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知的財産権(特許・商標・著作権)の基礎講座
(C)1991.12-1997.7  弁理士 眞島宏明

2.商標の基礎知識

2.1何のために商標を登録するのか?

(1)商標とは何か

 商標とは商品名やサービスマークのことです。具体的に例を挙げると、商品名としては、テレビの「画王」、自動車の「クラウン」など、またサービスマークとしては、航空会社の「ANA」、テレビ局の「NHK」などです。商標には、このような名称、文字に限らず、図形、記号なども含まれます。また、平成9年4月1日からは、立体商標の登録も認められるようになっています。以下に商品名、サービスマークについてもう少し詳しく説明します。

@商品名
 新たな商品を売り出す場合、まずその商品名が決められ、この名前が商品や商品のパッケージに印刷されます。そして、この商品名を使った宣伝や広告などの営業活動が行われます。また、消費者の側も、宣伝されている商品名を目印として商品を購入します。

 こうして、商品の品質が消費者に認められるようになると、次第に商品名の知名度も上がり、商品名自体の価値も高くなります。例えば、調味料の「味の素」は需要者の間で非常に有名です。このため、他社が調味料としては全く同質のものを売り出したとしても、「味の素」とネーミングされた製品の方がよく売れることになります。このように、商標の知名度によって製品の売れ行きは大きく左右され、商標の果たす役割は非常に重要であると言えます。

Aサービスマーク
 商品の名前だけでなく、サービスの名前(サービスマーク)についても、商標登録できます。ここでサービスマークとは、上に述べたように、例えば航空会社や飲食店、建設会社などのサービス業者が使うマークのことです。「マーク」だからといって、図形に限られるものではありません。上に述べたように「ANA」や「NHK」、「日本テレコム」などの文字もサービスマークとして出願することができます。

 航空会社は飛行機を商品として売っているわけではなく、旅客輸送というサービスを提供しているのですから、航空会社が使うマークはサービスマークということになります。

 このように、サービス業者も「サービス名についての独占権」を取れるようになったわけです。

(2)商標を登録した場合のメリットとは?
 商標を登録すると商標権が与えられ、登録した者は商標権者ということになります。それではこの「商標権」とは一体どのような権利なのでしょうか。つまり、登録をするとどのようなメリットがあるのでしょうか?

 以下に、この登録した場合のメリットを掲げ、簡単に説明します。なお、商標を登録するには、特許庁に出願をして審査を受ける必要があります。この出願や審査については後で詳しく説明します。

@その商標を自社だけが使うことができる。
 例えば、宣伝や広告などの営業努力によって、ようやく自社の商品名が消費者の間で有名になったとします。ところが、この商標を他社が勝手に真似をし、同じような商品に付けて売り出したらどうなるでしょう?

 消費者は商品名を手係に商品を買うので、間違って他社の商品を購入してしまいます。また、自社にとっても大きな損害です。多くの費用をかけてその商品名を宣伝し、有名にしたのは自社なのですから、なんとかして他社が同じような商品名を使うのを禁止したいと考えるのは当然です。

 このような場合に商標権が活躍します。その商品名について商標権を取っておけば、他社の無断使用は商標権の侵害であり、他社に対し直ちにその使用をやめるよう請求できます。したがって、商標権を取っておけば、安心して宣伝や広告ができます。

 これはサービスマークについても同様です。サービスマークを商標として登録しておけば、他社がそのマークを同じようなサービス業に使うことを禁止できます。

A他社は、良く似た商標を同じような商品、サービスに使えなくなる。
 例えば、自社の登録商標とまぎらわしい商標を他社が使った場合はどうなるのでしょうか?このような場合にも、他社に対して「良く似た商標を同じような商品、サービスに使ってはいけない」と言うことができます。商標権には類似範囲というものがあって、良く似た商標の使用にも権利が及ぶからです。

 このように商標権は、類似範囲についても他社を抑えることができる強力な権利です。下表に、商標権の効力が及ぶ範囲を示します。
  同一商標 類似商標 類似しない商標
同一商品(サービス) 侵害 侵害 侵害でない
類似商品(サービス) 侵害 侵害 侵害でない
類似しない商品(サービス) 侵害でない 侵害でない 侵害でない


B侵害されたときは損害賠償を請求できる。
 登録した商標を同業他社が使うと、商標権の侵害です。この場合、自社は商標権者として損害の賠償を請求できます。自社の登録商標を無断で使われ、営業上の利益を害されたわけですから、その損害を金銭で賠償してもらうということです。

C商標権は更新できる半永久的な権利である
 例えば特許権には、出願から20年という存続期間が決められており、この期間を過ぎると、原則として権利は消滅してしまいます。しかし、商標権は半永久的な権利です。権利の存続期間は、一応、10年間と決められていますが、申請すれば、何度でも更新が認められます。

 つまり、商標を登録すると、繰り返し更新する限り半永久的に権利を持ち続けることができます。

D権利の有効利用を図る
 商標を登録すると自社は商標権者になるわけですから、権利者の立場として、外部に対しその商標の使用についてのライセンス契約をすることもできます。例えば、関連会社やフランチャイズの加盟店に商標の使用を許諾し、自社の有利な立場を確保することができます。また、商標権自体を他社に譲渡することもできます。このように商標を登録しておけば、自社の商標を営業戦略の一つとして有効活用できるわけです。
E登録表示ができるようになる
 商標を登録すると登録商標になり、登録表示ができるようになります。登録表示をしておけば他社はむやみに同じような商標を使わなくなるでしょうから、他社に対する大きな牽制になります。

 

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1.商標登録のメリット | 2.商標調査をする

3.商標出願をする | 4.ソフトウエアと商標

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