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ビジネスモデル特許の事例
(C)1999.12 弁理士 古谷栄男
'99夏〜'99年末にかけて行った講演の配付資料に、最新情報を加えて、加筆訂正したものです。


(26)条件付購入申込管理システムの特許(CPO特許)(特許出願1997年、事件2000年)

権利者など
 米国特許   6085169
 権利者    priceline.com Inc.,(米国)

特許の概要
 消費者が価格を指定して商品やサービスの購入を行うシステムに関する特許である。Conditional Purchase Offer特許を略して、CPO特許と呼ばれている。このシステムを用いて、航空券の購入を行う場合を例として、以下に概要を示す。

 @サーバには、予め、複数のチケット販売業者が定めた販売ルールが記録されている。Aチケット購入者は、サーバにアクセスして、出発地、目的地、日時などの他、希望価格を指定して、購入の申込を行う。この際、併せて、クレジットカード番号を明示する。Bサーバは、チケット販売業者の販売ルールを検索して、チケット購入者が示した希望価格等の条件が、販売ルールに合致するか否かを判断する。C合致すればクレジットカード番号を用いて決済し、D合致しない場合には、チケット購入者に断りの通知を行う。E断りの通知をされたチケット購入者が、同じチケットに関して、再び、サーバに購入申込を行った場合、サーバはこれを受け付けない。

 上記のようにして、ユーザが価格を指定した購入を実現している。また、販売を拒否されたユーザが、同一のサービスや商品について繰り返しこの仕組みを利用できないようにし、販売者が設定した商品やサービスの最低価格が知られることを防いでいる。



事件の概要
 本件特許は、(13)逆オークションの仲介システムに関する特許(プライスライン特許)に関連する特許である。上記逆オークション特許の一つである、USP5,794,207(08/707,660)に基づいて、派生した出願(一部継続出願)によって権利が取得されている。また、この特許は、審査段階において、かなり多くの従来技術文献が参照されており、無効文献を見出しにくいという点において、強力な権利であるといえる。
 逆オークションの特許(USP5,794,207)に基づいて、priceline.com側が、マイクロソフトを提訴したのは、1999年10月であった。その後、2000年7月4日に本件特許が許可され、そのわずか10日後の7月14日に、priceline.comは、本件特許に基づいてマイクロソフトに対し新たな訴訟を提起した。Jay Wallker氏(発明者でもありpriceline.com社の創設者でもある)は、逆オークションに関して多くの特許出願をしていると伝えられており、今後も、新たな訴訟が提起される可能性がある。
 1つの特許だけでなく、複数の特許によって事業を保護しようとするJay Wallker氏(発明者でもありpriceline.com社の創設者でもある)の、特許ポートフォリオに基づく訴訟戦略であると思われる。
 priceline.com社とマイクロソフト社との争いは、ビジネスモデル特許戦略の行方を示すものとして注目に値する。

USP6085169の主要クレーム(全クレーム14個)
1. A method for using a computer to process the sale of goods or services, comprising:
receiving by said computer a first conditional purchase offer from a customer for the purchase of said goods or services, wherein said first conditional purchase offer is a binding offer including a customer-defined price;
receiving a payment identifier specifying a credit card account for use in providing payment for said goods or services;
after receiving said first conditional purchase offer and said payment identifier, querying a database of seller-defined rules provided by a plurality of sellers to determine if said goods or services are to be sold to said customer for said customer-defined price, said seller-defined rules including prices which are concealed from said customer;
if no goods or services are to be sold to said customer after said querying, transmitting a rejection of said first conditional purchase offer to said customer; and
taking an action to deter said customer from submitting a second conditional purchase offer for said goods or services.

(参考訳)
1.コンピュータを用いて、商品またはサービスを販売する方法であって、下記を備えたもの:
 商品またはサービスを購入するための、顧客の希望価格を含んだ第1の条件付購入申込をコンピュータによって受信し;
 商品またはサービスの支払に用いるためのクレジットカードカード番号を明示した支払IDを受信し;
 第1の条件付購入申込および払いIDを受信した後、顧客の希望価格により当該顧客に対して商品またはサービスを販売可能かどうかを決定するため、複数の販売者によって用意され、顧客には秘密にされた価格を含んだ販売ルールのデータベースに問い合わせ;
 この問い合わせの結果、商品またはサービスが販売可能でない場合には、当該顧客に第1の条件付購入申込に対する断りを送信し;
 当該商品またはサービスに対して当該顧客が第2の条件付購入申込を行うことを防止する処理を行う。

(クレームの日本語訳は、発明内容を理解するための参考として付したものであり、古谷栄男の法的見解を示すためのものではありません。具体的事件等において、権利判断等を行う際には、弁理士、弁護士にご相談下さい。)

関連文献・サイト
プライスラインのウエブサイト 

Expedia.comのウエブサイト

 


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