する実行後の更新手段、
 を備えた証券自動取引システム。(訳文:古谷栄男)

日本特許クレーム
 少なくとも一つの有価証券において取り引き市場を形成するためのデータ処理システムであって、
 コンピュータと、
 該コンピュータに結合され前記少なくとも一つの有価証券に対して取り引き注文を前記コンピュータに入力する入力手段と、
 前記コンピュータからの処理結果を受け出力する出力手段とを備え、
 前記コンピュータには前記少なくとも一つの有価証券に対する取り引き注文を受ける手段が備えられ、
 該取り引き注文には取り引きされるべき株を特定するとともに取り引きが買い又は売りであるかを特定しさらに取り引き株数を特定するフィールドが含まれており、さらに、
 前記コンピュータは、前記少なくとも一つの有価証券に対する実効指し値と言い値とを回収して蓄積する手段と、
 注文適格パラメータを入力して蓄積する手段とを有し、
 前記注文適格パラメータ及び前記蓄積された言い値はどの受付注文に実行権限(実行適格)を与えるかを決定する際に用いられ、さらに、
 前記コンピュータは、前記少なくとも一つの有価証券に対する建て玉(ポジション)、コスト(費用)、及び利益を規定するデータを蓄積する手段と、
 受け付けた取り引き注文、蓄積された言い値、及び注文適格パラメータに応じて前記受け付けた取り引き注文のフィールドが前記蓄積された言い値及び前記注文適格パラメータに違反していないと該受け付けた取り引き注文に実行権限(実行適格)を与える適格化手段と、
 前記適格化手段によって実行権限が与えられた各取り引き注文を実行する手段と、
 顧客の売りの実行に際して取り引き注文の量によって前記少なくとも一つの有価証券において前記蓄積された建て玉を増加させ前記顧客の買いの実行に際して前記取り引き注文の量によって前記蓄積された建て玉を減少させる後処理更新手段と、
 取り引きの実行に際して前記蓄積されたコスト及び利益の少なくも一つを更新する手段とを有することを特徴とする有価証券用データ処理システム。



REFERENCES


古谷栄男(関西特許研究会ソフトウエア研究班)「メリルリンチ事件(英国)」パテント43巻4号(1990.4)
 発明の内容と英国特許裁判所の判決を解説している

日経金融1997.9.18「見過ごされたメリルの特許」
 日本特許の権利範囲について、現在一般化しているトレーディングシステムに投網をかけるような包括的なものであると報告している。



NOTES


この資料は、'99夏〜'99年末にかけて行った講演の配付資料に、最新情報を加えて、加筆訂正したものです。下記の著作権表示さえしていただければ、複製して配布していただいて結構です(商業的用途を除く)。
(C)1999 HIDEO FURUTANI / furutani@furutani.co.jp



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