TOPへ


 

ビ ジ ネ ス モ デ ル 特 許 の 事 例  

(4)カーマーカ特許
Karmarkra's patent


弁理士 古谷栄男
Hideo Furutani, Patent Attorney



権利者など


日本特許     第2033073号
拒絶査定不服審判 平03-08842
特許無効審判   平09-02452
審決取消訴訟   平成11(行ケ)25
権利者      米国ATT社(現在は、ルーセントテノロジーズに権利移転)
出願       1986年



特許の概要


線形計画法(Operations Research)の解法に関する特許である。発明者カーマーカおよびATT社は、従来の解法よりも100倍の速度で解を得ることができると発表し、話題を呼んだ。電話回線網の接続ルート決定に応用できるとされている。






事件の概要


審査の段階では、発明としての成立性がないとして拒絶された。しかし、拒絶査定不服審判において、審判官は、発明としての成立性を認め、特許すべきであるとの判断を下した(特公平5−61672)。これに対し、東京工業大学教授の今野浩氏を含む7件の異議申し立てがなされたが、特許は維持された(平成8年)。さらに、無効審判も請求されたが、特許は有効であるとの審決が下された(平成11年)。当該審決の取り消しを求める審決取消訴訟が提起されたが、権利者が権利を放棄したため、実質的な判断がなされずに事件は終了している。

米国においても、特許が成立している。

本件は、ビジネスモデル特許というよりは、アルゴリズム特許と呼ぶべきであろう。しかし、現在の米国におけるビジネスモデル特許の隆盛を予感させる特許という点において、興味深い。



CLAIMS


請求項1

1. 産業上又は技術上の資源についての割当の制約が多次元空間における凸ポリトープPで表されそして割当コストが該多次元空間におけるコスト・ベクトルcで表される線形計画法モデルについてメモリ中に記述されている該凸ポリトープと該コスト・ベクトルを参照して、
(1)該ポリトープの内部の位置にある資源割り当て開始ポイントXcurrを選定し、
(2)該開始ポイントのアフアイン・スケーリングされたものが該ポリトープのアフアイン・スケーリングされたものP´において幾何的により中心化される又は厳密に実行可能であるようなアフアイン・スケーリングDを決定し、
(3)該アフアイン・スケーリングされたポリトープに投影されたアフアイン・スケーリングされたコスト・ベクトルc~'に依存して決められた方向pに該開始ポイントを該ポリトープ内で進めた次のポイントxnextを求め、そして
(4)該次のポイントが所定の評価基準に適合したとき、該次のポイントを最適資源割当を表すものとし、適合しないとき該次のポイントによって開始ポイントを更新して該(1)〜(3)の工程を繰り返すようなデジタルプロセッサを制御しており、
該ポリトープが制約式(Ax=b, L≦x≦U ;A’u≦c ・・・[式1])であり、該コスト・ベクトルが該資源割当ての最適化に関する目的関数
c’x;uTb ・・・[式2])であるとき、Ax=bを制約条件とし
 n 
 Σ max{0,(Li‐xi),(xi―Ui)} ・・・[式3]
 i=1
を最小化するフイジビリテイ・プロブレムを解くことにより該資源割当て開始ポイントが選定されており、
該アフアイン・スケーリングは対角スケール・マトリックスDにより表され、該Dの第i番目の対角要素は
 Dii=min{1,xicurr−Li,Ui−xicurr} ・・・[式4]
であり、
該次の資源割当てを改良する際の方向pは、
 p=−D{I−(AD)T(AD2AT)-1AD}Dc ・・・[式5]
で表され、ここでIは単位マトリックスであり、
該次の資源割当ての値xnextは
 xnext=xcurr+αp ・・・[式6]
で表され、そしてαは該次の資源割当てに関して決定された方向pにおける改良のステップの大きさであり
 α=βmin{min{(Li− xi)/pi|pi<0},
      min{(Ui− xi)/pi|pi>0}}
                     ・・・[式7]
で表され、ここでβの値は1よりも小さいものである最適資源割当て方法。



REFERENCES


今野浩「カーマーカ特許とソフトウエア」中公新書
 本件特許に異議申し立てを行っている今野教授(応用数学)が、カーマーカ特許について著した著書。今野教授は、アルゴリズムに特許を与えることに反対する立場である。

富田徹男「カーマーカ特許無効審判審決」
 特許無効審判の審決の全文が公開されている。

・H14. 3. 5 東京高裁 平成11(行ケ)25 特許権 行政訴訟事件



NOTES


この資料は、'99夏〜'99年末にかけて行った講演の配付資料に、最新情報を加えて、加筆訂正したものです。下記の著作権表示さえしていただければ、複製して配布していただいて結構です(商業的用途を除く)。
(C)1999 HIDEO FURUTANI / furutani@furutani.co.jp



本文に戻る